米国株 まとめ 8月17日:債券利回りの上昇が株価を圧迫 *備忘録*
S&P500指数(SPY)は-0.77%安、ダウ工業株指数(DIA)は-0.84%安、ナスダック100指数(QQQ)は-1.08%安。
株価は小幅安で引け、S&P500種指数は7週間ぶりの安値、ダウ工業株30種指数は1ヶ月ぶりの安値、ナスダック100種指数は1ヶ月半ぶりの安値となった。10年物T-Noteが9年3ヵ月4ヵ月ぶりの高水準まで上昇し株価を圧迫した。 週次失業保険申請件数が予想以上に減少し、8月フィラデルフィア連銀景況感調査が16ヶ月ぶりの高水準に上昇したことで、米国経済がソフトランディングできる兆しが見えたため、株価は序盤から下支えされた。
中資企業集団が投資家への返済のために債務再編と資産売却を計画していると発表したことで、上海株価指数は7カ月半ぶりの安値から反発した。 今週、中智企業集団傘下の中栄国際信託が数十の投資商品の支払いを滞らせたことで、中国のシャドーバンキング・システムの流動性懸念が強まり、中国株は圧力を受けていた。
米週間新規失業保険申請件数は-9,000件減の239,000件と、予想の240,000件をやや上回った。
米8月フィラデルフィア連銀景況感調査は+25.5上昇し12.0で16ヵ月ぶりの高水準となり、予想の-10.4を上回った。
米7月景気先行指標は前月比-0.4%低下、予想通りだった。
市場では、9月20日のFOMCで+25bpの利上げが実施される確率を11%、11月1日のFOMCで+25bpの利上げが実施される確率を41%と織り込んでいる。
世界の債券利回りは上昇した。 10年物T-Note債券利回りは4.326%と9年3ヵ月4ヵ月ぶりの高水準まで上昇し、4.292%と+4.2bp上昇した。 ドイツ10年債利回りは+5.9bpの2.709%に上昇した。 10年物英国ギルト利回りは4.752%と14年ぶりの高水準に急上昇し、+10.0bpの4.746%。
海外株式市場はまちまちだった。 ユーロ・ストックス50種指数は-1.32%で引けた。 中国の上海総合指数は+0.43%上昇。日本の日経平均株価は-0.44%。
主な株の動き
カリフォルニア州ブルーシールドがCVSヘルスのケアマークを主要な薬局福利厚生マネージャーから外す計画を発表したことを受けて、健康保険株は下落した。 その結果、CVS ヘルス (CVS) は -8% 以上下落し、S&P 500 の下落銘柄の先頭に立った。また、シグナ グループ (CI) は -6% 以上下落し、カーディナル ヘルス (CAH) は - 4%下落。 さらに、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)は-3%以上下落し、ダウ工業株30種の下落銘柄をリードした。 最後に、マッケソン (MCK) は -2% 以上下落し、センテン (CNC) とモリーナ ヘルスケア (MOH) は -1% 以上下落。
10年物T-Note債券利回りが9年3ヵ月4ヵ月ぶりの高水準に上昇し、住宅ローン金利を押し上げ、住宅購入の見通しを低下させたことから、住宅建設業者が売られた。 その結果、DRホートン(DHI)は-5%以上下落して引けた。 また、プルテグループ(PHM)、トール・ブラザーズ(TOL)、レナー(LEN)も-4%以上下落。
ゴールドマン・サックスがジェット燃料価格の値上がりを理由にセクター全体で目標株価を引き下げたことを受け、航空株は下落した。 その結果、アメリカン航空グループ(AAL)、アラスカ航空グループ(ALK)、ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)、デルタ航空(DAL)、サウスウエスト航空(LUV)は-2%を超える下落で取引を終えた。
インテル (INTC) は、タワーセミコンダクター買収の失敗がファウンドリの取り組みに悪影響を与えるとの懸念から、-2% 以上下落。
パラマウント・グローバル(PARA)は、同社がBETメディア・グループの過半数株式を売却する計画を撤回したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた後、-2%以上下落。
ハワイアン・エレクトリック・インダストリーズ(HE)は、マウイ島の山火事後の同社の潜在的な負債に対する懸念から-14%以上下落。
ウルフスピード(WOLF)は、第4四半期の調整後一株当たり損失が-42セントと、コンセンサスの-20セントを大きく上回り、第1四半期の調整後一株当たり損失は-60セントから-75セントと、コンセンサスの-30セントよりかなり弱いと予想したため、-17%以上下落。
シスコシステムズ(CSCO)は、第4四半期の売上高がコンセンサス(150.5億ドル)を上回る152.0億ドル、第1四半期の売上高がコンセンサス(145.7億ドル)の中間値である145.0億~147.0億ドルになると予想し+3%以上上昇。
WTI原油価格が+1%以上上昇したことを受けて、エネルギー株とエネルギーサービスプロバイダーは上昇した。 その結果、エクソン・モービル(XOM)、コノコフィリップス(COP)、マラソン・オイル(MRO)、バレロ・エナジー(VLO)、デボン・エナジー(DVN)、ヘス・コーポレーション(HES)は+1%を超える値上がり。
チェサピーク・エナジー(CHK)は、8月21日の取引開始前にS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが同社がマーキュリー・システムズに代わるS&Pミッドキャップ400構成銘柄に入ると発表したことを受け、+4%以上上昇。BAEシステムズがボール社の航空宇宙部門を約56億ドルで買収することに合意した後、ボール・コープ(BALL)は+1%以上で取引を終えた。
9月限10年物T-Note債券先物は、-9ティック安で引け、10年物T-Note債券利回りは+4.2bp上昇し4.292%となった。 10カ月ぶり直近安値まで急落し、10年物T-Note債券利回りは4.326%と9年3カ月4カ月ぶりの高水準まで上昇した。 10年物英国ギルトが14年ぶりの低水準まで急落したことによる負のキャリーオーバーに圧迫された。 また、週間失業保険申請件数と8月フィラデルフィア連銀景況感調査が予想を上回ったことは、FRB政策にとってタカ派的であり、米国債相場にとっては弱気材料となった。 株安が深刻化した際に最悪水準から回復し、安全資産としての米国債需要を押し上げた。
その他市場
堅調な債券利回りを受け、ドルは2ヶ月ぶりの高値を更新
ドルインデックスは+0.07%上昇し、2ヶ月ぶりの高値を記録した。ドル相場は、10年物T債券利回りが9年3カ月4カ月ぶりの高水準に急上昇したことを受け、序盤の下落から回復し上昇に転じた。 また、週間失業保険申請件数や8月フィラデルフィア連銀景況感調査など、予想を上回る米経済ニュースがドルを押し上げた。 さらに、S&P500種株価指数が7週間ぶりの低水準まで下落した木曜日は、株安がドルの流動性需要に火をつけた。
米経済ニュースはドルにとって強気だった。 週間新規失業保険申請件数は-9,000件減の239,000件となり、労働市場は予想の240,000件よりやや強い結果となった。 また、8月のフィラデルフィア連銀景況感調査は、+25.5上昇の12.0と16ヵ月ぶりの高水準となり、予想の-10.4を上回った。
ユーロ/米ドル は-0.12%下落し、6週間ぶりの安値を記録した。 10年物T-Note債券利回りが9年3カ月4カ月ぶりの高水準に急上昇したことで、ドルの金利差が強まり、ユーロの重荷となった。 また、カザクスECB理事が9月のECB利上げについて未定と発言し、ハト派的な発言がユーロ/米ドルの重荷となった。
カザクスECB理事会議長は、9月のECB利上げについて未定とした上で、「今後数カ月を見た場合、利上げがあるとすれば、それは本当にごくわずかなものになるだろう」と述べた。
米ドル/円 は-0.48%下落した。 10年物国債利回りが2週間ぶりの高水準に上昇し、円の金利差が強まったことで、円相場は対ドルで9ヶ月半ぶりの安値から回復し、上昇に転じた。 日経平均株価が2カ月半ぶりの安値となったことも、安全資産としての円の需要を押し上げた。日本の経済ニュースが予想を下回ったことも、当初は円高圧力となった。
日本の6月の第3次産業指数は前月比-0.4%と、予想の前月比-0.2%より弱い結果となった。日本の7月の輸出は前年同月比-0.3%で、予想の-0.2%より弱く、過去2年間で最大の落ち込みとなった。 また、7月の輸入は前年同月比-13.5%と、2年4ヵ月ぶりの大幅な減少となった。日本の6月コア機械受注は前月比2.7%増と、予想の同3.5%増を下回った。
金は-13.1(-0.69%)、銀は+0.180(+0.80%)。貴金属価格はまちまちで、金は5ヶ月ぶりの安値まで下落した。金相場は、水曜日の7月FOMC議事録で、政策決定者が利上げに値する可能性のある「重要な」インフレリスクを見たと述べたことから、いくらかマイナスに持ち越された。 また、世界的な債券利回りの上昇も貴金属価格を圧迫した。 さらに、ETFの金ロング保有量が火曜日に3年3カ月ぶりの低水準に落ち込んだことから、金のファンド清算が続いている。S&P500種株価指数が7週間ぶりの安値まで下落し、金の安全資産としての需要が高まったため、金の損失は限定的となった。 また、銀は、週次失業保険申請件数と8月のフィラデルフィア連銀景況感調査が予想を上回り、経済成長見通しと工業用金属需要にプラスとなったことが支援材料となった。
世界的な供給逼迫と米国経済の堅調さを受け、原油は上昇
WTI原油は+1.01 (+1.27%)、RBOBガソリンは-4.54 (-1.58%)。
原油は、米国の原油在庫が8ヵ月ぶりの低水準に減少したことを示した水曜日のEIA報告からの持ち越し支援を受けて上昇した。 また、米経済指標が予想を上回り、エネルギー需要を支える経済の力強さを示したことも、原油相場を下支えした。 ドルインデックスが2カ月ぶりの高値まで上昇した後、原油価格は最高値から反落した。 また、中国経済への懸念も原油価格の上昇を制限した。
米国の経済指標が予想を上回ったことは、燃料需要と原油価格の下支え要因となっている。 週間新規失業保険申請件数は前年比-9,000件の23万9,000件と、予想の24万件をやや上回った。 また、8月のフィラデルフィア連銀景況感調査は+25.5で16ヵ月ぶりの高水準となる12.0となり、予想の-10.4を上回った。
イランは先週、囚人の解放と凍結されたイラン資金に関する米国との合意により、核開発を含む他の分野での外交につながる可能性があると述べた。 イランの核開発問題が合意に達すれば、米国とその同盟国はイランの原油輸出に対する制裁を撤廃し、世界の原油供給を押し上げる可能性がある。
弱気材料としては、中国の7月の原油輸入量が前月比-19%の1,033万B/Dと、過去6ヵ月で最小となったことが挙げられる。 また、Vortexaによると、中国の陸上在庫は7月27日時点で過去最高の10.2億バレルに拡大した。
世界第3位の原油消費国であるインドの原油需要が減少していることは、原油価格にとって弱材料である。 インドの6月の原油輸入量は前年同月比1.3%減の1,970万トンで、過去7ヵ月で最低となった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は先週火曜日、ロシアがウクライナの港を封鎖し続ければ、黒海でロシア船に報復すると述べた。 ウクライナの無人偵察機は8月6日、黒海でロシアの石油タンカーを攻撃した。この航路は、ロシアが世界市場で毎日販売する石油の20%を占める。
原油価格は、サウジアラビアとロシアが減産を延長すると発表した今月上旬の流れを引き継いでいる。 サウジアラビアは、100万B/Dの減産を9月まで延長すると発表し、「減産は延長されるか、延長されて深化する可能性がある」と述べた。 今回の減産により、サウジの原油生産量はここ数年で最低の約900万B/Dを維持することになる。 一方、ロシアのノバク副首相は、市場のバランスを取るため、「9月も30万B/Dの原油供給を自主的に削減する」と述べた。 ロシアは8月に50万B/Dの原油生産を削減した。
OPECの7月の原油生産量は、前年同月比90万B/D減の2,779万B/Dとなり、1年4カ月ぶりの低水準となった。
原油にとって強気材料となるのは、ロシア産原油の出荷量が減少していることだ。 ブルームバーグがモニターしている船舶追跡データによると、8月6日までの4週間におけるロシアの原油出荷量は302万B/Dに減少し、5月中旬のピークを約87万B/D下回った。浮体式倉庫に保管されている原油の減少は、価格にとって強気材料となる。 Vortexaが発表した月曜の週次データによると、少なくとも1週間以上停泊しているタンカーに保管されている原油量は、8月11日時点で前年比4.2%減の9,967万バレルとなった。
水曜日のEIA週報によると、(1)8月11日時点の米国原油在庫は季節的な5年平均を1.5%下回り、(2)ガソリン在庫は季節的な5年平均を6.6%下回り、(3)留出油在庫は季節的な5年平均を16.7%下回った。 8月11日に終了した週の米国の原油生産量は、前週比+0.8%増の1,270万B/Dとなり、過去3年間で最も多かった。 米国の原油生産量は、過去最高だった2020年2月の1,310万B/Dをやや下回っている。
ベーカー・ヒューズ社が先週金曜日に発表したところによると、8月11日に終わった週の米国の石油リグ稼働数は、17ヶ月ぶりの低水準となる525リグで横ばいだった。 これは、2022年12月2日に記録された3年4ヶ月ぶりの高値627リグを大きく下回っている。 それでも、米石油リグの稼働数は2020年8月に記録した18年ぶりの低水準172リグの3倍以上となっており、米国の原油生産能力がパンデミック時の低水準から上昇していることを示している。
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