国民健康保険料は担当者への伝え方次第で安くなるかもしれません
プロローグ
うつ病で退職したAさん。無職の期間も健康保険に入っておかなくてはいけませんが保険料が気になります。国民健康保険料について役所に問い合わせたそうです。
Aさん「うつ病で退職をしたのですが、国民健康保険料が安くなる制度はありますか?」
役所の担当者「そういった制度はありません」
国民健康保険料が安くなる制度はない?
ハローワークのパンフレットに「⑬国民健康保険料(税)の軽減について」という項目がありました。
特定受給資格者・特定理由離職者とは
特定受給資格者 会社の倒産、解雇等で離職した人(再就職の準備をする時間がなかった人)。
特定理由離職者 雇止め(契約社員など)、もしくは正当な自己都合(病気やケガなど)で離職した人。
うつ病で退職したAさんは特定理由離職者(病気やケガなどの正当な自己都合)にあたり、国民健康保険料の軽減制度が利用できました。
「制度はない」となってしまう理由とその対策
なぜ担当者はAさんに「制度はありません」と伝えたのでしょうか?考えられる理由は二つです。
①利用できる制度に繋がる情報をAさんが担当者に伝えられなかった、もしくは伝わらなかった。
②担当者が制度を知らなかった。
①の場合は「工夫」が必要です。
・言葉の選択を工夫する。例えば、うつ病のほか特定理由離職者や離職コード33など、担当者が相談者と制度を繋げられるようなワードを使ってみる。
・伝達手段を工夫する。例えば、担当者に伝えたいことを文書にして渡すなど。
※いずれも難しいことです。詳しい方に相談をしてみてください。弊所へのお問い合わせも可能です。
②「担当者が制度(サービスを含む)を知らない」ということは、特に珍しいことではありません。弊所でも月に1~2人の相談者は、制度について問い合わせをして「制度はない」「利用できない」と言われたにもかかわらず、伝え方を工夫し、調べ直してもらうと「利用できる制度があった」「制度の利用ができるようになった」ということがあります。
市区役所、町村役場を含む諸機関では
・人員が不足しており、いくつもの業務を兼務している。
・定期的(1~2年程度)な部署異動がある。
このような一つの業務に取り組む時間や期間が短い、ということが原因となり、事例の少ない相談内容や制度の情報が不足してしまい「担当者が制度を知らない」ということが起きています。
エピローグ
今回のケースでAさんは、「うつ病で退職をしたのですが、国民健康保険料が安くなる制度はありますか?」と尋ねましたが、「制度はありません」と言われました。しかし後日、「失業保険の申請をしました。雇用保険受給資格者証の離職理由コードが33でしたが、国民健康保険料が安くなる制度はありますか?」と伝え方の工夫をしたところ、制度の利用ができることになりました。
まとめ
制度が利用できるのに「できない」、ということは避けなくてはいけません。しかし、相談者が制度の問い合わせをする難しさ、役所の担当者の仕事に慣れてきた頃の人事異動、人員不足による多忙、といったことを考えると課題は根深いと感じます。
課題解決の一つの方法として「あなた自身が正しい情報を持つ」ということが考えられます。とても難しいことです。うまくいっている人や、制度を使える人はそれでいいです。しかし、困っている状況で制度やサービスを使えないと言われた方。諦めず情報を取りにいってほしいです、使える制度やサービスを探してほしいです。
この記事を読んでいただいたのも一つのご縁です。お問い合わせだけでも大丈夫です。お困りの際は声をかけてください。
※離職された方が国民健康保険料の軽減制度を利用できるか否かの確認方法
ハローワークで受け取った雇用保険受給資格者証の12離職理由に
11・12・21・22・31・32(会社の倒産、解雇等で離職した人)
23・33・34(雇い止めもしくは正当な自己都合等で離職した人)
いずれかの数字が記載されている方は、国民健康保険料の軽減制度が利用できると思われます。今回の記事の内容を踏まえた上で、担当者に話をしてみてください。
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