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HD-2D版Ⅲの予習でドラクエXⅠをプレイした

11月に発売されるドラゴンクエストⅢHD-2D版。ロトシリーズの最終作であり、時系列ではⅠ・Ⅱの前にあたる。

このⅢ以前のストーリーを描いたのが現在ナンバリング最新作であるXⅠ。ボイス付きのswitch版、後にPS4に移植されたXⅠSを含めて10周以上遊んでいたが、HD-2D版発売ということで、予習を兼ねて久しぶりにXⅠを遊んでみた。

本作は長年依存症になっていたパチスロから引退するきっかけを作り、人生を変えてくれた恩人もとい恩ゲーム。

オープンワールドゲームではないものの探索要素がふんだんにあり、それでいてメインストーリーのボリュームも濃い。他にも色々なものが詰まっていて、何度周回しても飽きが来ない。

上の記事ではゲームについてあまり深くふれていなかったので、今回はじっくりと本作の魅力について語ってみたい。

ここからは、XⅠだけでなくⅢの内容が多数散りばめられている。ネタバレを見る前の過ぎ去りし過去に遡ることはできないので、XⅠとⅢを知らない方は、是非プレイした後に覗いてもらえればと思う。




Ⅲのリメイクに見えてそうでないストーリー

おおざっぱにまとめるとXⅠの流れはⅢとよく似ている。

王様に謁見して旅の扉から外の世界に出て、オーブを6つ集めて魔王を倒して過去に遡って暗黒神を倒してロトの称号を得る。この流れ、過去に遡るところ→ギアガの大穴に飛び込む、暗黒神→大魔王ゾーマに置き換えるとまんまドラクエⅢのダイジェストになる。

文字にしてしまうと実はⅢのリメイクにも見える本作だが、中盤までの展開がⅢと真逆になっていて、オーブを集めてから魔王を倒すまでのボリュームが厚く、先の読めない流れがⅢとは異なる部分。初めてプレイした時は先の展開が知りたくて探索やレベル上げそっちのけで物語を進めていた。

王様に謁見して勇者として魔王を倒せと命を受けると思ったら、世界を混乱に陥れる悪魔の子呼ばわりされて追われる身となるし、旅の扉から外の世界へ行ったのも王様の放った刺客に追い詰められた末のこと。

極めつけはオーブ集め。6つ揃えてⅢと同じように魔王打倒の足がかりを得るか、と思いきや、王様に憑依していた魔王によって勇者の剣が奪われ、世界は崩壊し、勇者の力は失われて仲間のひとりベロニカは死に、他の仲間とは散り散りになってしまう。

オーブを集めたら世界が崩壊するというⅢとは真逆の展開。ここから再び勇者が立ち上がっていくところが最も好きな部分。魔王に蹂躙された世界で人間たちが立てこもっている最後の砦での戦いは悲壮感が漂う一方で勇者の逆襲の始まり感がある。

散り散りになった仲間たちを再び集めて、打倒魔王を目指す流れは見ていてワクワクするところがある。

一番最高だったところは、奪われた勇者の剣にかわるあらたな剣を作る場面。火事場の形状はロトの紋章と同じで、流れてくる曲はⅢのほこらのテーマ。この曲が流れてくると、「これで勝てる」という高揚感に包まれる。

物語を進めていくたびに勇者が不幸になっていく序盤から中盤。逆境をはね除け、新しい勇者の剣を携えて魔王を倒す終盤。大まかに見たらⅢの焼き直しにも思えてしまうが、これらの過程があったからⅢとは別物として楽しめたんだと思う。

過ぎ去りし過去を求めるのはプレイヤー次第

魔王を倒した後過去に戻るというイベントには賛否両論あるが、個人的には「あり」だと思っている。過去に戻るかこのまま終わらせるか、プレイヤーの選択に委ねるという、制作側の意志を感じたからだ。

忘れられた塔の中で、時の番人から過去に戻るかどうか繰り返し問われるが、何度も問いかけることで重大な選択を迫られていると認識させられる。

セーブデータが全消しされるヨコオタロウシリーズを思い出す

このまま続けても、過去に遡るのも全てあなたに委ねますよ、と言っている感がある。

過去に戻れるのは勇者だけ。ベロニカを助けて世界崩壊を防げるが、それは同時に世界崩壊後の苦難がなかったことになるし、ともに歩んで来た仲間たちと別れることになる。それはそれで重い決断だろう。

魔王を倒したあとに各地で発生するイベントを見ていると、なおさら過去に向かうのを躊躇したくなってしまう。

何度も聞き返す場面で、過去に戻らず終えてしまうのもあり。戻って別の世界線を進むのもあり。決めるのはプレイヤー次第だと思っている。

無敵状態だったホメロスをフルボッコにできるだけでも、過去へ戻る価値は十分ある。


豊富な探索要素と自由度の高さ

最初に船を手に入れたあとは自由度が格段に上がる。メインストーリーでは後に訪れるような場所を先に巡ることが出来るため、レベル上げや強力な武器を手に入れられる。

船を手に入れてから真っ先に訪れる場所がソルティコの街。強力な装備を入手するためカジノへ入り浸っている。

ドラクエシリーズ恒例のカジノだが、XⅠでは実際のパチスロのゲーム性を再現したマジスロが用意。これがよく出来ている。

目押しにボーナス中の特定絵柄狙い、設定や機械割りとか微細に渡り再現されていて笑う。

世界崩壊後はストーリーを進める順番もある程度柔軟になっている。その気になれば、グレイグとロウにシルビアが合流した段階で人食い火竜を倒しにいくことだってできてしまう。

メタルハンド狩りでレベル上げや、はなれ小島で空飛ぶ乗り物を捕まえて探索したり、恒例となっているちいさなメダル集めやサブイベントなどなど、周回ごとに違った遊び方ができるのも嬉しい。


スキップ機能を入れて欲しかったサブイベント

11sでは世界崩壊後、シルビア・カミュ・マルティナ・ロウそれぞれの短編ストーリーが挟まる。世界崩壊から勇者に再会するまでを描いた、いわばDLCみたいなイベントだが、個人的にはスキップできるような仕様にしてほしかった。

クリア後の特典もなくふくろからアイテムを出せないため、世界崩壊前に装備しないけど必要な装備などをあらかじめ入れておかないといけないところがやっかい。

ストーリー自体はとてもよかったのだが、周回プレイをしていると作業感が先に立ってどうしても冗長になってしまう。

クリア後強力なアイテムをもらえるとか何らかの特典が欲しかったし、そうでなければイベント自体をスキップする機能が欲しかった。


時渡りの迷宮

11sでは時渡りの迷宮、というサブイベントが発生する。昔の2Dドットになり、ⅠからXまでのイベントの一部に介入する。

狭い家の中から、広い洞窟まで様々。ロンダルキアの洞窟まで用意されていて、落とし穴や無限ループする洞窟をさまよって何度も全滅したトラウマが蘇る。

イベントの終盤では、伝説のメタ女の制服など強力な装備を手に入れることも出来るので、追加エピソードと違ってこちらはやりがいがある。

避けて通ることの出来ない鉄板ネタ。

なつかしい楽曲たち

本作は至るところで歴代シリーズの楽曲が使われている。教会やプチャラオ村はⅧ、ホムラの里はⅢの曲といった具合に、至るところで過去作の名曲が使われている。

亡くなった父母の墓前で流れるⅤの哀愁物語にはゲマへの激しい憎しみを思いだし、人魚の王国で流れる精霊の冠ではカルベローナが魔王に殺される場面が頭に思い浮かんでくるなど、40年近くの思い出が走馬灯のように蘇ってきた。

極めつけは「おおぞらをとぶ」が初めて流れてくるシーン。直前の姉妹のセリフから曲が流れてくる一連の場面。

懐かしさで一杯になった一方で、残念だったのが時を遡ったあと流れてくるフィールド曲がⅢに切り替わるところ。XⅠの曲も好きだったので、選択が出来るようにして欲しかった。

なつかしい声優さんたち

ボイスがついたXⅠSでは、若手からレジェンド級のベテランまで幅広い年齢層の有名な声優がキャラクターに名を連ねている。

勇者の母親役には小山 茉美さんが、厳格なデルカダール王は緒方賢一さん。サマディーのコミカルな王様には千葉繁さん。みんな子供の頃見ていた色んなアニメで出演していた面々で、なつかしい気持ちになる。

いちばん笑ったのは、中ボスで登場した若本規夫さん。聞いただけで分かる、しゃべりの癖の強さ。第一声を聞いた時には手を叩いて笑い転げてしまった。

実際は「ああぁわれなものたちぃぃい」と言っている。

残念だったのは、出演声優さんが代わる代わるしゃべる天空のぱふぱふで若本さんのボイスが収録されていなかったこと。「るぇええっつぅ ぱぁふぱぁふうぅぅぅ!」て聞きたかったなぁ。

世界崩壊後、魔王に重傷を負わされた勇者をかくまい、魔王軍の襲撃から逃げさせた人魚の女王のセリフは名シーンのひとつ。その人魚の女王を演じたのはこの8月に亡くなった田中敦子さん。

凛とした女性役の多くを演じてきた田中さんが声を吹き込んだからこそ、屈指の名場面になったと思っている。

そして、HD-2DⅢへ

XⅠのエンディングでは、Ⅲ以降に続くロトの子孫へどう繋がっているのかが議論になっている。勇者が命の大樹(聖竜)からロトの称号をもらい、ロトのご先祖様にも見えるのだが、一方で先代勇者ローシュと賢者セニカの子孫説もある。

ローシュは暗黒神ニズゼルファにトドメを差そうとした時、仲間の魔導師(後のウルノーガ)によって殺されてしまい、彼を慕うセニカはローシュを生き返らせるために時を巻き戻そうとして失敗し、時の番人となってしまう。

勇者によって元の姿に戻ったセニカは、勇者の剣と紋章を譲り受けて時を遡り、ローシュと再会を果たす。最後にⅢのオープニング、母親がⅢの主人公を起こしに行くところで物語が終わる。

ローシュの容姿はⅢの勇者を思わせるし、セニカの髪の色はⅢの勇者の母親と同じ。直後にⅢのオープニングが入る流れは、Ⅲ以降の勇者の先祖はXⅠの勇者ではなくローシュとセニカの子孫、のようにも見える。

またⅢの母親が読んでいた赤い本にはXⅠの勇者の物語が記されていたようだが、もう一冊緑の本も存在していて、解釈が様々に分かれてしまっている。

ⅢのHD-2D版は、XⅠが出てから初めてのリメイク作品。何度も繰り返していて結末を知ってはいるのだが、この中でXⅠがどのように絡んでいくのかがとても興味深い。XⅠのエンディングで発生した様々な謎が明らかになるかも知れないし、ただのリメイク作品で終わらないという期待をもって発売の日を待っている。


真のエンディング

おしまい。

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