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【あれこれ】盲導犬と離席した女性


メンバーのエラルドさんによる、盲導犬がバイト先にやってきたお話。来月からまた寄稿者もグッと増えますので、お楽しみに〜(スタッフ・古川)





こんにちは。エラルドです。

12月寄稿「聖夜の盗み聞き集」で紹介した「カフェ卓ベスト27」ですが進捗があったので今回はその報告をします。

11卓。この間、盲導犬一匹を連れたお客様数名がお座りになりました。街では見かけたことはありましたが、室内は初めて。わあ!でけえ!

イスをひとつよけ、空いたスペースにワンちゃんがすっぽり。かわいーとスタッフで盛り上がっていると、お昼時で満席になった店内でなぜか通路にひとり、若い女性が立っています。よけたイスが邪魔だったんですかね。深紅のイスを別の場所に移し、どうぞと彼女に伝えると、無視。うん?聞こえなかった?心なしかなんか睨まれているような…。

「エラルドさん」

ここでいっしょにフロアを駆け回っていた子に声をかけられました。

「12卓のお客様が動物苦手で席を移りたいとのことなんですが…」

なるほどね。ワンコのいる隣の席にいた男女。さっきまで和やかな雰囲気だったのに一転、でかいぬの登場で彼女側に拒否反応出ちゃったか。こればっかしは仕方ない。

席を用意することを12卓に残った男性に伝えます。代わりのテーブルを用意しながら僕は思いました。

こういうことはこれからもあるんだろうなあ。

盲導犬を連れたお客さんはもちろん悪意はないし、身の不自由を補うために自然の力を借りただけ。ここも盲導犬対応店であり、彼らは社会のルールをまっとうに遵守してくれている。かといって、席を離れた女性も悪気はなくて、ただその現象がどうしても受け入れられない。

うーん。他者を尊重して、常に気を使って、そんな理屈や言論が先行している現代社会だけど、理性だけでは動けないニンゲンの病や生理といった動物性が小さな不寛容を生んでいる、そんな現場に出くわしてしまった。ちょっと悲しい。なにに対して?動物性?自然界?神が悪いんですかね。

当ラボも、言ってしまえば「弱者性」を利用している部分があります。「つらい経験をした私に気をつかえ」という盾に甘んじてしまう。けれど、理屈で武装できたところで、他者の心が動くわけではありません。毒にも薬にもならない発信は嫌ですが、ポジショントークがいきすぎて他人と向き合えないのはかっこ悪いなと思います。席を立ってしまう女性は、いる。

新しい席に座った元12卓のお客様は、ひと安心と団らんを続けました。11卓のわんこは、大きな体を横にしてスヤスヤ眠っています。店はお昼時。満席の中、スタッフだけが慌ただしく動き回っています。はじめから、誰も何事もなかったように時間は進んでいく。



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寄稿連載【あれこれありましたが、】では、当時行きづまっていた私たちがいまどうやって生きているか。あれこれありましたが、よろしくやってる方々の日常や思考を寄せてもらい、連載しています。

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