価値の連鎖
比較用語であるから、価値はそれを唱える者にとっての「一人称」の用語である。広義に捉えれば「人間にとっての価値」と同義である。すると人間についても考えなければならない。民主主義国家においては、個々の人間は、自己実現や自己決定、そして自己表現などの権利を有し、個々の尊厳が保証されている。加えて、自分自身や周囲の人々の幸福を追求することが出来る機能を有し、その為の様々な権利や自由も獲得できる。社会的な生物であり、他者との関係性を築くことが出来、共同体や社会において貢献することが重要視される。
この他者との関係性において、意識の中に相互乗り入れしていく一人称表現が価値である。それは価値と唱える者の価値観の表現様式だからである。価値観に関しては後日議論するが、価値観から生まれいずる一人称の価値を他者と比較することで、内省によってのみ理解される価値観のベクトルの一致性をお互いが評価できる。「趣味が合致する」ことが人づきあいが長く続く一因だが、それは価値観の同意性を無意識に感じ取ることが出来るからだ。個人が唱える「価値がある」という表現が他者に連鎖していくという現象を活用して経営に結び付けている思考がMOTの原点にある。だからこそ、MOTにおいて最初に語られる単語が「価値」なのである。