シナリオの書き方
みなさんこんにちは!ついに最終回である「シナリオライターってなに?」。今回は、シナリオの書き方についてご説明していきます。
ただ、こちらでご紹介するのは、基本の脚本・シナリオの書き方をおさえたほんの一例にすぎません。特にYouTube動画のシナリオライティングは、クライアントによってマニュアルが全然違うため、書き方もさまざです。
しかし、基本の要素さえ覚えておけば、初心者の方でもコツを掴みやすくなると思います。ぜひ、参考にしていただければ幸いです!
ところでみなさん、柱・ト書き・セリフの役割ってご存知でしょうか?
「いやいや、役割どころかト書きなんて、そんな言葉知りません!」
そう仰る方もたくさんいることでしょう。でも大丈夫。そんな難しいものではありません。
一般的なシナリオは柱・ト書き・セリフの三要素で成立しています。そのため、まずはこの3つの役割を覚えるところから始めしょう。
「う~ん、なんとなく理解できたけど、いまいちピンとこないなぁ」
そんな声が聞こえてきた気がしました。
はい、そこで私、Canvaで画像を作成しました。さすがに動画を作るのは難易度が高かったため、今回はこの画像を用いて説明をさせてください。
この3コマをシナリオで表現すると、次のような書き方になります。
シーン1
〇とある日の昼下がり、道端、天気:晴れ
★下校中のゴロウ(主人公)
NA:僕の名前はヤマダゴロウ。どこにでもいる、普通の高校生だ。
ゴロウ「はぁ~疲れた。早く帰って、昨日のゲームの続きでもしよう」
ゴロウ「あ!でもその前にコンビニ寄ってヤンマガ買わないと」
シーン2
〇道端
★木の影から変な音が聞こえる、足を止めるゴロウ
NA:その時、どこからか変な音が聞こえて僕は足を止めた。
SE:ガサッ ガサッ
ゴロウ(ん?なんの音だ?)
シーン3
〇道端
★木の影から狂暴そうな猫が飛び出してくる、驚くゴロウ
ゴロウ「うわっ!猫が木から飛び出してきたぞ!?」
猫「シャーッ!!」
分かりやすいように細かく書きましたが、「柱は抜きでト書きから書いて欲しい」と指定してくるクライアントもたくさんいます。これは上記のようなコマ割りだと、どうしても同じ描写が続いてしまうためです。
また、【ト書き】も上記のように単発表現で分けるのではなく、「きちんと一文で書いてください」と指定してくるクライアントもいます。
そのため、基本はクライアントの指示やマニュアルに沿って執筆を進めてください。ただ、私が経験してきたなかでも、YouTube動画の、特に漫画動画のシナリオは上記のような書き方が多かったため、この書き方自体覚えておいて損はないと思います。
しかし、これはあくまで一例です。
同じYouTube動画でも、ジャンルによっては柱やト書きをまったく使わず書くシナリオもあります。たとえば、上記のストーリーを、再現VTR風のシナリオとして書いてみましょう。
いかがでしょう。この場合、柱やト書きなどの場面描写がないため、ナレーションとセリフの2つで状況を説明しなければなりません。その場合のポイントをお伝えします。
まず、「下校中」と「ゴロウ」という表現で、男子学生が学校からの帰宅途中であるということが分かります。
また、「7月21日」「照りつける日差しを背に」と書くことで、「夏の晴れた日」という情景がイメージされることでしょう。
これはシナリオというより、小説の書き方に近いものがあるかもしれません。しかし、同じYouTube動画でも、このような書き方を提示してくるクライアントもいます。「クライアントやマニュアルによって、書き方はさまざまだよ!」というのはこういう意味です。
ちなみに、シナリオでは効果音(SE)や猫(動物)のセリフなどもきちんと文字数に換算されます。そのため、上記を例にすると【シーン2】の「ガサッガサッ」も、これで6文字という計算になりますし、「」や()も、きちんと文字数として数えられることがほとんどです。
シナリオライティングの場合、「1文字いくら」ではなく、「1本いくら」と提示しているメディアは多いですが、文字数はきちんと決まっているところがほとんどのため、仕上げの文字数計算も忘れずに行いましょう。
さて、これにて「シナリオライターってなに?」のマガジンは最終回となります。お読みいただきありがとうございました!
Xでも書きましたが、このマガジンのペルソナは「シナリオライターを始めた当初の自分」です。
2年前、私は右も左も分からない状態からシナリオライターの活動を始めました。その時、本当に自分にできるのか不安で不安で、シナリオのライティングについていろいろ検索をしたんです。しかし、当時はYouTube動画のシナリオライターについて書いてあるメディアや記事は、ほぼ見当たりませんでした。シナリオライターを始めて、ちょうど2年の月日が経とうとしている今、当時の自分に役立つであろうマガジンを作ることができて、本当に良かったなと感じています。
だけど私がこのマガジンを作ることができたのは、紛れもなく今までお世話になってきたクライアントのおかげです。これまで一緒にお仕事をしてきたクライアント全員に対し、本当に心から感謝しています。
「シナリオのライティングなんて、難しいでしょ?」と敬遠されることも多いですが、どんなお仕事も最初は難しく感じるものだと思います。ただ、シナリオのライティングにはシナリオのライティングにしかない面白さや魅力がたくさん詰まっているため、ぜひ多くのライターさんに挑戦してもらえたら嬉しいです。
「あの頃の自分に……」という名目で作ったマガジンではありますが、これからシナリオのライティングに挑戦をしたい!と思うライターさんたちの役に立つことができたなら、こんなに嬉しいことはありません。
それでは、またどこかで!