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小西康陽の歌詞は映画の世界
金曜の夜、仕事を終え、大阪駅行きのバスに乗った。向かったのはBillboard大阪。
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この人に会うために。
名前を見ても知らない方も多いかもしれない。
多くの人が知ってそうな所でいうと
・細川ふみえ スキスキスー
・吉村由美(PUFFY) VACATION
・ふなっしー ふなっしーの買い物わっしょい
・香取慎吾 慎吾ママのおはロック
・ドラマ「二月の勝者」の劇中サントラ
なんかを作った人。
私が青春時代を捧げたピチカート・ファイブのリーダー&作詞・作曲・編曲家。
渋谷系を語る時、なくてはならない存在で、私にとっては神のような人。
ピチカート・ファイブに出会ったことで、私の生きる世界は随分と変わった。
知らなかった音楽に出会い、素敵な詩の世界に浸り、お洒落に目覚め、映画に興味を持ちーー大阪の片田舎のパッとしない女子が、都会に飛び出すキッカケを作ってくれた。
ピチカート・ファイブはもう解散してしまったけれど、それでも私の中ではいつでもピチカート・ファイブが鳴っている。
そんな小西さんが5年ぶりにBillboard大阪にやって来る。土曜も仕事だしどうしよう、と思ったけど、やっぱり行く事にした。
綺麗な白髪のマッシュルームカット。
真っ白な口髭と顎髭にいつものメガネ。
黒いマントを羽織り、ストライプのパンツ姿。
体型はハンプティーダンプティーのようになっているけれど、雰囲気がそれをカバーして、やっぱりお洒落だ。
小西さんと言えば恋の歌。
恋と死がいつでも隣り合わせで、物悲しいのに悲壮感は漂わない。リズムに乗るとお洒落に聞こえる。
私はライブの間中、歌詞に耳を傾けていた。
なぜ、どうして、死ぬことを歌っているのに暗くどんよりとしないのだろう。
そしてふと、気がついた。
どの詩もフランス映画のような絵が浮かんでくる。
全ての歌詞が映画の場面やセリフみたいなのだ。
「東京は夜の7時」をみんなで合唱し、アンコールは「ハッピーサッド」のイントロと思いきや「陽の当たる大通り」を歌い出す。そんな粋なアレンジに、心の中で奇声をあげていた。
ハットをかぶりステッキを手に、アステアみたいにステップを踏んで「バイビー」と手を振りながら去っていった小西さん。
PIZZICATO ONEになってもPITTICATO FIVEは健在だ。
♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ♩
今回は矢舟テツロートリオ【矢舟テツローさん(piano) 鈴木克人さん(bass) 柿澤龍介さん(drums)】+田辺充邦さん(guitar) +田辺さんの奥様の平山織絵さん(cello)でのライブ。
ウッドベースとチェロが入る構成はなかなか珍しい。しっとりとしたバラードやチェロメインの伴奏など、歌詞だけではなく、編曲もカッコいい。
矢舟さんがソロで歌う場面もあった。前回のBillboardライブでも矢舟さんの歌は拝聴していたが、今回はその時より、とても素敵な歌声に感じた。
帰ってから「矢舟テツロー、ベリッシマを歌う」を聴きながらお風呂に入り、眠りについた。
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前期高齢者になっても元気な小西さん。
これからも永遠に私の神様。