オオシマさんが!
朝、いつものようにホームの最後尾へと向かう。向かいのホームを見ると、左斜め前に
「オオシマさんがいる!!」
私は平静を装い、オオシマさんの正面に立った。
グレーのトレーナーにカーキのワークパンツ、コンバース風の黒のスニーカー(底のゴムの部分は少し厚めで真っ白)に紺のキャンバス地のトートバッグを体の前で両手に持って立っていた。
左の手首には黒のバンドに盤面が丸い腕時計をはめて。
髪の毛は少し短くなり、金色のメッシュはそのままに全体の髪色が落ち着いている。そして今日もつるんと乱れる事なく綺麗にセットされている。
しかし、以前と違うのは表情が暗く、痩せていること。少し丸みを帯びていたその頬はこけ、活気がない。
健康的にダイエットをしたのではなく、病気か何かで痩せてしまったと言う感じ。
この1ヶ月見かけなかったのは、病気で休職していたのかもしれない。
久しぶりに会えたオオシマさんに私は興奮し、4本のレール越しにオオシマさんに悟られないように「スマホで友達にLINEを送っていますよ」と言う雰囲気を醸し出し、オオシマさんをガン見しながらこの文章を打っている。
INOBUNの店員さんのような雰囲気を纏っているオオシマさん。
いつもオシャレなオオシマさん。
私が勝手に好きになったオオシマさん。
しんどそうだったので、向かいのホームの私には気がついていないかもしれないけど、それでも良い。
私がこの通勤電車を使うのも、あと2ヶ月。
その間にオオシマさんに笑顔が戻りますように。