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鋼鉄の吐く溜息や鉄道草

皆さまごきげんよう。8月22日は明治35年に東京市内で初めて路面電車が運行を開始した日だそうで、新橋から品川の間を走ったそうですわ。

わたくしは鉄道のある風景が存外好きなのですけれども、かと申しましても俳句として詠むとなると中々難しゅうございまして、何せ相手は鉄の塊ですから季語が難しゅうございます。

けれども、実はそんな鉄道の景を読むのにぴったりな秋の季語が俳句にはありまして、その名も「鉄道草」と申します秋の野草がありますのよ。

これは学名では「ヒメムカシヨモギ」という草でして、よく鉄道の脇に生えていることから「鉄道草」あるいは「明治草」や「御一新草」とも呼ばれております。文明開化の花が咲くような草ということかしらね。

よく、あまり本数の多くない路線ですと名前もわからないような草が生命力豊かに生い茂っておりますけれども、そのような景色を見た際に、素直に「鉄道草」と表現出来てしまう素晴らしい季語かと存じますわ。

昨今の歳時記には「鉄道草」は載っていない場合もあるようですけれども、是非後世に遺したい季語の一つですわね。

人工物と自然物の溶け合った、その間にある感動を的確に捉えられるような句をそのうち詠めるようになりたいですわ――。


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芙蓉セツ子
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