首の後ろの夏
暑い日差しの中、日陰を探しながら歩く。
後ろから走り抜けていく自転車。
その男性の焼けた肌からは、いつも日中外に出ていることが分かる。
日焼けは、何度も外出を重ねたせいか未だ熱が治らないようで、その肌を赤茶に染めていた。
一際赤いのは、走り去っていく、その首の後ろ。
痛々しいほどだけど、きっと本人はそんなこと気にしていないんだろうな。
お風呂でわずかな痛みを感じ、皮がむけてる頃に痒みから無意識に手を伸ばすのかもしれない。
そんな風に放っておけそうだと思うほど、日焼けは男性の体に馴染んでいた。
毎年、夏は凶器のように暑くなっている気がする。
帽子を買わなきゃ、と思う。
なるべくどんな洋服にも合うような帽子を。
瞬く間に遠ざかっていった夏を宿した首を思い出しながら、また日陰を探して歩く。
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