048 わたしの履歴 後編(自己分析)
わたしの履歴もこれで最終回。
前編・中編で私の半生を振り返りましたが、それにより「自己分析」もできたので、その結果を語りたいと思います。
自己分析に興味のある方にはたぶん参考になりますので、どうか読み進んでいただけたらと思います。
1 私の半生をキャリア理論で解釈する
1-1 ダグラス・ホールの理論での解釈
前編・中編に書いたとおり、私の半生は失敗や挫折ばかり。
でも不思議なことにけっこう満足しているんだよね。
この感覚を「心理的成功」と言うらしいけど、この不思議な満足度を掘り下げたいと思います。
「心理的成功」とは、キャリア学者ダグラス・ホールが提唱した言葉です。
文字どおり「内面的な成功感」のことですが、ホールは次の式で説明しています。
「心理的成功」=「アイデンティティ」+「アダプタビリティ」
このホールの理論で、私のここ20年間を説明するなら次のようになるかな。
能力を磨き、意欲を持ち続け、アイデンティティの探索をし続けたことで心理的成功感が味わえている。
確かに、私なりに「アイデンティティの探索」をやり尽くし、「過去と現在と未来の自己概念の統合」に近づいた感触はあります。
断定はできませんが、死の床についたとき「もっとチャレンジすればよかった…」と後悔で苦悶することはないかな。(もちろんここでストップしたら別ですが)
でも、「金儲けした」とか、「出世した」のようないわゆる「成功」とは違う、むしろ「失敗」しかしていないのに「心理的成功」とは、意味が分かりません。
そこで自己紹介を兼ねた自己分析をやってみました。
本noteの前編~中編がそれです。
半生を振り返れば、私は専門能力を高めることを優先する癖があり、キャリア選択の場面において、収入アップ・出世・地位向上はほとんど考慮していません。
このようなキャリア形成の志向性を、キャリア・アンカーの分類では「専門・職能別コンピタンス」と言います。
このキャリア・アンカーを磨き続ける先に私の心理的成功(自己実現または自己概念の完成)があるということです。
1-2 キャリア・アンカーの視点による解釈
キャリア・アンカーとは、アメリカの心理学者エドガー・シャインの仮説です。
シャインは次のように職業的な自己実現を8つの類型に分けています。
我々が一般的に「成功」と思い込んでいるのは、「全般管理コンピタンス」または「起業家的創造性」だと思います。
これらの人から見たら、「専門・職能別コンピタンス」の人は、「オタク」または「自己研鑽自体が目的化した人」に見えるかも知れません。
そんな特徴が私の半生に色濃く出ています。
これらはまさにキャリア・アンカーに翻弄された結果だと思います。
時には「起業家的創造性」や「奉仕・社会貢献」を思わせる経験もしましたが、これらもアイデンティティ探索のひとつだったのかも知れません。
これら模索を繰り返すことで、私の「専門・職能別コンピタンス」は強化されたようです。
2 私の強みについて
2-1 「強み診断」の結果
キャリア・アンカーはあくまでも事後的な自己評価です。
具体的に「何をしたらいいのか?」を示すものではありません。
もし具体的な指針を見つけたいなら、キャリア・アンカーに加え、「強み」も特定する必要があります。
ちなみに、私はいくつかある「強み診断」を受けています。
結果は次のとおりでした。
見てのとおり、これら「強み診断」の結果は抽象度が高く、強みと言うより「資質」に近いですよね。
これだけでは「私はこの道を進みます!」と語れるだけの指針にはなりません。
2-2 私の強みと弱みについて
それでは私の「強み」は何でしょうか。
先に結論を言ってしまえば次のとおりと考えています。
「強み」と「弱み」はコインの裏表みたいな関係にあると思っています。
私は「短期的な成功」→「リセットボタン」→「新しい何かを始める」を繰り返して来ましたが、それは「短期の立ち上げがうまい、でも長続きしない」と言い換えることもできます。
もちろん人間関係が長続きしない弱みは自慢できるものではありません。
でも、この「弱み」の反面に「強み」があると思えば、この性分は「私らしさ」です。
そのように受け入れることにしました。
ちなみに、この「私らしさ」に翻弄される癖は2016年以降も続いています。
3 私の性格をビッグファイブ理論で考えたら
さて、「私らしさ」が分かったけど、これが私の性格的特徴なのか、心理学的な解釈を知りたいと思いました。
人の性格は、突き詰めれば5つの次元に統合されるそうです。(ビッグファイブ理論)
そのビッグファイブ診断をやってみましたが、結果は次のとおりでした。
3-1 内向的性格について
どうやら私は「開放性」が高く「外向性」が低いようです。
つまり内向的だけど開放的というちょっと矛盾を感じる結果です。
そういえば、たまに「あなたが内向的?そんなことないでしょ」とフォローされることがあります。
でも、それって「外向的な方がカッコよい」という思い込みがあるから、そういう風な言い方をするんでしょうね。
もちろん外向・内向に良し悪しはなく、磨きをかければどちらであっても強みになります。
ちなみに、この無料診断の精度に関係なく、私は、心の向きが内面に向かっているので間違いなく内向的性格です。
誰も知り合いがいないパーティーに参加すれば、周りが気を使ってくれない限り「独りぼっち」になります。
ただし、わりと社会的な接触を好む方だし、人前では適度な対応ができるので社交的な場所では人並みに振る舞えるので、典型的な「内向的性格」とはちょっと違うかも知れません。
3-2 開放性について
「開放性」とは、経験に対する開放性が高いという意味です。
開放性が高い人は知的好奇心が強く、感情に関してオープンで、美しさに敏感で、新しいことに挑戦する意欲と言われています。
私の強みである「短期的な協働関係づくり力」はこの「開放性」によるものと考えられます。
調べてみれば、「外向性」が低く「開放性」の高いタイプは「表情豊か、ありのまま、ドラマチック、自発的、機知に富む」または「内省的、瞑想的、熟慮、自省的、内面志向型」な傾向があるようです。
まさにワークショップの構想やファシリテーターにピッタリの資質じゃないでしょうか。
3-3 誠実性について
私の「誠実性」は、この無料診断では平均的ですが、高い面と低い面、両方が混在しているように感じます。
と言うのも、私の性分である「短期的な成功」→「リセットボタン」→「新しい何かを始める」は、「誠実性」の低い人の特徴だからです。
これら「誠実性」の特徴を眺めていると、私の場合、達成努力や自己効力感は高いと思いますが、注意深さ、忠実さ、秩序性は自信がありません。
「誠実性」の低い人は、一般的に「注意散漫」「飽きっぽい」反面、「アドリブ力に長ける」「臨機応変な行動ができる」。
まさに私の半生そのもののような気がします。
ポール・サケットとフィリップ・ワルムズリーが執筆した雑誌の記事「職場で最も重要な人格属性は何か?」によると、誠実性が高いことと協調性が高いことが「さまざまな仕事で成功するために重要である」そうです。
この20年間、失敗や挫折ばかりだったのは、この「誠実性」の弱さが原因だったかも知れません。
ゆえに現在、「誠実性」を高める努力中です。
4 エピローグ
3編にわたって自己紹介を書いてきましたが、振り返れば、子どもの頃からずっと「今の自分になるため」に努力していた気がします。
単なる自己紹介で始めたつもりが、結果的にけっこうな自己分析になってしまいましたね。
お蔭でだいぶ自己理解も進みましたし、自己受容も進んだと思います。
ここまで読んでいただいた方には本当に感謝します。
ありがとうございます。