5ヶ月振りに出社した日、街は動いていた
4月の頭から現在まで、絶賛休業中である。旅行業の為、コロナ禍の影響をモロに受けているのだ。支店は支店長がワンオペで回し、それでも事足りる状況で、まだまだ復帰の目処は経っていない。どうなるんだろう、と思う反面、自宅での生活を満喫しつつある最近は、逆に社会復帰が出来るのかが心配にさえなっている。
そんなある日、システム研修の為1日だけ出社を、と連絡が来た。これまでもオンラインでの研修は多々あったが、出社して、と言うのは初めてだ。おおっ、とうとう!と思う反面、マジかー、と言う気持ちも湧いて来た。システム研修なら、オンラインでも出来るのでは?そんな事を思いながらも、5ヶ月振りの仙台駅に、少しだけワクワクしている私もいた。
今朝、5ヶ月前と同じ様に、パンプスを履いて駅へ向かった。大丈夫かな、なんて思っていたが、全くもって以前と変わらず、何の躊躇もなく普通に改札に吸い込まれた。人は以前よりは少なく、みんなマスクもしているけれど、いつもと変わらぬ通勤風景だ。どうやら私がなんとなく家で過ごしてしまっている内に、世間には日常が溢れていた。みんな、ちゃんと生活をしていたらしい。止まりかけていた私の時間も、そっと、動き出した気がした。
市内に住んでいながらも、仙台の中心地へ出掛けるのは実に5ヶ月振りだ。どうやら私は、仕事さえなければ、街中へ出なくとも暮らして行けるみたい。買い物は近所で事足りるし、天気が良ければ山やトレイルを歩きに行って、気分転換に郊外のお気に入りのカフェでコーヒーを飲んで、週末には実家で農作業をした。たまに、何してるんだろう、と思うことはあったけど、そんな事を続けている内に、あっという間に時間だけが過ぎてしまった。
まるで昨日振りの様な同僚たちと普通に顔を合わせ、PCに向かい、ランチに出てパスタを食べ、またオフィスに戻る。ずっとここに居なかったとは思えないほど、普通に、普通に1日が過ぎて行った。こうやって働いていたな、そう薄ら思いながらも、ちょっとだけ不思議な気分だ。この5ヶ月、何が現実で、何が仮の姿なのか、分からない日々だったから。だけど、家で悠々自適に過ごす時間も、会社でPCに向かう時間も、どうやらどっちも、私には違いない様だ。
帰り道、仙台駅まで来たついでに、久し振りに成城石井で生プレミアムチーズケーキを買った。1日頑張った自分へご褒美に。まだ次の出社の目処は立たない。それでも今日は、動いている街の一員になれた様な気がして、ふぅーっと大きく、息をついた。
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