病み続けるには目的がある?/統一教会.中山達樹弁護士ブログ(アーカイブ)
精神疾患に対する侮辱と偏見に満ちた記事
中山弁護士のこの記事には重篤な問題点がある。以下にその問題点を指摘する。
目的論の誤用
アドラー心理学の「目的論」は、すべての行動がある目的に向かっているとする考え方だが、この記事ではそれが極端に解釈され、精神疾患や引きこもりといった問題が意図的な行動として捉えられている。しかし、精神疾患や引きこもりの原因は非常に多岐にわたり、脳内の化学的不均衡やトラウマ、遺伝的要因なども含まれる。これらは意識的な目的とは無関係で、単純に「目的がある」とするのは、疾患の複雑性を無視した表面的な解釈である。
「被害者最強」論の危険性
精神不調や鬱に「被害者としての地位を得たい」という目的があると述べているが、これは精神的苦痛に苦しむ人々を侮辱し、彼らの苦しみを軽視する発言だ。多くの人々は、自らの意思で苦痛を選んでいるわけではなく、むしろそれを避けたいと思っている。精神的な問題を「被害者ぶっている」と簡単に片付けるのは、精神疾患に対する理解不足を示している。
精神疾患の無意識的要因の誤解
「無意識的に病み続ける」という主張があるが、これは精神疾患の無意識的な側面を誤解している。精神疾患の多くは、無意識や意識を超えた生物学的・心理的な要因に基づいて発症する。たとえば、鬱病は脳内の神経伝達物質の不均衡が一因であり、それは患者の意思や目的とは関係ない。無意識的な動機にすべてを還元するのは、科学的にも誤りであり、精神疾患を経験する人々にとっては大変有害な見解である。
精神的健康問題への誤解と偏見
この記事の最大の問題点は、精神疾患に対する偏見を助長する点にある。精神疾患は意図的であるという見方は、当事者を「怠けている」または「被害者ぶっている」と非難し、社会的支援や理解を阻害する。このような考え方は、精神疾患を持つ人々が適切な治療やサポートを受ける機会を減少させる危険がある。精神疾患は個々の環境や生物学的要因に影響され、決して意図的な行動ではない。
根拠のない仮定
「周りのメンタル不調な方にも目的があるはず」という主張は、個別のケースに対する分析が不足しているため、根拠のない仮定に過ぎない。全てのメンタル不調に同じ「目的」を当てはめるのは、あまりにも単純化された見方であり、科学的・臨床的な証拠に基づかない。
結論
この記事は、アドラー心理学の「目的論」を極端に解釈し、精神的な不調を意図的な行動として描いているが、これは精神疾患に対する理解を欠いた見方であり、科学的根拠や臨床的経験に基づかない主張である。精神疾患には多くの要因が絡み合っており、単純に「被害者ぶるため」などの目的に還元することはできない。精神的苦痛を経験する人々に対する共感と支援が重要であり、誤った偏見を広めることは避けるべきである。
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