アメリカ株オプション市場について 上昇局面でのボラ上昇⁉
8月から9月にかけてのアメリカ株の調整ですが、特にNASDAQのハイテク株での調整が大きかったです。通常株式市場では、株価が下がり始めて、VIX指数などのボラティリティーが高くなっていくものでしたが、8月末には逆にボラが上がり始めてから、株価が調整し始めました。このような動きは非常にまれなことです。VIXインデックスは恐怖指数とも呼ばれ、市場が下落し始める(リスクが高まり)と上昇するとされています。対象市場のインプライド・ボラティリティーから算出されています。CBOEではVIX指数以外にも、様々なボラティリティー・インデックスを発表していますが、NASDAQと個別銘柄のアップル(AAPL)も発表しています。
米ハイテク株では、NASDAQのクジラと呼ばれている巨大投資家に限らず、個人投資家が指数のオプションどころか個別株のオプション市場で大暴れしており彼らのポジションが相場の行方を決めていると推測するステラテジストもいます。10月第1週には、またクジラがオプションで取引を行ったおいう噂がありました。
実際に株価とボラティリティーがどのような動きをしたのか、NASDAQ100指数(NDX)とアップル株(AAPL)で見てみましょう。
NASDAQ100指数とVXNインデックス
出所:CBOEデータからFuture_Researchが作成
VXNインデックスは、CBOEが算出しているNASDAQ指数のボラティリティー・インデックスです。
8月末から暴落始めた9月1日に向けて、ボラティリティー・インデクスは上昇しています。株価が下落する前にボラティリティーが上昇しているのです。個人投資家だけでなく、ハイテク株を中心にオプション市場が盛り上げっているからこそこのような動きになったのではないでしょうか。この先はVXNインデックスの動向もよく見ておいた方がいいでしょう。ただ昔から言われていた、ボラティリティーが上昇したらその対象資産を売却もしくはヘッジをかけるという戦略はよりうまくいく可能性があります。
過去の相場とボラティリティー・インデクスの推移を見ても相場が下落し始めてやっとボラティリティーは上昇していました。
次に、個別銘柄のアップルについて見てみましょう。CBOEは個別銘柄のアップル(AAPL)のボラティリティー・インデクス(VXAPL)も計算・発表しています。
出所:CBOEデータからFuture_Researchが作成
こちらも長いチャートも見てみましょう。
出所:CBOEデータからFuture_Researchが作成
アップルほどのラージ・キャップであれば、似たような動きとなるのでしょう。VXAPLインデックスの注目の指標になるかもしれません。
CBOEは取引量も公表しています。価格の動きと合わせてグラフにしてみました。(2020年7月27日~10月13日)株価が上がってくると、オプションの取引量も増えているようです。
出所:CBOEデータからFuture_Researchが作成
まとめ
相場が下落すると上昇するVIX指数などを代表するボラティリティー・インデクスは上昇局面でも発生しました。このような状況になると、ターゲット・ボラティリティー戦略はうまく機能したのかもしれません。今後は、この2つのボラティリティー・インデクス(VXNとVXAPL)は見ておくといいでしょう。上昇局面でも売りになる可能性が高いです。現物株を持っているのであれば、少数売り始めてもいいですが、ボラが上がっているということでアット・ザ・マネーのコール・オプションを売却してプレミアムを稼ぐのもありです。カバードコールにしていいですね。
ただし、10月に入ってからボラティリティー・インデクスは下がり続けています。個人的は、大統領選でどちらが大統領になっても、議会で予算議決が進むやすくなることで、株価は上昇すると思います。こんな超低金利下では、財政支出も株価には、サポート材料になると考えています。財政赤字が国債増発で長期金利上昇は、FRBの長期国債買い入れで問題なくなると思っています。10月はリスク資産の仕込み場かもしれません。
VIXインデックスとは?
CBOEボラティリティ指数(英: CBOE Volatility Index)。シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P 500を対象とするオプション取引の満期30日のインプライド・ボラティリティを元に算出し、1993年より公表しているボラティリティ指数。
VIX指数は今後30日間のS&P 500の予想変動範囲を表現している。ただし現実にはS&P 500が下落する場合はVIXは上昇する傾向があり、VIXとS&P 500のパフォーマンスは負の相関関係にある。その統計的傾向から俗に恐怖指数とも呼ばれる。
VXNインデックスとは?
CBOE NASDAQ-100 Volatility Index (VXN)。シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公表する。米国を代表する株価指数の一つであるナスダック100指数(NASDAQ-100)のオプション取引価格から算出される指数で、米国の投資家心理や株式市場の不確実性を反映するように設計されている。一般的に数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる。
※当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的としてFuture Researchが作成した資料です。投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当方の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資に関する決定は、ご自身で判断なさるようお願いいたします。
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