【閑話】「メディアとヒトの誕生」つらつらと考える
複雑系な話しをそのまま記述できて、そのまま理解してもらえればいいのだが、なかなかそうもいかない。n次元空間を2次元に投影する「ゲルニカ」さながらの日々。過去から現在に向けて直線で書いていると、方向性を見失うので、軸になる空間に碁の石を置くように書き進めている。
で、調査もしないで放置していた「コンピュータの誕生からアランケイ」あたりを書いてみようと思い立ち、となるとメディア論あたりも整理しなきゃいけなくて、だとすると「活版印刷」と「西洋思想」あたりか、いやいや「言葉」ってそもそも、だとすると「ヒトが言葉を使うようになった経緯が」とたどることになったのが、今回の「ヒトの誕生」から「道具としての言葉」についてだった。「言葉」について語り出すと関係してくる「コミュニケーション」や「神経誕生から脳への進化」については別ルートで書くことにした。「脳」についてだって、「心の社会」や「思考のための道具」を読み返しておかないとコンピュータは語れないよなーと思いつつ。。。。。
ヒトの誕生を探っていくと、「オルドヴァイ渓谷」という東アフリカの一箇所にヒトの祖先となるものたちが閉じ込められ、常にそこから類人猿たちが変異し旅立っていることに気づく。しかもそこは放射能にさらされ突然変異が起きやすい環境だった。これからも、いろいろなところに飛び火をしながら同じ韻をふみながらまとめることになるのだが、ここでも集中的に集められた実験場で、膨大な数の試行錯誤を繰り返して新たな複雑系を構築している。じゃあなぜ「オルドヴァイ渓谷」に閉じ込められるなんてはめになったのか?と当時の状況を調べてみると、地下マントルの上昇でアルプス山脈やらオルドヴァイ渓谷やら地質学的な異変が連続的に発生している時期だったこと、オルドヴァイ渓谷の火山爆発はリンなどの植物にとって豊富な栄養だったことなどが見えてくる。そこに我々の祖先は引き寄せられて、閉じ込められちゃったわけだ。地図を掲載しておいたけども周りを谷と火山に完全に囲まれてしまっている。つまり、ここから出てアフリカや中東、ヨーロッパに旅立って生き残るためには、相当に冒険精神とサバイバル能力にたけた進化をとげたものだけに限られるという強力な制約がかけられていたことになる。
さて、この後、「ヒトは道具と共進化した」という仮説を検証しつつ、話しを進めることになる。チンパンジーだって道具を使う、じゃあヒトは何が違ったの?、加速度的な進化の原因は?と。
仮説をたてて、書籍や論文を探して、仮説をたてなおしてという。未来を読み解くのと、過去を読み解くのはよく似ている。何かが発生するには、それにいたる原因、外部環境の変化や相互作用がある。幹となる仮説をもとに、周辺の仮説をたて、その時期の外部環境を調べ、書籍やネットに意見を求め、仮説を修正してたてなおして、ということを何度も繰り返す。
よく、未来を読み解くのに、なぜこんな過去を掘り返すのかと意見をもらうのだが、過去の連鎖で続く未来を語るのに、過去を読み解いておかないと何も語れないというのが本書の主題。現在、ごくごくわずかな読者も離れてしまいそうな遠大な話に、今後ともおつきあいいただければ幸いです。