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綿取や赤子の指を握るごと

皆さまごきげんよう。季節が進むのは早いもので、立秋も過ぎ二十四節気は「処暑」となりました。そのためか今秋は幾分と過ごしやすい一週間でしたわね。往来を歩いておりますと、どこか秋の空気が感じることが出来ましたわ。

七十二候ですと「綿柎開(わたのはなしべひらく)」でして、綿花がこうふわふわと開く頃ですわね。まことに不思議な植物ですわ――。

それにしましても、先週まであれだけ暑くて厭になっていたのが嘘のように今週は過ごしやすい一週間でしたわね。「暑さ寒さも彼岸まで」とは申しますけれども、お盆が過ぎましたら急に季節が進んだように存じますわ。もう夏も段々と遠くなってまいりますわね――。

漱石さまの小説には『彼岸過迄』というものがありますけれども、題名の由来が「彼岸過までに書くつもりだから」という理由だったのをわたくしはふと思い出しておりました。季節としても、気分としても一つの節目のような気がいたしますわ。

ちなみにわたくしは『彼岸過迄』の中では「停留所」の章が好きですわ。
あの神田小川町のあたりをよく知っておりますと、まるで世界に入り込んだかのような不思議な感覚がありますわ。

逆に土地勘が無いとよくわからないかもしれないですけれども――。


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芙蓉セツ子
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