どうして涙は忘れないのだろう
どうして周りの人たちは
楽しそうに笑っているのだろう
幸せそうなんだろう
本当は私の知らないところで
悩んだり苦しんだりしてるとは
思うのだけれど
なんとなく自分だけが
世の中から忘れ去られて
ずっと暗闇の中で一人でいる感覚
そういえば私はいつの頃からか
嬉しいとか楽しいとか
感じなくなってしまった
そんな気持ち
どこに落としてきたんだろう
探しても、探しても見つからない
誰か教えて
どうしたら昔のように
心の底から笑えて
楽しいことに夢中になれるのか
ベットの上で大の字に寝転がって
見慣れた天井を見つめる
こめかみに涙が流れる
嬉しいとか楽しいとかは
とっくの昔に忘れてしまったのに
どうして涙は忘れないのだろう
気がつくと部屋の中は
薄いオレンジ色に染まっている
窓の外から微かに
蝉の声が聞こえてきた
蝉の声からコオロギの声に変わる頃には
昔の私のように
素直な気持ちの自分に
戻っていますように