【新刊】『美しい物理の小宇宙 29歳の東大理学博士が語る、日常の世界から原子核まで29の物語』(小澤直也)はじめに公開🌙
11/26発売の新刊✨
『美しい物理の小宇宙 29歳の東大理学博士が語る、日常の世界から原子核まで29の物語』(小澤直也)
🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙はじめにを公開🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙🌙
はじめに
いまこの本を手に取って読んでくださっているそこのあなた。
物理はお好きですか?
本書のタイトルに惹かれた方は、多少なりとも興味はおありでしょう。
カバーデザインに惹かれた方は、半々くらいかもしれません。
誰かに薦められて恐る恐る本書を開いた方は、十中八九、物理がお嫌いなことと察します。昔から相場はそうと決まっています。
私は大学院の物理学専攻で加速器を用いた実験的研究を行い、現在もとある研究室で物理の研究を続けています。
本書は、身近にある物理の話題と、私の専門である加速器研究の一端をなるべく「物理っぽくないテーマ」でカモフラージュし、皆さんを物理に
染め上げるために書かれたものです。
特に全体のテーマもなければ、読むのに適切な順番もありません。
ほとんど音楽や文学の話で完結しているものもあれば、世の中にある本をすべて読もうとすると何年かかるのかを検証するべく、微分方程式を解くものもあります。
皆さんのお好みのつまみ食いで、少しでも物理への親近感を抱いていただけたら幸いです。
なお、タイトルだけを見ると、いかにも筆者が「この世の真理」の一片を知っているかのように錯覚してしまうかもしれません。
しかし、一度立ち止まって、「ひょっとして、この人はいまデタラメを言っているのではないか」と構えて読んでみてください。
そのような懐疑的姿勢で臨むところから、学問は始まります。