お金の奴隷のお金持ち

前回:余白のデザインと感謝、愛、創造

3. 仕事
3-8. お金の奴隷のお金持ち

感謝、愛、創造、連続と非連続、差分と余白。幸福の文脈でそんなことを話してきた。君に幸福を創造できる人間になってほしいという目的に対しては、きっと十分なことを伝えられたと思う。

そういうわけで次は自由について話したい。けど「自由とはなにか?」なんてやってたら哲学や政治、経済の思想史を読み解いていかなきゃならなくなる。それはこの手紙には荷が重すぎる。とは言っても、自由とはなにかについての部分的な回答は学校や仕事の話の中で伝えてきたつもりだ。ここでは、君が自ら自由を創造できる人間になっていくにあたって、少しでもヒントとなるようなことを伝えられたら嬉しい。

自由についての世の中の典型的な誤解に、お金のことがある。どうやら多くの人は、「お金をたくさん稼いでいる人=自由な人」と考えているらしい。本当だろうか。

例えば、お金持ちで稼いだお金を超高級なブランド時計、ブランド車、ブランドインテリアなんかに使う人がいる。この人はお金の入りが相対的に多いけど、お金の出も多い。この人は、入ってきたお金を使わずにはいられない。

俺からすれば、この人は消費の奴隷だ。そして、消費のためにはお金が必要だから、お金の奴隷だ。常に何か買いたいと思う(正確には思わされてる)ものがあり、そのためにお金を稼ぐ活動に人生を費やし消費する。延々その繰り返しだ。可哀想なモルモットと同じだ。

俺は消費を悪いことだなんて言う気はない。けれど、大半のビジネスが人々を自社製品の奴隷にするためにマーケティングやブランディング活動を行って消費欲を掻き立てるありとあらゆる手段に投資している。

君は、お金の奴隷にはならないよう意識しなければいけない。その意識の中で、君の人生を豊かにするうえで必要だと思うものを消費すればいい。人生のほぼすべてが消費のための活動になってしまったら、お金の奴隷としての人生でしかない。そんなの悲しすぎないかい。

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