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デンジャー縞ほっけ部【#毎週ショートショートnote】
友人から聞いた、不思議で少し恐ろしい話だ。
彼が大学時代に所属していたサークル「デンジャー縞ほっけ部」についてである。
その名前だけでも十分奇妙だが、活動内容はさらに掴みどころがない。「縞ほっけ」という名前ながら、釣りや料理のサークルではなく、なぜか部員たちは夜な夜な山や廃墟に集まり、奇妙な儀式めいたことをしていたという。大きな白い布に魚の骨を置き、満月の下で部員全員が「デンジャー」と声を揃えて叫ぶ。それ以上の詳しいことは新入部員には教えられず、上級生たちが「深い意味はない、ただの伝統だ」と笑うだけだった。
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友人も最初はそれを馬鹿げた遊びだと思い、楽しんで参加していた。しかし、ある晩、活動に参加していた同期の一人が突然、「あの魚、動いたぞ」と呟いた。その場にいた全員が、布の上の魚の骨に目をやったが、もちろん骨は何も動かない。ただの冗談だろう、と笑い飛ばす空気の中、部長だけが妙に険しい顔をしていた。
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それからしばらくして、その同期が大学に姿を見せなくなった。「急に休学したらしい」「親の都合で地元に帰った」といった噂だけが飛び交い、彼の所在を知る者は誰もいなかった。不安を覚えた友人は、部長にそれとなく質問したが、「何でもない」と言って話題をそらされた。
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だが、彼はどうしても気になり、部室の奥にある古い資料棚を漁った。その中から、古ぼけた手帳が見つかった。表紙には「デンジャー縞ほっけ部創設の記録」と書かれている。その内容を読んでみると、初期の頃から活動の記録が細かく記されており、あるページにはこう書かれていた。
「儀式を行うことで、あの“魚”を取り戻す。だが、失敗すれば“代償”が必要となる」
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背筋が凍った。友人がそのページをさらに読み進めようとしたとき、突然背後から部長の声がした。「読まない方がいい」と低く、抑えた声で言われた。振り返ると、部長はいつもの軽薄な様子ではなく、顔色が悪く震えているようだった。
その夜、友人はサークルを辞める決意をした。後日、部の活動には一切参加せず、関わりを断った。サークルも翌年には自然消滅したようで、大学内からその存在は忘れ去られていった。
だが最近、彼のもとに奇妙な荷物が届いたという。中には大きな白い布と魚の骨、そして一枚のメモが入っていた。
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「次はお前の番だ」
メモにはそう書かれていたらしい。