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フューチャーリテラシー :「可能性の未来」を読み解くために

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本マガジンでは、2022/12/12に出版した、『フューチャーリテラシー Futures Literacy :過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』についての情報を掲…
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2021年4月の記事一覧

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデル

 まず、「部分」があり、それらが相互に作用しあって「全体」の情報が作られ、それが再び「部分」に影響をあたえる。部分と全体との創発的な関係を通じて自在に変化しつつ、全体の秩序を形成してゆく。  今回は、「未来を読み解く」ために、筆者が使っている思考モデルである、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルを解説する。モデルの使い方については、別章にて紹介する。 ●「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルの概要◯構成要素とネットワーク特性 「ミクロ・マクロ・ネットワーク」は、未来の物

アイデアを紡ぐアイデア・プロセッシング:本の散策、本の探し方

------------------------------------- アイデア・プロセッシング: -------------------------------------- Step1: 課題抽出・課題設定 Step2: 情報散策 ・情報散策 ・本の散策 ・本に意見を求める読書 Step3: グループ編集:情報の素材化、分類と階層化 Step4: シナリオ・物語編集 --------------------------------------  未来を読み解くとき、

アイデアを紡ぐアイデア・プロセッシング:課題抽出と情報散策

 ここから、5回にわたって、アイデア・プロセッシング実施方法について解説する。 アイデア・プロセッシング: Step1: 課題抽出・課題設定 Step2: 情報散策 ・情報散策 ・本の散策 ・本に意見を求める読書 Step3: グループ編集、離合集散、分類と階層化 Step4: シナリオ・物語編集 アイデア・プロセッシング用語解説: ・ノート: ノートツール ・ページ: ノートツール上のページ、分類の単位 ・階層構造: アウトライン構造、分類を階層的に表示 ・情報素材: 

アイデアを生むためのアイデア・プロセッシング

 アイデア・プロセッシングは、「情報素材」からアイデアを得るための手続き、「脳の外化」であり、脳の外に記述したテキストやコンテキスト、構造を含めて脳の一部として連携し、思考をまとめるプロセス。  「脳」は「断片化された情報」と関連するものどうしを関係づけし、「意味ネットワーク」を構築する基本的な機構をもつ。このヒトエンジンの能力を活用して、情報を関連づけ、編集することにより「意味ネットワーク」を構築し、アイデアを整理する。このプロセスを通じて我々の脳は、情報間に関係とパターン

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」で考えるトマトの未来

 「ミクロ・マクロ・ネットワーク」は、未来のサービスや技術を読み解くときに「喩え」て考える際に利用するモデルだ。「トマト」への適用事例で使い方を概観する。  「トマト」生産は今後どのように変わっていくのだろうか、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」を使ったコンセプト発案の例を簡単に紹介する。アウトプットはサービス・コンセプトだ。 ●トマトは誰とどんな話しをしたいのか? 【ミクロなコミュニケーション】  トマトは誰と話しをしたいのか?  ・同じ畑の仲間のトマト  ・野菜たち

未来を読み解くための類推

 「類推」とは、「類似」にもとづく思考であり、知っていることを知らないことに「喩えて」考えることだ。それ以前には全く気づかれることのなかった構造を創発する認知メカニズムであり、創造的活動の源泉となる。 ●類推 類推を形式的に説明すると次のようになる。  そして、脳内での「類推」のプロセスは次のように進められる。  「類推」は、ヒトの生活のさまざまな場面で、経験を再利用することにより、新たな知識の獲得や発見、仮説の生成、物事の再吟味などにおいて、強力なパワーを持つメカニズ

未来を読み解くためのアブダクション(仮説推論)

 ヒトの脳は、意識下で様々な判断を行い行動している、アブダクション(仮説推論)を用いて未来を読み解く際に役立つのが、ヒトの「美意識」と「ヒラメキ」そして「暗黙知」だ。 「推論」についての解説はこちら ●美意識とヒラメキ、アブダクション(仮説推論) アブダクションの「仮説」を設定する際には、次のような条件を意識するといいだろう[1][2]。  そして、ちょうどいい「仮説」を思いついたときに、「気持ちがいい」「すっきりした!」「単純で美しい!」と思える瞬間がおとずれ、ヒラメ

仮説推論と類推で紡ぐ「未来の物語」:推論という考え方

 ヒトは、生存確率を高めるための戦略として複雑な世界から収集した情報を統合して「イメージ」として記憶し、認知できないものを想像して行動する能力を獲得した。より多くの経験を記憶したものの生存が有利になるが、記憶の、検索の、判断の経済性、エネルギー最小化の戦略が生死を分けた。  大脳皮質は司令塔となるが、そこに統合され「イメージ」する情報は「氷山の一角」であり、大半の情報は「暗黙知」として意識されることなく処理され、脳内にバーチャルな「イメージ世界」をつくり解釈する。例えば、目