#22 ふたりの「家族観の現在地」
いきなりですが、他人と暮らすって、子育てするってしんどいなーと思うことってみなさんありませんか?
え、私?
まず前提として、相手と自分の名誉のために書いておきますが、大好きなんですよ、夫も、子どもたちも。この人たちと家族になれてよかったと、心の底から思ってます。
このエクスキューズを免罪符にして書き足すと、正直しんどいと思うのはしょっちゅうです。子育てひとつを取っても、もし向き不向きがあるなら、私はおそらく向いてない方の部類。
何が辛いって、ペースが乱されること、集中して仕事ができないこと、自分の時間を細切れに売り渡さなければいけないこと、諸々が辛い。
最近、個人的に大事にしているのは「前向きに諦める」ことなんです。
「前向きに諦める」ということ
多分この、私が家族というものに向き合うとき突きつけられる「向いてない」という感覚はずっと変わらず、あり続ける。
けれど、その私を取り巻く周囲の状況は、都度変わります。子どもも、月齢によって起こることが全然変わっていく。
なので、しいていえば腹をくくる。どうにもならないことをどうにかせず、目の前に起こる変化を楽しむしかないのかな。
「どうせ避けられないなら楽しむしかないよね」というのが、これまでの人生から得た学びです。子を産む前のDINKs時代から、子育てフェーズに入っても、ずっと続いてる教訓ですね。
結婚して12年、よく言われるんです「仲良しの夫婦ですね」って。
これも、ややドライに分析するならパートナーシップって、「各論NG、総論OK」と思っていて。
一般論として、血縁の家族でさえハレーションがあるのにもともと他人だし、そうかんたんに分かり合えるわけがない。ここにも半ば、諦めがあります。
それでも、総論、人として「この人は大きくまちがってない」という確信があって、導かれてる先もまあ悪くないと。
そう思えてるうちは多分、各論でどんなにダメ出しが続いていたとしても、本当に破綻はしないはずなんです。
夫から明確に聞いたことはないですが、おそらく同じような家族観を共有している部分として、「家族は社会実験、人は化学反応」という感覚があります。子どもの存在も含め、本当にそうだと私自身思います。
そもそもが異質なものが交われば、変化は避けられない、変化に翻弄されることからも抗えない。いわば家族って、未完成のまま、人生をかけたプロジェクトをつくりあげていく仲間なのかもしれない。
そうして、一進一退しながらチームになって行くプロセスを、家族みんなで面白がれるといいですよね。
相手は変えられない。でも「結果変わっている」
そのためにも、夫だけでなく子どもにも自分のこと、仕事のことを話す。これはずっと意識的に実践しているかもしれません。
言っても理解できない月齢から、もうずっと話してる。わかってなくても、とにかく楽しそうに生きてることは伝え続けています。
「相手は変えられないから自分から変わるべき」って、よく言われますよね。
実際、定点で人は変えられない。いま、この瞬間変わって!って思ったところで絶対に無理。
だけど、経年変化で振り返ってみると、その人は絶対に変わってるんですよね。
自分も相手も、この意味では、互いに影響を与え続けてることも事実。
そうやって現実をリフレームしていけば、「変化し、変化させられる関係」をもっと楽しんで、味わっていけるようになるのかな。
生きてると色んなことがあるけど、そうやって諦めながら、変化を受け入れながら、この家族とこれからも面白がって、人生を生きていくんだと思います。
株式会社ライフサカス 代表取締役 西部 沙緒里さん
早稲田大学商学部卒。博報堂を経て2016年に創業。前職在籍中、大病と不妊を経験したことから「働く女性と健康」の重大さを知り、現代女性がライフステージで直面する生きづらさ・働きづらさを支援。不妊治療や生殖の意思決定をテーマにした実体験Webメディア「UMU」を運営する傍ら、前職での人事・人材開発職務経験を活かした企業、行政、学校向け研修・講演活動の実績も多数。ビジネス/メンタルコーチ、ウィメンズキャリアメンターや、企業の人事施策・新規事業開発などのアドバイザリーも担う。
コーポレートサイト
働く人の健康と生きる力を応援するーー株式会社ライフサカス
オウンドメディア
「UMU(ウム)」
不妊、産む、産まないにまつわる個人の生声と実体験を紹介する、おそらく日本初の実名制ストーリーメディアです。
不妊や流産、死産。特別養子縁組。血がつながらない家族。「産まない」選択ー。一人ひとりの大切な物語を伝え続けています。2021年からオンラインコミュニティも生まれました。
\編集部メンバー・インターンメンバー ともに絶賛募集中!/
お問合せはこちらまで
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?