運転免許証の返納を拒否し危険な車の運転を続ける高齢者。
「高齢者の車の運転」3つの法律で家族に責任の重さを理解してもらう
こんにちは。
名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。
最近した約束は「息子とした約束で、小学二年になる息子が小学校を卒業するまでに家族三人でオーストラリアに行く」です。
なぜ高齢者に車の運転をやめてほしいのか
はじめに確認をしておきます。なぜ高齢者に車の運転をやめてほしいのか。それは高齢になるにつれ認知症の発症率が高くなり 、事故を起こしやすくなるから。
認知症は脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。認知症は「状態」を表す言葉なので、認知症と診断されていないから大丈夫、なんてことはありません。
本人がダメなら・・
今回の狙い所は「保護者(家族等)(以下、家族)の責任」です。高齢者が事故を起こした場合、いろいろな形で家族が責任を問われる可能性がでてきます。高齢者にいくら言っても聞かないのであれば、家族の責任を明確にし、事の重大さを自分の事として認識してもらいましょう。他人事ではなく自分事として認識するようになれば、家族の対応も変わってくるはずです。
3つの法律
事故を起こした高齢者が認知症で責任無能力であった場合、運転者本人は賠償責任を負いませんが、監督義務者は損害賠償責任を負わなくてはいけません。監督義務者に該当するのは、親権者や後見人、精神病院長など。家族は当然そこに含まれます。
家族が高齢者の運転が危険であると認識していた場合は、事故を防止する注意義務を怠ったとして責任を問われる可能性があります。家族が「危険を認識していなかった」と主張をしたとしても、認知症の診断を受けている、小さな事故を何度か起こしているなど、客観的事実に基づき言い逃れができない場合もあります。
家族が運行供用者であった場合、高齢者が認知症であってもなくても、その責任能力の有無にかかわらず賠償責任が発生します。
注意点として、運行供用者責任は人が死傷(けが含む)した人身事故についてのみ適用される制度です。人が死傷せず物が損壊しただけの物損事故の場合は、運行供用者責任は適用されません。
運行共用者とは?
厳密な定義はありません。裁判の判例でも解釈は様々です。分かりやすく言えば、本人の車の運転について「危ない」と知っていた者。「危ない」と知っていたのに車の運転を止めなかったのであれば、家族にも責任があると判断されるかもしれません。
結論
高齢なのに車の運転を続ける人がいて困っている方へ。
・民法709条
・民法714条
・自動車損害賠償保障法3条
家族の責任を明確にする3つの法律です。
本人に車の運転をやめるよう言ってもやめなくて困っている、そんな時は手遅れになる前に家族に動いてもらいましょう。
※民法に罰則はありませんが、損害賠償として相手方から訴えられることがあります。