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夏に見た、夢の続きを見た話。


今朝、私としては早い時間に目が覚めた。
のだが、お布団の心地良さに身を委ねてしまい、あっさり二度寝をしてしまった。
二度寝をした時に、夢を見た。
その夢は、今年の夏の真ん中あたりに見た夢の続きだった。
二度寝からは、泣いて目を覚ました。

夢の内容は、一人暮らしをしている高齢者の方のボランティアをするというものだった。

私はある一人暮らしの女性の方の引越しの相談を受けるために、役所の人と二人でその方が住んでいる小高い場所にある集合住宅を訪れた。
その日は夏の暑い日で、日差しが強かった。
集合住宅への長い坂を登って行くと、急に木々が増えて来た。
森の入り口みたいなところに、その集合住宅はあった。
蝉の鳴く声が大きく響いていた。

女性は、引越しにあたり処分しなくちゃいけない家財道具がいくつかあるけど、その処分をどのようにしたらいいか分からなくて困っていると言った。
生活保護を受けるための引越しだとも言った。
その日は話だけ聞き、「また来ますね。」と言って役所の人と帰った。
夏の日に見た夢はここまでの話だった。

今朝の夢は、この数日後の場面から始まった。
役所の人と女性の部屋を訪ねると、女性は既に引越し済みだった。
部屋の鍵は開いていた。
役所の方と部屋に入ると、処分できなかった家財道具がそのまま残っていた。
背の高いタンスが2つ。背の低いタンスが1つ。
タンスの上に残されたお化粧水の瓶、写真立て、花瓶。
畳の上には、少しの着物と帯もばさりと置かれていた。
ぎゅっと絞られた手拭いみたいな布が、水回りに置かれたままになっていた。
置いていかれた物たちにはまだ生気が残っていて、女性が引越してからあまり時間が経っていない様子が受け取れた。

「引越してしまったのですね。」なんて淡白に言って、私たちは部屋を後にした。

太陽が高い位置にある時間に訪れた部屋に電気はついていなくて、窓から入る自然光が残った物たちを照らしていた。

ただただ、その景色は寂しかった。
ひたすらに、寂しかった。
寂しかった。
この寂しい景色を女性は一人で眺め、そして部屋を後にしたのだと思ったら、たまらなくなった。

なんて自分は冷たい人間なんだと思った。
女性に引越しの相談をされたのに、すぐに手伝いの行動を起こさず、さてどうしましょうかねなんて相談をまたするために、のさりのさりと何も用意せずにやって来たのだ。

もし、家具が、着物が誰かに引き取ってもらえたら、女性に少しのお金を渡すことが出来たかも知れない。女性の生活が楽になったかも知れない。
私は出来たかもしれないことをやらなかった。
そのせいで、女性はひっそりと、一人でこの部屋とさよならをしたんだ。

自分、ダセェと思った。
何かの力になりたいと思ったそれに自惚れて、結局何もしなかった自分は最低だと思った。
女性の部屋を出て、集合住宅の階段を降りる途中で、階段にうずくまって泣いた。
その延長で、目が覚めた。

なんでこんな夢を見たんだろう。
このようなボランティア活動が実際にあるのか知らないし、そもそも私はこういったボランティア活動をしたことがない。身内や周りで一人で困っている高齢者の方もいない。
フルタ丸の次回公演の話の内容とも、もちろん全く関係ない。
なんでこの夢だったんだろう。

日々の生活と全く関係がなかった夢にせよ、かなりの衝撃を受けて目覚めた私は、夢が言いたかったであろうことを、こう解釈した。
「どうにかしたいことがあるなら、行動で示さないと後悔するぞ。」

今週、フルタ丸の本公演の稽古が始まった。
無事に稽古の日を迎えられたことに感謝。
集まってもらえたこの方々と演劇を作れることの贅沢さを改めて感じると同時に、身の引き締まる思いでいっぱいだ。

どうにかしたいことがあるなら、やってみないと後悔するぞ。
はい、全くもってそうだ。
と、今朝夢に教えてもらったから。

稽古の日々を、後悔しないように大切に過ごします。

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劇団フルタ丸 2021年本公演 
『ねむる広告塔』

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日程:11月19日(金)~21日(日)
会場:APOCシアター


★公演詳細の特設ページはコチラです。


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