ルージュの言い訳

夫婦の会話。
 
読書をしている妻。
Live映像を見ている夫。
 
「BTS防弾少年団のLive行きたいなあ」
「またやるでしょ？」
 
「いつ？」
「それはわからないわよ。
　解散してないんだから、
　メンバーが揃そろえばやるんじゃない？」
 
「待てないよ～」
「そんなこと言われても…。
　あっ、そういえば…
　朝言おうとしてたこと急に思い出した！」
 
「え？！何？」
「あなた、また私のファンデ、
　勝手に使ったでしょ？」
 
「…ん！…と…ごめん。
　ちょっとだけだから…
　いいかな～って」
「ちょっとだけが毎回だと、
　ちょっとじゃなくなるじゃない！」
 
「ごめんごめん。
　僕のはナチュラル過ぎて、
　変化がほしくて…つい」
「使うならまず断ってよね。
　そしてそんなに使うなら、
　自分で買って！」
 
「今月さあ、
　付き合いで出費が…」
「それはあなたが断らないからでしょ？
　飲み会皆勤賞かいきんしょうならそうなるでしょ」
 
「まあ、そうなんだけど…」
「メイクするのはいいけど、
　きちんとお小遣いの範囲にしてよね」
 
「そうは思ってるけど、
　最近、新作が気になって
　しょうがないんだよね」
「それは…ちょっとわかる」
 
「でしょ？」
「あなた…詳しくなったよね。
　K-POPに沼はまってからが、
　ほんと早かった。
　急に100均コスメ買ってきて、
　メイク教えてって言われた時は、
　さすがにビックリしたわよ」
 
「あの時は、驚かせてごめん。
　でももう憧れが強すぎて、
　自分で自分を止とめられなかった」
「目がヤバかった…かなり。
　まあその熱心さのおかげで、
　とても上手になったじゃない。
　私が色々注意することもなくなったし」
 
「そう言われれば…」
「あっ、もうこんな時間。
　私そろそろ準備しないと」
 
「今日は友達と買い物だっけ？」
「そう。1ヶ月ぶり。
　ゴールデンウィークもあったし、
　お互い忙いそがしくて予定が合わなかったから」
 
「じゃあ、ゆっくり楽しんできて」
「うん。お昼は適当にお願いね」
 
「大丈夫」
「さて、今日はこの前買ったばっかりの、
　リキッドルージュ液状の口紅試そう♪
　この日がどれだけ待ち遠しかったか…
　あれ？！箱開いてる…
　しかも……
　使った形跡がぁ…ちょっと！！」
 
「ごめんなさい！！
　いけないと思ったけど…
　思ったんだ…けどさ…
　好奇心が上回っちゃって…その…」
「さっき断ればいいって言ったけど、
　断らないどころか、
　新品を勝手に使うなんて！！
　マジで信じらんない！！」
 
「ほんとごめん。
　羨うらやましかったんだよ～。
　君が素敵なコスメばっかり
　揃そろえてるから～」
「これは会議よ会議！
　買い物から帰ってきたら、
　この件に関しては徹底抗戦てっていこうせんよ！
　帰ってくるまで準備しといて！
　第2回パジャマ会議よ！！」
 
この御夫婦は問題が起きると、
パジャマ会議なる
話し合いの場が持たれます。
 
今回の深夜に及およぶ会議の末、
来月、最新夏コスメを数点、
旦那さんがプレゼントすることが、
決議されたそうです。
 
コスメ夫婦は今日も仲良し♪
 
めでたしめでたし。
 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。