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「介護職員、月給30万」その理由


介護の仕事をしようと考えている方、介護保険所業者の方へ


こんにちは。

名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。

今週の日曜日、久しぶり(多分20年ぶりくらい)に行ってきます。めちゃくちゃ変わってんのか、全然当時のまんまか。何か変な気分。#カラオケ。





介護保険×障害福祉サービスで収益を最大化する方法

「うちの施設はこの手法で月の収入が1.5倍になった」
「職員の給与も他より2割増。人材確保に困らない」

そんな「うまい話」が介護業界で密かに流通しています。 その正体は「介護保険被保険者の障害福祉サービス上乗せ」。実はグレーでもブラックでもない、れっきとした制度です。

ある介護施設では利用者に※障害支援区分を取得してもらうことで、介護保険の限度額約27万円/月(介護度3)に加えて、障害福祉サービスで月15万円以上の給付金を取得、職員の給与は業界平均を大幅に上回っています。

※障害支援区分・・障害のある方が必要な支援の度合いを総合的に示すもの。1が支援の度合いが低く、6がもっとも高い。

「利用者の同意さえ得られれば、後は行政の認定次第。窓口の担当者が制度を知らない場合は、こちらが制度の説明をし根拠を示します」と、ベテラン施設長は明かします。

この制度のポイントは、まず介護保険を限度額まで使い切るということ。そこに障害福祉サービスを上乗せをします。ただし注意が必要なのは、あからさまな営利目的と見られること。 「利用者の自立支援」という建前は必須です。 また、職員の給与を上げすぎると他の施設から苦情が来ることも。

この制度を知った施設は、どんどん収益を伸ばしています。 制度の範囲内とはいえ、あまりに効果的なため、いずれ規制強化の対象となる可能性もあります。「介護保険だけじゃ商売にならない」と嘆く経営者は多いですが、この制度の活用すれば状況は一変するはずです。施設、職員、利用者「三方良し」の結果が得られるでしょう。


以上、あえてのブラックな表現はさておき、「介護保険被保険者の障害福祉サービス上乗せ」は、正真正銘「ホワイト」な制度です。


名古屋市健康福祉局障害者支援課 令和4年度ケアマネジャー研修会 障害福祉サービスの概要・利用手続きについて P11

https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/company/docs/2022101400020/files/2022_6.pdf





制度には「課題」と「悪用」がついて回る


利用者に障害支援区分を取得してもらい、介護保険の限度額に加えて障害福祉サービスの給付金を得ることで施設の収益を大幅に増やす、といった施設が最近よく見受けられます。そこに「利用者の自立支援」がない限り、このような行為は制度の趣旨に反しており倫理的な問題もはらんでいます。

一方で、制度を正しく理解し適切に活用することで、利用者のニーズに合った支援を提供することが可能になります。実際にあったエピソードをご紹介します。





「要介護3の母が週3回のデイサービスだけでは生活が立ち行かなくなってきたんです」


名古屋市在住のAさん(48歳)は、脳性麻痺のある母親(75歳)の介護について相談したとき、ケアマネジャーから思いがけない提案を受けました。

「介護保険だけでなく、障害福祉サービスも利用できますよ」

65歳以上の障害(認知症など)のある方は、介護保険を優先して利用しつつ、さらに支援が必要な場合は障害福祉サービスの併用ができます。Aさんの母親を担当するケアマネジャー(以下、ケアマネ)は「この制度を知らない方が多い」と指摘する。

制度利用の流れは3ステップ。まず介護保険を利用、次に支給限度額(要介護3の場合、約27万円程度/月)に達してもサービスが不足する場合は
市区町村に相談します。必要性が認められれば、障害福祉サービスの利用が可能になります。


名古屋市健康福祉局障害者支援課 令和4年度ケアマネジャー研修会 障害福祉サービスの概要・利用手続きについて P12

https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/company/docs/2022101400020/files/2022_6.pdf


Aさんの母親の場合、介護保険でデイサービスを利用しつつ、障害福祉サービスでホームヘルプを追加。週3回の入浴や掃除の支援を受けられるようになりました。「母の生活が格段に楽になり、私の介護負担も減りました」とAさん。

ポイントは「(上乗せする障害福祉サービスの)必要性の証明」。「単に『あったら便利』という程度では認められません」とケアマネ。障害特性に応じた具体的なニーズを明確にすることが重要だという。

例えば、視覚障害のある方なら、介護保険のヘルパーに加えて、障害福祉サービスの同行援護で通院や買い物の支援を受けられる可能性があります。聴覚障害のある方は、介護保険のサービスに加えて、手話通訳の利用も検討できます。

「制度を知らないために必要な支援を受けられていない方が少なくありません」「まずは担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してみてください。一人一人の状況に応じた支援の方法が見つかるはずです」とケアマネは話します。





さいごに


この制度は単なる施設の収益向上手段ではなく、真に支援を必要とする人々の希望となり得るものです。まだ広く知られていない制度だからこそ、その意義を正しく理解し、適切な活用が求められます。そして利用者の自立支援という本来の目的に忠実であり続けることで、施設、職員、そして何より利用者とその家族の未来を明るく照らす光となります。


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