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本を読むこと。~ 最も美しいセオリー ~

セオリー(theory)とは、物事の因果関係や法則性を体系的かつ合理的に説明するための知識・思考・見解、という意味で用いられる言葉。
日本語では「理論」「学説」または「~論」、文脈によっては「持論」や「定石」の意味で用いられることも多い。
weblio国語辞典より引用

セオリーは個人的なものから、この世の中を合理的に説明するものまで、大小様々ありますが、その中でも最も美しいセオリーと何でしょうか?

この興味深い問に答えたのが、「知のトップランナー149人の美しいセオリー 」です。

その序文には「美しいセオリー」は「美しく」「エレガント」であるとされ、それは、なるべく少ない仮定のもとで多くのことを説明する力を持つものであるとされています。

科学におけるもっとも大きな喜びは、少数の単純な原理が、深遠な疑問に対して、思いも寄らない方法で解を与えるところから来るのだろう。そのような説明は「美しく」て「エレガント」だと言える。例え例えばケプラーが惑星の複雑な運動を楕円で説明したことやニールス・ボーアが周期表にある元素を電子殻で説明したこと、ンとワトソンとクリックが二重螺旋で遺伝的複製を説明したことが挙げられるだろう。美しではもっとも美しいセオリーは?で、見た目に明らかではない考えが、多岐にわたって複雑な現象の説明として使われること。
知のトップランナー149人の美しいセオリー  序文より引用

「知のトップランナー149人の美しいセオリー」は、オンラインクラブ「エッジ」の「鋭い質問:エッジクエッション」に寄せられた、聡明な科学者、物理学者、心理学者の考えた「美しいセオリー」をまとめ、編集をしたものになります。

知のトップランナーが選ぶ美しいセオリー

本書でもっとも「美しいセオリー」として多くの科学者に挙げられているのはダーウィンの「自然淘汰における進化」でした。

ダーウィンの進化論はすべての生物のみならず、文化や言語、モノに至るまで、それがなぜ存在するのかをもきれいに説明します。

さらにはダーウィニズムの潮流を生み出し、後に発見される遺伝子の複製など他の「美しいセオリー」も導き出したことからも、最も「美しいセオリー」に選ばれる所以だと思います。

ダーウィンの進化論は「適者生存」、「自然淘汰(自然選択)」の言葉を生み出し、後の優生学、優生思想に影響を与え、悲劇も生まれますが、本来の自然淘汰はヒトの手による介入がされないものであり、全く異なった考え方です。

むしろ、自然選択説は、環境変化に適応したものが生き残るのではなく、たまたま生き残ったものが世代を超えて環境に適応していくと考えるため、厳しい生存競争を生き残っていくためには、多様性(ダイバーシティ)が重要になると考えます。

生存競争に限らず、現代社会においても「多様性」の考え方は大変重要であり、凄まじいスピードで変化が起こる現代社会において、多様性を持つ組織やコミュニティはリスクを分散し、生き残る確率を高めています。

このように、ダーウィニズム自体も時代の文化や知恵を取り込みながら、進化し、現代においても大変重要な「セオリー」の1つであり、納得の最も「美しいセオリー」だと言えます。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Charles_Darwin_01.jpg


私の好きなセオリー

本書の中で紹介されているセオリーの中で私がもっとも、気に入っているセオリーは、「何もかもがそのようになるのは、それがそうなるようにできているからだ」です。

こちらの警句は生物学者で古典学者であったダーシー・トムソンが言ったとされています。

ダーシー・トムソンは1942年頃に動物形態変異の様相を座標変換という視点から読み解き、動物形態の変化を『成長と形態について』の中で解説をしています。

同じ動物種が、個別環境への適応を通して、それぞれの形態を次第に変異、変換させる過程を追っており、歴史的プロセスの重要性を暗に指摘してます。

現在の状態を定常的なものの一場面としてその詳細を知るというアプローチを取る限り、科学の概念を把握するのは不可能だ。その状態を生み出したメカニズム、どのうようにしてここに至ったのかを理解することが、遺伝学でも比較生理学でも、解剖学でも、生化学でも、そして進化生物学でももっとも重要な視点である。
知のトップランナー P224より引用

                                     このセオリーは私の仕事における臨床的視点で最も大切にしていることであり、治療に入る前の対話や問診によって、対象者の生きてきた歴史に踏み込み、なぜ今こうなっているのか、その過程、経緯を知ることの重要性を説明しています。

今、私達がその状態に在ることを知るためには、歴史的な進化とその人が歩んだ発達過程、歴史を理解しなければいけません。

そのモノがなぜその形なのか、なぜその色なのか、なぜそこに存在し、そのように置かれているのか。

なぜ、いまこの時代に戦争が起こり、罪のない人々が殺されなくてはいけないのか。

今、その状態だけを見ていても、その答えはわかりません。

歴史を学ぶ意義はここにあると思います。

「何もかもがそのようになるのは、それがそうなるようにできているから」

このセオリーは「今」の視点に「過去」という奥行きを与えることであり、大切にしたい「セオリー」です。


まとめ

セオリーとは物事の因果関係や法則性を体系的かつ合理的に説明するための知識・思考・見解である。

美しいセオリーは、なるべく少ない仮定のもとで多くのことを説明する力を持つものであり、ダーウィンの「進化論」が識者に選ばれたもっとも美しいセオリーであった。

この理論が受け入れられるのには種の進化と同じだけの時間がかかりそうだ。
チャールズ・ダーウィン(生物学者)

あなたの好きな「セオリー」は何でしょうか?


最後までお読みいただきありがとうございます。


美しいセオリーを学ぶための読書

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