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猫の額とスズメの涙

今日がついてない一日でも
今までが冴えない人生だったとしても
明日、何かが変わるかもしれない

周りの人の言うことなんか
所詮、猫の額ほど視野の狭い人の
価値観の押し付けに過ぎない

ただの嫉妬かもしれない

だから私の可能性とは
何の関係もない

そんなことをブツブツ言いながら
キッチンのシンクを 
ピカピカに磨き上げた

秋の少し冷たい風が
窓の白いカーテンと遊んでいる

何も考えなければ
穏やかな空間なのに

「私何やっているんだろう」

汗ばんだ額をタオルで拭きながら
大きくため息をついた

温かいコーヒーを飲みながら
スマホで「猫の額」を調べていたら
「雀の涙」という言葉が出てきた

頭に浮かぶフワフワな猫の額と
手のひらサイズのスズメの小さな涙
どっちも可愛いくて
顔がほころんだ

コーヒーを飲みながら
ピカピカになったシンクを
じっくり見つめる

さっきより少しだけ
頭の中のモヤモヤが消えた

ささやかだけど
穏やかな時間

なんだか眠くなってきた

「明日は何かが変わるかもね」
夢の中で誰かがささやく声がした

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