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ゆるっと、ほっこり読み物

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温かい気持ちになりたい時、優しさに包まれたい時におすすめです。
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#香り

石鹸の香りがすると思い出す

私が十九歳の時、コンビニでバイトをしていると同じバイトの二つ年上の男の人が時々私に声をかけてくれた。 私は人見知りが激しかったので、仲のいい同じ年の女の子と一つ年下の生意気な男の子としか喋らず、話しかけてくれる彼には「はい」とか「そうですね」くらいしか話すことはなかった。 彼は私がバイトを終える15分前になると店にやって来た。 お客さんがいない時、彼はいつも楽しそうにバイト仲間たちと話している。 ある日、私が帰る準備をしていると彼が私の近くに来て冗談を言った。 私は思わず吹き

朝の7時はハムエッグの香り、夜の7時は煮物の香り

朝の7時、散歩から帰ってくると 近所のどこからか漂う  ハムエッグの香り 母が作ってくれた朝ごはんを思い出す 当たり前だった日常の一部 今はもう食べられないのが ちょっと寂しい 夜の7時、買い物に行く途中に 老夫婦の家から漂う 煮物の香り ちょっと、しょっぱい 祖母の料理を思い出す 祖母の家に遊びに行った時のごちそう 今はもう食べられないけど なんだか、ほっこりする どっちも懐かしくて温かくて 大好きな香り