夏の終わりの星空に
暑い日が続いた今年の夏
朝でも昼間のような暑さ
朝散歩を10分しただけで
熱中症になってしまった私
最近やっと
朝晩が涼しくなってきた
今日は久しぶりに散歩を再開
国道の横の狭い歩道を
歩いていると
雑草が混じった木の葉っぱの裏に
セミの抜け殻を見つけた
今年初めてお会いした抜け殻
こんな猛暑の中
セミ達は元気に鳴いている
大変そうだなぁ
エアコンの効いた
少しだけ涼しい部屋に
セミ達を集めて
休憩させてあげている
そんなイメージ画像が
一瞬頭に浮かんだ
「うわー気持ち悪い。うるさそう」
私は眉間に寄ったシワを手で直し
また歩き出した
家の玄関の足元に
裏返しになったアブラゼミがいた
踏んでしまいそうだから
庭の土に埋めてあげよう
セミの体を持ち上げると
「ジジ・ジジ」という音と
手に伝わる小刻みな不快な振動
慌てて私はセミを地面に落とした
セミは表になって着地して
「ジッ・ジッ」といいながら
ヨロヨロと低空飛行して行った
びっくりしたけど
生きてて良かった
今日は人助けではないけれど
セミ助けをしたから
いいことあるかな
そんなことを思いながらドアを開けた
夕方、玄関のドアを開けると
大きなカナブンらしき物体が
足元にひっくり返っていた
よく見ると微かに手足が動いている
私はカナブンを表に返そうと
指でそっと触れた
「痛っ!」
カナブンは私の指にしがみ付いた
よく見るとカナブンではない
カブトムシのメス
彼女は力強く指にしがみ付いて
セミのように飛んで行こうとしない
仕方なく駐車場の生垣の枝に
彼女をしがみ付かせた
「バイバイ」
私が手を振ると
彼女も少しの間左手を上げていた
セミ助けとカブトムシ助け
今日のお酒はいつもより
ちょっとだけ美味しかった
そういえば、あのセミとカブトムシ
なんだか私みたい
最近何をやっても
上手くいかない事だらけ
初めのうちはジタバタしてたのに
今ではほとんど諦めて
身動きが取れくなっていた
もし今日の虫たちみたいに
誰かが私に手を差し伸べてくれたなら
運命の風が私を後押ししてくれたなら
もう少し上手く
やれるような気がする
だから、どうか誰かか何かが
私に手を差し伸べてくれますように
そして今日のセミとカブトムシが
少しでも長生きしますように
夏の終わりの星空に願いを込めた