夏川の帽子抑ふる潮気かな
6月10日は英国テムズ川にて大学同士のボートレースが初めて開かれた日だそうで、1829年(文政十二年)に一回目の記録が残っているそうですわ。
第一回の勝者はオックスフォード大学だそうで、その後は春の風物詩になっているそうでしてよ。日本は鎖国で異国船打払令を出していた頃ですわね。
なぜ急にこんな異国の話を取り上げたのかと申しますと、実はこの「ボートレース」というもの。英国の方が春の風物詩として捉えているのが、俳句の季語と一致しているのです。
俳句ですと「ボートレース」あるいは「競漕」という言葉が晩春の季語として歳時記に採られておりますの。そこに妙な親近感を覚えてしまいました。
尤もこれは俳句のほうが後を追ったようでして、その由来は明治38年に隅田川で開かれたいわゆる早慶戦ですわね。この「早慶レガッタ」が人気を博したことで「ボートレース」が春の季語として定着したそうですわ。
ですから英国のボートレースを詠んでいるという訳でないのですけれども、源流を遡れば英国の大学同士の戦いが季語の生みの親かもしれませんわね。
わたくし生まれた時から隅田川が近いので川沿いを歩くというのが好きなのですけれども、あの辺りは東京湾から海水が登ってまいりますので海の香りがいたします。
そんな潮風の飛沫を上げる小さな舟。
その光景がどこか、騒々しい都心の中で心地よくて落ち着きますわ。
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