いちごつみ withともえ夕夏さん PART5
ついに、ともえ夕夏さんとのいちごつみも最後になりました。これまで読んでくださった方に感謝です。終点です。LAST PART
第21首
42.中古本に残されていた恋文を悪く言うなよ若葉じゃないか[悪く]
「いちごつみ」なので第四句はこれと決めてありました。最後の句は、もう忘れてしまいましたが「若葉」は元々違うものでした。ぱっと閃き、かつ素敵な表現だと思い変えました。自分でも断然こちらの方が良いと思います。
中古本で、時々だれかが訂正してくれていたり、貸し出し票や、私信が入っていたりします。
辻村深月さんの「東京會舘」を中古で買った時も、メッセージが入ってて驚きました。「好き」、「愛してる」にマーカーがあったり、好きな人の名前が書いてあったら素敵ですよね。
第22首
44.自粛ゆえ彼氏と彼女それぞれに生まれたての島へと戻りゆく[生まれた]
自粛でソーシャル・ディスタンスが言われるようになり、思うようにデートできなくなった情景です。付き合っていて、彼氏、彼女と会えばどうしても相手を感じてしまう。言葉の選択、気遣い、外見であったり。
周りからいわば孤立して、1人の部屋という「島」で、生まれた時の自分・まっさらな自分に戻って、大切な人を再認識しつつも、心洗われて一度素直になってみよう、という感じで詠んでみた歌です。
第23首
46.唯一の港だったと言えるよう素通りする雑誌の谷間 [唯一の]
「港」って何故か恋歌に使われますよね。自分もあまり理解していないけれども、ほっとできる場所という感じなのでしょうか。
こんな歌を詠っているからとて、誰でも良いわけではありません。あなたの唯一になりたいのです。
漫画を読むにしても、雑誌に、気になる特集が掲載されていても、たいてい女性が微笑みかけている。しかも水着やビキニで。私も読みたい部分があっても、スーパーやコンビニで読むのは憚られる。意外と困っています。
読めてもPHPくらいでしょうか(笑)
第24首
48.計算も決断さえも億劫で代わり映えなき朝の身仕度[仕度]
ここは敢えて、むさい感じの男子のまま詠いました。自粛前でも良いかもしれません。普段と変わらない、冴えない男の朝の仕度。
ともすると、厭世的だと思われるかもしれませんが、決断力のない、ただのダメ男だと思ってください。そしてこれは、最後の歌への布石として意図的に置いたものです。ドラマの最後は決めていたので、このような歌になりました。変わらない日常というのも、刺激がなくて少し寂しいですよね。
第25首
50.仮面はもう脱いだ男だ 次きみに会えたら言うよ「結婚しよう」 [仮面](改)
前半はどうあれ、七七の部分は決めていました。どこか傷物に触れるような交際を続けてきた2人が、結婚する。
今や結婚は一大イベントです。
古き家長制時代には「家」を残していくというのが根底にあり、多くの場合、女性は親元と離れて嫁ぎ先の周辺だけで暮らし、姑や義理の父を介護して最期を看取る。そしてやっと、家の中で最高齢(おばあちゃん)になれました。
結婚なんて「紙一枚」とも言われますが、経済的な事、一緒に暮らす事でこれまで気付かなかった相手の欠点、「ずっと相手の顔を見る」という、なかなかストレスのたまる状況にどう対処するか、よく考えないといけません。
主体のぐうだら男くんもいろいろ考え、彼女のほとんどの部分を受け入れられるか熟考してきたのでしょう。話し合いも重ねてきました。そしてやっと結婚を決意したのです。
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長くお付き合い頂きました。とても楽しかったです。ともえさん自身、短歌力の高い方なので、最初はドギマギしていたのですが、4日、5日とゆっくりペースのやり取りにも辛抱強く付き合ってくださいました。
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