米国株 まとめ 12月18日:タカ派的なFRB発言を受け、株価が急落*備忘録*
S&P 500種指数(SPY)は2.95%下落、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均(DIA)は2.58%下落、ナスダック100指数(QQQ)は3.60%下落。
E-ミニS&P先物は3.14%減、E-ミニナスダック100先物は3.97%減。
株価指数は大幅に下落し、S&P 500は4週間ぶりの安値、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均は6週間ぶりの安値、ナスダック100は2週間ぶりの安値を記録した。午後に株価が急落し、FOMCがフェデラル・ファンドの目標金利を予想されていたよりも25ベーシス・ポイント引き下げたにもかかわらず、来年の金利引き下げ幅は50ベーシス・ポイントにとどまることが示唆され、9月に予測されていた100ベーシス・ポイントを下回ったため、債券利回りは急騰した。FOMCはまた、今年と来年の米国のGDPとインフレ率の見通しを引き上げ、より引き締め的な金融政策を示唆した。午後、パウエルFRB議長が、FOMCは政策のさらなる調整を検討するにあたりより慎重になるだろうと発言し、FRBはより長い期間、政策をより引き締めた状態に維持する可能性を示唆したことで、株価は急落した。
米国住宅関連ニュースはまちまちの結果となった。
11月の住宅着工件数は前月比1.8%減の128.9万件となり、134.5万件の増加という予想を下回る結果となった。しかし、今後の建設の先行指標となる11月の建築許可件数は前月比6.1%増の150.5万件となり、143.0万件という予想を上回る9ヶ月ぶりの高水準となった。
米国の第3四半期の経常赤字は、予想の2871億ドルを上回る過去最大の3109億ドルとなった。
米国のMBA住宅ローン申請指数は、12月13日までの週に0.7%減少した。購入住宅ローンサブ指数は1.4%増、借り換え住宅ローンサブ指数は2.6%減となった。30年固定金利型住宅ローン平均金利は、前週の6.67%から6.75%へと8ベーシスポイント上昇した。
FOMCは予想通り、フェデラル・ファンドの目標金利レンジを25ベーシスポイント引き下げ、4.25%~4.50%とし、労働およびインフレ目標に対するリスクはおおよそ均衡していると述べた。
FRBの金利見通し予測「ドット・プロット」によると、2025年末のフェデラル・ファンド金利の中央値は3.875%で、9月の予測3.375%から上昇しており、来年は25bpの金利引き下げが2回のみとなることを示唆している。FOMCは2024年の米国GDP予測を9月の2.0%から2.5%に上方修正し、2025年のGDP予測も2.0%から2.1%に上方修正した。FOMCは2024年の米国失業率予測を9月の4.4%から4.2%に下方修正し、2025年の失業率予測も4.4%から4.3%に下方修正した。FOMCは2024年のコアPCE予測を9月の2.6%から2.8%に、2025年のコアPCE予測を2.2%から2.5%に引き上げた。
パウエルFRB議長は、インフレについてはまだやるべきことがあり、インフレ目標を達成するには抑制的な金融政策が必要だと述べた。
市場は金曜日に発表される11月のコアPCE価格指数を待ち、政策立案者が利下げを継続できるかを見極めようとしている。11月のコアPCEは、10月の前年同月比+2.8%から+2.9%に上昇すると予想されている。
市場では、1月28日~29日に開催されるFOMCで25ベーシスポイントの追加利下げが行われる可能性を6%と見込んでいる。
海外株式市場はまちまちで終了した。ユーロ・ストックス50は0.30%上昇した。中国の上海総合指数は0.62%上昇した。日本の日経平均株価は1週間ぶりの安値となり、0.72%下落した。
おもな米国株式の動向
半導体株は、序盤の上げ幅を失い、売り込まれ、幅広く市場に重しとなった。ブロードコム(AVGO)とマーベル・テクノロジー(MRVL)は6%以上下落した。また、インテル(INTC)は5%以上、ARMホールディングス(ARM)、マイクロン・テクノロジー(MU)、オン・セミコンダクター(ON)は4%以上下落した。さらに、NXPセミコンダクターズ(NXPI)、グローバル・ファウンドリーズ(GFS)、KLAコーポレーション(KLAC)、マイクロチップ・テクノロジー(MCHP)は3%以上下落した。
大型ハイテク株が下落した。テスラ(TSLA)は8%以上下落した。また、アマゾン・ドット・コム(AMZN)は4%以上下落してダウ・ジョーンズ工業株価平均の下落率トップとなった。さらに、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)、ネットフリックス(NFLX)は3%以上下落した。
ヘイコ(HEI)は、第4四半期の純売上高が10億1000万ドルとなり、コンセンサス予想の10億5000万ドルを下回ったことを受けて、8%超下落した。ジェフリーズは、この銘柄を「買い」から「ホールド」に格下げし、目標株価を32ドルとした。
リビアン・オートモーティブ(RIVN)は、ベアードがこの銘柄を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に格下げしたことを受けて、11%超下落した。
ラム・ウェストン・ホールディングス(LW)は、ポスト・ホールディングスがラム・ウェストンの買収に代えてポテト・プロダクツ・オブ・アイダホLLCを買収したことを受けて、4%超下落した。
エレクトロニック・アーツ(EA)は、スティフェルが買いからホールドに格下げしたことを受けて、3%下落した。
フルーア(FLR)は、ベアードがアウトパフォームから中立に格下げしたことを受けて、6%超下落した。
イーストマン・ケミカル(EMN)は、シティグループがこの銘柄を「買い」から「中立」に格下げしたことを受けて、4%超下落した。
ジャビル(JBL)は、第1四半期の純収益が69億9000万ドルとなり、アナリストの予測65億9000万ドルを上回り、また第2四半期の純収益予測61億ドル~67億ドルはアナリスト予測62億9000万ドルの中間値を上回ったことを受けて、S&P 500種構成銘柄の中で7%以上上昇して上昇率トップとなった。
最近まで下落していた医療保険株は反発した。シグナ・グループ(CI)は6%以上、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)は2%以上上昇し、ダウ・ジョーンズ工業株価平均の値上がり銘柄トップとなった。また、CVSヘルス(CVS)、ヒューマナ(HUM)、センテーヌ(CNC)は2%以上上昇した。さらに、モリーナ・ヘルスケア(MOH)は1%以上上昇した。
ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)は、TDカウエンが「複雑な」継続決議と緊急資金調達パッケージについて米議会議員が合意に達したことは同社にとってプラスになる可能性があると述べたことを受け、0.49%上昇した。
金利
10年物米国債先物は28.5ティック下落した。10年物米国債の利回りは10.3ベーシスポイント上昇して4.502%となった。米国債先物は1ヶ月ぶりの安値を記録し、10年物米国債の利回りは6ヶ月半ぶりの高値となる4.518%まで急上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)が翌年の金利引き下げ幅を50ベーシスポイント(bp)と発表したにもかかわらず、9月に予測されていた100bpの金利引き下げ幅から減少したにもかかわらず、米国債は売られた。また、FOMCが今年来年の米国のGDPと中核個人消費支出価格の見通しを引き上げた後、米国債は圧力を受けた。さらに、パウエルFRB議長がタカ派的な発言を行い、インフレ目標を達成するにはFRBは引き締め政策を維持する必要があると述べたことで、米国債価格は下落した。
欧州国債利回りは上昇した。ドイツの10年物国債の利回りは1.5ベーシスポイント上昇して2.245%となった。英国の10年物国債の利回りは5週間ぶりの高値となる4.577%まで上昇し、3.4ベーシスポイント上昇して4.558%となった。
タカ派的なFRB発言を受けドルが2年ぶりの高値に急騰
ドル・インデックスは1.04%上昇し、2年ぶりの高値を記録した。FOMCが来年の利下げ幅を50ベーシスポイントにとどめる方針を示したことを受け、ドルは上昇した。これは、9月の利下げ幅100ベーシスポイントという予測から下方修正されたものである。また、FOMCが米国の2024年のGDPとコアPCE価格の見通しを引き上げ、米国の失業率予測を引き下げた後、ドルは上昇した。パウエルFRB議長が「インフレ目標を達成するには、抑制的な金融政策が必要だ」と発言したことで、ドルは高騰した。米国の住宅関連ニュースはドルにとってまちまちだったが、第3四半期の経常収支赤字が過去最大となったことはドルにとって弱気材料となった。
ユーロ/ドルは-1.20%下落し、1/2週間の安値を記録した。ドルが2年ぶりの高値をつけたことがユーロの重しとなった。ユーロ圏の経済ニュースはユーロにとってまちまちの結果となった。ユーロ圏11月の消費者物価指数(CPI)は下方修正され、ユーロ圏10月の建設生産高は21ヶ月ぶりの大幅増加となった。
ユーロ圏11月の消費者物価指数(CPI)は、前回報告の前年比+2.3%から同+2.2%へと下方修正された。11月のコアCPIは前年比+2.7%で変わらずだった。
ユーロ圏10月の建設生産高は前月比+1.0%となり、21ヶ月ぶりの大幅増加となった。
市場では、1月30日に開催される次回のECB(欧州中央銀行)理事会において、25ベーシスポイントの利下げが行われる可能性が100%、50ベーシスポイントの利下げが行われる可能性が14%と見られている。
米ドル/円は0.74%上昇した。円は対ドルで3週間ぶりの安値をつけた。 米国債の利回りが急上昇したことで、FOMCが来年は金融緩和を縮小するとの見通しを示したこともあり、円安が進行した。日本の貿易ニュースは、輸出が好調だった一方で輸入が予想外に落ち込んだことで、円相場に影響を与えた。また、木曜日の政策会議で日銀が金利引き上げを見合わせるとの観測も円安圧力となっている。
日本の貿易ニュースはまちまちであった。日本の11月の輸出は前年比で+3.8%増となり、予想の+2.5%増を上回った。日本の11月の輸入は予想の+0.8%増を下回り、前年比で-3.8%減となり、8ヶ月ぶりの大幅な減少となった。
金は8.70ドル安(0.33%安)、銀は0.191ドル安(0.59%安)
貴金属はドル高を受けて小幅安となった。 また、世界的な債券利回りの上昇も貴金属にとってはマイナス材料となった。FOMCが来年は金利引き下げの回数が減少するとの見通しを示した午後、市場取引終了後の取引で金価格は1オンスあたり35ドル以上下落した。シリア政府の崩壊やウクライナとロシアの対立激化といった地政学上のリスクから、貴金属は安全資産として買われている。また、米国の11月の建築許可件数が予想を上回る9ヶ月ぶりの高水準となったことや、ユーロ圏の10月の建設生産高が21ヶ月ぶりの大幅な増加となったという世界経済のニュースが発表され、工業用金属の需要を支える要因となった。
カザフスタンが原油生産量制限を約束し、原油価格は上昇したが、EIAの在庫報告とFRBのタカ姿勢で下落
WTI原油は0.50ドル高(+0.71%)、RBOBガソリンは0.0011ドル安(-0.06%)
原油とガソリン価格はまちまちの展開となった。カザフスタンがOPEC+の生産割当を順守する意向を示したことを受け、原油価格は世界的な石油供給の逼迫観測から上昇した。EIAの在庫報告がまちまちだったことを受け、原油価格は最高値から下落し、ガソリン価格はマイナス圏に下落した。
また、ドル・インデックスが2年ぶりの高値をつけたことでエネルギー価格の重しとなった。
カザフスタンがOPEC+の割当量に従う意向を示し、来年の原油生産量を日量19万バレル増やす計画を棚上げしたことで、原油価格は下げ止まった。
ロシア産原油の輸出減少は原油相場を下支えしている。ブルームバーグが発表した船舶追跡データによると、12月15日までの週のロシア産原油輸出量は17万バレル減の297万バレルとなった。
EIAが水曜日に発表した週次報告書は、原油と製品について相反する内容であった。強気な面では、EIAの留出油供給量が予想外に318万バレル減少したのに対し、110万バレルの増加が予想されていた。 一方、EIAの原油在庫は予想を下回る93万4000バレル減となった。また、EIAのガソリン在庫は予想を上回る235万バレル増となった。さらに、WTI先物の受け渡し地点であるクッシングの原油在庫は10万8000バレル増となった。
水曜日に発表されたEIAの報告書によると、(1)12月13日時点での米国の原油在庫は季節的な5年平均を5.9%下回っており、(2)ガソリン在庫は季節的な5年平均を3.3%下回り、(3)留出油在庫は季節的な5年平均を7.0%下回っている。 12月13日までの週の米国の原油生産量は、前週の1,363.1万バレル/日からわずかに減少して、前週比0.2%減の1,360.4万バレル/日となった。
※当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的として翻訳、作成した資料です。投資勧誘を目的としたものではありません。翻訳の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する決定は、ご自身で判断なさるようお願いいたします。
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