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属人性とMOT

日本の職人技は、ドイツ国のマイスターと比較されることが多い。我が国においても、社内マイスター制度を採用し、発揮できる技能に応じた給与が支払われている事例がある。有する技能に応じた人的尊敬が、技能の向上を後押しする。一方で、職人技を活用しなければ形作ることができない商材の経済的価値は、その技術を有する人材の雇用経費から算定されることになる。この状態ではMOTの思考は無用である。技術が社会にもたらす価値から価格を設定するのではなく、職人技という、神格化された「属人性」による他社との差別化要因を守ることが、企業の継続性と考えているからである。人が有する技能を価格設定の主要因としている。

人的要因は極めて重要であるのだが、その人的要因を単に「ミスターかんこつ」と崇めているだけでは、いずれ老化によって無くなる「かんこつ」に支えられた技術ということになる。人に属している「かんこつ」を、何故、その人がその「かんこつ」を生み出すことが出来たのかを突き詰めるべきである。MOTの一つのアプローチがそこにあると考えている。人の技術を経営していくことがMOT思考の出発点である。