リアルに生きるとは、こういうことさ
生のリアルさ。それがひりひりと伝わってくる読書体験だった。本物のスターたちの営みを前にすると、よくSNSなどで目の当たりにするリア充合戦に明け暮れる行為が馬鹿馬鹿しく思えてくる。
生きることは泥くさくて、時にそんなにきれいではない。難所をいとわず歩き続けたからこそ、その道は黄金の街道になった。近道や成功テンプレートなどを求める発想自体がない。貧乏のどん底で笑うような、そういう本物のロックスターたちの物語が、時に破天荒なエピソードを交えて語られる。
35ドルだけを手にして大都会へやってきた若きマドンナの豪胆さ。冴えない身なりだろうと、おぼろげながらも成功した自分が見えていたに違いない。だから生きるためにはなんだってする。ゴミを漁ってまだ温かいバーガーキングの袋を見つけて喜ぶ日もあった。そういう日々の積み重ねさえ、かけがえのない黄金の時であると読者は気づくだろう。
今がぱっとしないことを他者や世の中のせいにしている暇はない。何気ないない日常を、違うとらえ方ができるようになれば、日々は劇的に変わる。停滞が終わる。
スターたちは悩めるものたちに語りかける、リアルに生きろと。