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時計のない喫茶店。
日頃の運動不足がたたって腰も痛くなってきたので久しぶりに散歩に出ることにしました。
いつもは車で過ぎ去る風景も、歩く速度で見ると、普段は目に入らいないものもよく見えます。
そんな風景を楽しみながら歩いていくと、ふとマンションの角に1軒の喫茶店があることに気づきました。
そこには「時計のない喫茶店」と書かれています。
ちょうど休憩したいと思っていたところだったので、足を止めお店のなかに入ります。
お店は10人ぐらいが座れるだろうか?
カウンターと小さいテーブルが2つ、3つ並んで、中には1人のお客さんが座っています。
店主は若い細身の男性で、もの静かに立って、こちらの様子を伺っていました。
「こちらで注文をお願いします。」
手書きで書かれたメニュー表にはコーヒー豆の種類と香りが書かれており、HOTメニューとCOLDメニューでのおすすめが示されています。
酸味が少なめの香り高いエチオピア産のコーヒーを注文し、小さな椅子に腰掛けて、お店を眺めてみます。
店内にはやはり時計はありません。
私も時計と携帯電話をかばんにしまい、この静かなときと時間を楽しむことにしてみます。
店内にはおしゃれなイタリア製エスプレッソマシンとアンプが丁寧に配置されており、左右の木製のスピーカーから陽気な音が流れます。
おそらくは海外の映画のサントラだろうか。
よくみるとところどころに映画のポスターが額に入れられ飾られており、
店内に置かれている雑誌や書籍も映画に関するものやワインに関するものが多く、店主の趣味が伺えます。
南西向きに配置された窓からほのかな夕日が差し込むが、ビル影もあり直射日光は入りません。
やわらかな光と静かな音楽、丁寧に淹れられるコーヒーから香る匂い。
何もないけど、豊かに、やわらかく五感を刺激される心地よい空間です。
時計がない、ただそれだけだが、客観性をもたらすもの、絶対的な数字というしばりがない空間では、自分の体の感覚が解き放たれるのを感じます。
だから淹れられたコーヒーも、より私の鼻と味覚を刺激して、いつも飲んでいるコーヒーとは全然違う豊かな味わいを提供してくれたのでしょうか。
いつもであれば、コーヒーに合わせて何か甘いものも頼みたくなるのですが、今日はそれもいらなさそう。
静かに、ゆっくりとコーヒーの香り、残り香を味わいながら、ただその空間に身を委ねてみます。
時計のない喫茶店。
たった1つないだけでこんなにも豊かになれる、禅寺のようなそんな居心地の良い所でした。
また1つお気にいりの場所が増えました。
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#札幌 #散歩 #喫茶店 #感覚の解放 #コーヒー
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