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Ⅰ~Ⅲ+αを遊んでいた男のイースX感想

パソコンがホビー向けとして浸透していた昭和末期から平成初期にかけて、日本ファルコムはPCゲームソフトメーカーとして不動の地位を築いていた。

ザナドゥ・ソーサリアンといったドラゴンスレイヤーシリーズを筆頭に、数多くのヒット作品を世に送り出した同社。発売した作品はほぼ全て遊んでいたくらい、日本ファルコムをトップブランドとして崇めていた。

そんな日本ファルコムの主力作品の一つが、イースシリーズ。

初代イースは「今、RPGは優しさの時代へ。」というキャッチコピーが掲げられたように、当時の作品としては難易度の低いゲーム性が特徴。なにせこの頃は進め方を間違うと一からやり直し、なんてのがザラ。同じ日本ファルコムのソーサリアンでどうやってもクリアできず四苦八苦させられた思い出がある。

一方のイースは小難しいシナリオはほとんどなく、敵との戦闘も半身ずらしで接触すると殆どダメージを負わないし、レベルを上げればそれなりにストーリーを進められる簡単な仕様。それでも、今時のRPGと比べれば難易度は高かったが。

続編となったイースⅡのキャッチコピーは「優しさから、感動へ」。優しいゲーム性はそのままだったが、特に圧巻だったのがオープニングのアニメーション。ヒロインのリリアが振り向くシーンは当時のスペックでは飛び抜けていて、毎回ゲームを立ち上げる時はオープニングを飛ばさずに見ていたほどだった。

高校生当時、グラフィックだけでなく音楽やストーリーも大好きで、何度も飽きることなく繰り返したばかりか、サウンドトラックを買いOVAも見たくらいのめり込んでいたし、リメイク版のエターナルでは進化したアニメーション映像に感動した。

この秋、何遊ぼうかと思っていたときにイースの新作「X」が発売。実はイースシリーズはⅠ~Ⅲの他にもう1つやっていたはずなのだが、どの作品なのかが記憶が抜け落ちてしまっている。

懐かしさとどれだけ進化しているのかを見てみたいという気持ちで本作を遊んだ。

前置きが長くなってしまったが、ここからは随分久しぶりとなる新作イースの感想。
※控えめですが、ストーリーのネタバレあり。








アドル・クリスティン(17歳)

ナンバリング作品では一貫して主役を張っている赤毛の男性。年齢を見たとき、思わず腰を抜かしそうになった。

第1作目が発売されてから36年も経っているのに、10作目なのに何故まったく年を取っていないんだ!現実世界で対抗できる人類は井上喜久子(永遠の17歳、オイオイ)だけだろう。

少々錯乱したが、後で見てみるとイースは必ずしもナンバリングと時系列が一致していないらしい。ホッとしたものの、1作目を遊んだときは高校生で、今は定年までの年数を数えた方が早いシニア予備軍。時の流れは残酷である。

本作は、イースⅡの物語が終わった直後。イースⅠで登場したドギ、Ⅱのヒロインであるリリアの主治医だったフレアとともに旅に出たところから始まる。

左奥がドギ、手前がフレア

映像こそないが、劇中ではしばしばイースⅠ・Ⅱの思い出が語られる。イースⅢまでしか記憶にない僕にとって、Ⅱの続きという位置づけのおかげで違和感なく物語に入り込むことが出来た。

ちなみに最終章のタイトルは「北の失楽園」で、OVAのイースⅡ第1話のサブタイトルは「失楽園」。意図したものかは分からないが、タイトルでも昔を思い出す演出が入っている。


カージャ・バルタ

イースはシリーズごとにヒロインが入れ替わるのが定番。いわゆる「男はつらいよ」方式である。

今回ご当地ヒロインを務めたのが彼女。カージャという名前は某ホライズンシリーズのいかつい戦闘部族を想起させるが、イースXのカージャはホライズンとは真逆のかわいさ。

彼女の声に聞きおぼえがあったのだが、中の人が「機動戦士ガンダム水星の魔女」のヒロインと同じだった。ツンツンしているところも、母親を失っているところも、父親が頭領を張っているところも同じ。ついでに言えば土壇場で母親の形見に助けられるところも同じ。つい最近まで放送されていたのに、なんだか懐かしい。

もっとも、水星の魔女と違って物語中盤で父親に殺されそうになる。これは、彼女の持つ重大な秘密に関わりがあるのだが。

最初は問答無用でアドルに襲いかかってきたり、粗野な言動が目立っていたが、物語が進むにつれて徐々に表情もしゃべり方も柔らかくなっていく。「デレ」までは行かないが、そこの変化がやっぱりかわいい。

パイレーツ・オブ・カリビアン

本作の舞台はオベリア湾という広大な海。主な移動手段は船で、点在する島に上陸してクエストをこなしていく仕組みだ。

この設定、キングダムハーツⅢの「パイレーツ・オブ・カリビアン」ステージとよく似ている。

船で海賊のように戦闘をしつつ上陸できる島を発見して探索する、というのが好きだったのだが、キングダムハーツではあくまで数あるステージの一つ。それほど広くはなく、物足りない感じがしていた。

イースXではパイレーツ・オブ・カリビアンが広大なフィールドになったという感じで、探索要素も豊富。船での戦闘は最初移動も遅く使える攻撃オプションも限られているが、ストーリーを進めていく過程でどんどん強化されて快適になっていく。

キングダムハーツの時に「もっと広いフィールドで遊びたい」と思っていた願望が叶えられた感じ。


戦闘アクションが楽しい

イース10の戦闘方法は独特。アドルとカージャそれぞれ切り替えて戦うソロプレイと、二人揃って攻撃するコンビプレイと3通りの攻撃パターンがある。特にコンビプレイになると攻撃力が増すばかりか、ガードした時にリベンジゲージが貯まっていき、スキル技をぶっ放すと貯めた分だけダメージを加算できる。

スキル技を使うにはゲージを消費するのだが、回復も早く立て続けに放てるストレスフリー。最終盤ではウイングゼロガンダムのバスターライフル掃射みたいなスキル技も手に入る。虹のマナシードを集めるマラソンをしている時はこの技ばかり使っていて、普通の戦闘方法を忘れてしまうこともあった。

パリィカウンター攻撃も決まると気持ちがいい。最初は慣れなくてガードからリベンジゲージを貯めての攻撃が多かったが、コツをつかんで面白いように決まるようになると快感だった。

いつか実現して欲しい、フィーナとの再会

ラスボス戦に向かう過程を見て思い出したのが、イースⅠ・Ⅱでヒロインを務めたフィーナのことだ。

女神の一柱である彼女は、Ⅱのラストで魔を生み出す黒真珠を封印するため、双子のレアと共に石像となってしまう。

アドルと出会って、初めて普通の女の子らしく話が出来た、という言葉と最後涙を流しながら「お別れです」というところでグッと来て、黒真珠を抱えて石になっていったエンディング画面を見て泣けた。

優しさから感動へ、じゃなくて優しさから切なさへ。一番悲しい終わり方だった。

Ⅱをクリアしてからずっと、彼女がアドルと再会して結ばれる物語があればなぁと思っていた。

叶うなら、アドルが黒真珠を破壊して彼女たちを使命から解き放ちフィーナが普通の女の子としてアドルと添いとげる話があって欲しい。

どうでしょう、ファルコムさん?


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