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六本木合法ぼったくり闇料亭X【実話ショートショート】

友人が一度、六本木の《料亭X》に行ったことがあるらしい。その話は、一見きらびやかなネオン街の中に隠された恐ろしい現実を垣間見せるものだった。

《料亭X》は和風の美しい建物で、外から見ればただの高級料亭。内装も凝っていて、全てが一級品だったという。料理はどれも絶品で、接客も丁寧で申し分ない。初めて訪れる客なら、この店を天国のように感じるだろう。しかし、裏の顔を知ってしまったら、そう思えるのは最初だけだ。

その友人は、当時少しお金に困っていて、ある知り合いから「資金繰りの相談をしてみたら?」と勧められた。料亭のママは表向きは穏やかで気品に満ちた女性。だが、客が席に着いた途端、彼女の真意が垣間見えたという。

最初は上品な笑顔と優しい言葉で迎えられる。お酒が勧められ、高級料理が次々と運ばれてくる。それだけで特別な気分にさせられ、融資の相談に来たことも一瞬忘れそうになる。しかし、いざ話を切り出すと、途端に温度が変わる。ママの表情が硬くなり、「今月は難しいけど、また来月どう?」と言われ、話が終わった。

それだけでは終わらなかった。その場にいた友人の女性は、いつの間にか頼んでもいないワインや特別メニューを勧められ、最後に請求書が突きつけられた。そこには「15万円」という驚愕の数字が書かれていた。抗議する間もなく、別の従業員が「ここにカードをお持ちですよね」と暗に支払いを迫ってきたという。

恐怖の中、彼女はクレジットカードを差し出し、何とか支払ったが、心には大きな傷を負った。しかも、リサイクルショップでの現金化を頼もうとしていた別の女性も、同じように多額の支払いをさせられ、結局何の利益も得られなかったという。

この店の裏の顔を知る者は、二度と足を踏み入れないと口を揃える。ただし、それを知らない人々は、美食と上品さに魅了され、次々と足を運ぶ。

煌びやかな街の裏側に、そんな闇が潜んでいる。六本木の夜に迷い込む者は、この料亭のような場所に気をつけなければならない。そこは、美しさと恐怖が紙一重で存在する危険な場所だからだ。


実話を元にショートショートを書きました。
食べログにお店の裏の顔を暴露したらさすがに削除されましたが……

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