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営業調査レポート「Japan Sales Report」を執筆者が解説! #4

こんにちは!
株式会社マツリカの佐藤風太(@futasato97)と申します。

今回は、営業調査レポート「Japan Sales Report」解説noteシリーズ第四弾ということで、

  • 法人営業のデジタル活用実態調査「Japan Sales Report 2022」

  • レポート内で制作した世界基準に則る国内版セールステックカオスマップ

の内容をご紹介します!

自己紹介

<名前>
佐藤 風太(サトウ フウタ)

<所属>
株式会社マツリカ(Growth Marketing)

<略歴>
マツリカ
SDR / Marketing(インターン)→ CS Ops(学生社員)→ Rev Ops → 現在

  • 大学1年次にマツリカでインターンを開始し、

  • 大学3年次で学生社員になり、

  • 2021年に(ちゃんと4年間で)大学を卒業したので、

「社歴5年目、社員歴3年目、新卒2年目」という少々変わった経歴になっています。

現在はHR Marketing の立ち上げを行いつつ、「Japan Sales Report」プロジェクトの分析・執筆リーダーを担当しています。
(ちなみに「Japan Sales Report」プロジェクト発起人です)


「Japan Sales Report」とは

Japan Sales Report とは、株式会社マツリカが刊行する日本の営業組織に関する実態調査レポートです。
日本企業における営業組織の発展を目的とし、国内営業組織の最新動向/トレンド、取り組み内容、課題、未来への示唆をまとめています。

レポートの総監修は、マツリカ 事業戦略/開発室 室長の中谷が務めています。


日本で行われている営業組織・営業パーソンに関する調査は、アンケートの「集計」結果を公開するものが多く、「分析」まで踏み込んでいるものは多くないと思います。

もちろん「集計」はデータによる正確な現状把握のために重要ですが、集計によって得られた情報だけでは「だから何なの?」「結局どうすればいいの?」という問いに答えることはできません。

「Japan Sales Report」はより価値のある情報をお届けするために、「集計」だけでなく「分析」まで行うこと(示唆を出すこと)にこだわって制作しています。


マツリカが「Japan Sales Report」を刊行する理由

株式会社マツリカは「創造性高く遊ぶように働ける環境を創る」というビジョンを掲げ、その第一弾としてクラウド営業支援ツール「Senses」を提供し、営業パーソンの生産性向上と創造性の解放を支援しています。

営業パーソンが創造性高く働くためには、「テクノロジー」と「データ」の活用によって「再現性のある成長」を実現することが重要です。

営業活動を支援するテクノロジー(セールステック)は国内でも近年進化を遂げてきている一方、海外と比べて日本では営業に関する調査・研究はまだまだ発展途上であり、良質な「データ」が不十分な状態です。

(上述の通り、「集計」のみで「分析」まで踏み込んでいるものは本当に少ないです。)

そこで、日本の営業組織の発展に資するべく、国内営業組織に関する調査レポート「Japan Sales Report」を定期刊行しています。

(これまで公開したレポートはこちらでご紹介しています)
営業調査レポート「Japan Sales Report」を執筆者が解説! #1
営業調査レポート「Japan Sales Report」を執筆者が解説! #2
営業調査レポート「Japan Sales Report」を執筆者が解説! #3


【本編】レポート解説(法人営業のデジタル活用実態調査)

「Japan Sales Report 2022」全38ページの中から、計10個のトピックを取り上げます!

<制作>
株式会社マツリカ

<調査方法>
インターネット調査(クロス・マーケティング アンケートモニター)

<有効回答数>
500件

<実施対象>
所属する企業/営業組織が以下の要件を満たす営業担当者、 営業部門の管理職・マネージャー、経営者層
・日本国内の企業(外資系企業を除く)
・商談1件あたりの金額(総額/年)が100万円以上
・主な営業対象が国内法人

<調査期間>
2022年11月10日〜2022年11月11日

① オンラインでの顧客折衝に必要なツールの導入が進み、業務の効率化や負担軽減に対する期待が高い。

セールステックツールの導入状況とその目的について調査しました。

利用中のツール
・1位:Web会議ツール
・2位:SFA/CRM
・3位:名刺管理ツール

ツールの導入に期待すること
・1位:商談のために移動しなくて良くなること
・2位:資料の作成/管理/共有が楽になること
・3位:顧客に関する情報収集がやりやすくなること


② デジタル化の必要性を認識しつつも、本心ではツール活用に積極的な人物は少数。

「デジタル営業(リモート営業/オンライン営業や、デジタルツールを活用した営業活動)に適応することの必要性を感じていますか?」
という質問に対し、6割が「感じている」と回答

一方で、「一個人として、デジタル営業ツール(セールステックツール)の活用についてどう思っていますか?」
という質問に対し「自ら積極的に使いたい」と回答したのは25.4%という結果になり、ギャップが見られました。


③ 過半数の営業組織はデジタル化において改善の余地を認識。

「ご自身の所属する営業組織のデジタル化はどの程度進んでいると思いますか。」
という質問に対し、「先進的だと思う」と回答したのは18.4%「遅れていると思う」と回答したのは51.8%という結果になりました。

上述の「必要性を認識しているが、本心では積極的ではない」という(個人の)状態が、デジタル化が遅れている要因の一つかもしれませんね。


④ セールステックツール導入状況と業績(売上)に一定の相関が見られた。

「セールステックツールを導入しているか」「業績変化」の関係について、クロス集計をもとに分析を行いました。

セールステックツール導入群は未導入群よりも業績好調な傾向にあり、特に「3つ以上のツールを導入している」群において業績好調な傾向が顕著に見られました。


⑤ 海外に比して国内のセールステックツール導入状況は大幅な遅れが見られる。

セールス領域特化のツールとしてはSFA/CRMが最も導入率が高いものの、日本のSFA/CRM導入率は海外(米国)を大きく下回っています。


⑥ デジタル営業に対する認識格差が拡大傾向。

「デジタル化への意識」「業績変化」の関係について、クロス集計をもとに分析を行いました。

「業績が不調な企業に属する人の方が、デジタル営業に適応する必要性を感じていない」という傾向が見られ、今後ますます格差が拡大する可能性が伺えます。


⑦ 高役職者ほど、遅れていることを理解しつつも変化を許容しにくいという矛盾が生じている。

「デジタル化への意識」「役職」の関係について、クロス集計をもとに分析を行いました。

上層部(高役職者)の方が、自組織のデジタル化が「遅れている」と認識しているものの、デジタル営業に適応する必要性については「感じていない」という傾向が見られました。


⑧ 50歳以上の中間管理職は営業のデジタル化やツール活用に否定的な傾向。

中間管理職(ここでは部長・課長・係長・主任)のみに絞り、年齢層別に傾向に差が見られるか分析しました。

中間管理職においては、年齢が「50歳以上」になるとデジタル化への適応に否定的な割合が増え、さらにツール活用に否定的な割合が増えるという結果となりました。


⑨ 「楽になること」への期待が大きく、組織の高度化や売上向上の実現を望む回答結果は上位に含まれず。

「一個人として、デジタル営業ツール(セールステックツール)の活用についてどう思っていますか?」
という質問に対し「自ら積極的に使いたい」と回答した群に絞り、「セールステックツール導入に対する期待」の傾向に差が見られるか分析しました。

ツールの導入に期待すること(ツール活用に積極的な群)
・1位:商談のために移動しなくて良くなること
・2位:資料の作成/管理/共有が楽になること
・3位:顧客に関する情報収集がやりやすくなること

上位3位までの順位は全体傾向と変わらず、ツール活用に積極的な群でも効率化への期待が上位を占める(高度化への期待は低い)という結果となりました。

セールステックを開発・提供する側にとっては、「プロダクトによって(現場が)楽になる」というメッセージをいかに伝えるかが重要になりそうです。


⑩ 国内セールステック業界は近年発展の兆しを見せているが、海外の成熟度と比較すると限定的。

日本で初めて*、世界基準に照らし合わせた国産セールステックツールのカオスマップである「2022 Japan SalesTech Landscape」を制作しました。
(*自社調べ)

このLandscapeの参照元であるNancy Nardin氏(NancyNardin.com)制作の「2022 Enterprise SalesTech Landscape」と比較すると、

・ツールの数
・カテゴリ充足率

双方において、世界基準からは遅れをとっている現状が確認されました。

▼ グローバルでのLandscape(2022 Enterprise SalesTech Landscape)

2022 Enterprise SalesTech Landscape

そのようななか、日本でもようやくCRM(SFA)と呼ばれる顧客・営業データの基盤となる領域が台頭しつつあり、今後において、顧客・営業データ基盤へのインプット/アウトプット、蓄積したデータの活用といった領域のさらなる市場活性化が期待されます。

近年発展の兆しを見せている国内のセールステック業界では、日本企業が進出できていない領域も多く、今後さらなる発展の余地がありそうです。

『2022 Japan SalesTech Landscape』は、Nancy Nardin氏制作『2022 Enterprise SalesTech Landscape』(セールステック領域において、世界で最も支持を得ているカオスマップ)をもとに制作したものです。

レポートへの使用について、Nardin氏に許諾を得ています。

出典①
2022 Enterprise SalesTech Landscape
https://nancynardin.com/salestech-landscape/

出典②
Complete Guide to SalesTech(Nardin氏によるLandscape解説)
https://nancynardin.com/wp-content/uploads/2022/08/Guide-to-SalesTech-8.pdf

本Landscapeは株式会社マツリカ独自の調査により制作したものであり、
必ずしも網羅性や正確性を完全に担保するものではありません。


まとめ

今回のJapan Sales Reportでは、日本の営業組織が更なる成長を遂げるために「デジタル活用の現在地」を把握することが必要であると考え、以下の観点から調査・分析を実施しました。

デジタルツール(セールステックツール)を
活用する側:営業組織のセールステック活用状況
提供する側:Landscape(カオスマップ)

本調査によって明らかになった点から、企業のトップマネジメントにおいて、現状維持バイアス(未知のものや変化を受け入れず、現状維持を望む心理作用)のようなものが働いている可能性が伺えるのではないでしょうか。

ゆえに、 日本の企業/営業組織のデジタル活用を加速させるためにはトップマネジメントの意識改革、強いリーダーシップ・イニシアチブの発揮や、変革の意思を持つ優秀な人材の登用がますます重要になると考察します。

また、近年発展の兆しを見せているセールステック業界ですが、海外の成熟度と比較すると国内では一部の領域でベンダーが台頭しているに過ぎず、デジタル活用の推進・生産性向上を実現するためには業界のさらなる発展が求められます。



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▼ Japan Sales Report 2022

▼ 2022 Japan SalesTech Landscape


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