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【団体インタビュー03】NPO法人湘南クリーンエイドフォーラム

今年度からスタートした「団体インタビュー」は、ふるさと清掃運動会に参加していただいている団体や企業に、活動内容やふるさと清掃運動会への想いなどを取材する企画です。およそ月1回のペースで更新しています。

第3弾の今回は、2014年に創設し湘南海岸を中心に「調べるビーチクリーン」などをはじめ様々な活動を展開されているNPO法人「湘南クリーンエイドフォーラム」様にインタビューを行いました。

ビーチクリーン駅伝(2021年、走水海岸にて)

同じような志を持って活動する、同志的な存在

ふるさと清掃運動会事務局(以下、事務局)-
湘南クリーンエイドフォーラム様には、昨年度の集中月間における環境アクションとして「ビーチクリーン駅伝2021」と「All Ocean-Lover’ Beach-clean」をエントリーしていただき、およそ600名の方々にご参加いただきました。また11月の荒川清掃には有志グループでご参加いただき、全力でごみ拾いをしていただきました。湘南クリーンエイドフォーラム様にとって、ふるさと清掃運動会とはどのような存在でしょうか?

湘南クリーンエイドフォーラム様(以下、SCF)-
同じような志をもって活動する、同志的な存在です。時には連携しながら、普段はお互いがお互いの活動に触発を受け、刺激し合いながら研鑽して、お互いの活動を大きくしていけたら良いなと考えています。

All Ocean-Lover’ Beach-clean(2019年、ヘッドランドビーチにて)

Think globallyな視点、Act locallyな気持ちが生まれた

事務局ー
SCFは2014年にFacebookグループ「湘南ビーチクリーン倶楽部」を開設されたのが団体創設のきっかけとのことですが、どのような経緯で活動を始められたのでしょうか?

SCFー
私は今から10年ほど前まではサーフィンに明け暮れていましたが、失業を機に自分探しの旅と称してハワイ、バリ島、ロンボク島、台湾など色々なサーフスポットで波乗りをしました。それがキッカケでThink globallyな視点が生まれ、同時に地元の海を大切にしようというAct locallyな気持ちも生まれました。それまでは”波さえ良ければ海が汚れていても構わない”という環境の「か」の字もないサーフジャンキーでしたが、海外の海や文化に触れて自分が地球人であること、海は地球に住む全ての生きものにとって掛け替えのない大切な存在であることに気が付きました。
また、海外の良い波を沢山経験して、日本の小さくてあまり良いとはいえない波にガツガツするのが少しバカらしくなり、波のあまり良くない日は波打ち際でジョギングするようになって初めて海岸のごみの存在が目に入るようになりました。同時に毎朝、海岸でごみ拾いをしてくれている人たちがいることを知り、自分もごみの多い日にはサーフィンやジョギングではなくごみ拾いをするようになり、その頻度が徐々に高くなっていきました。
そして、そのごみ拾い活動を当時やり始めたばかりのFacebookに投稿すると徐々に「いいね!」をしてくれる人が増えていき、多い時には1000を超える「いいね!」が付くようになりました。さらに、わざわざ現場に来て一緒にごみ拾いをしてくれる人たちも現れて、地元のサーファーを中心に「湘南ビーチクリーン倶楽部」というグループを作ったのが今の団体の前身団体を創設した経緯です。

ローカルサーファーによるビーチクリーン活動(2014年頃)

自分たちのエリアだけ一生懸命キレイにしても埒が明かない

事務局ー
そんな経緯があったのですね。現在では藤沢市だけではなく、神奈川県の海岸全体へ範囲を広げて活動されていて、サーファー以外の方々も多く参加されています。

SCF-
当初は自分たちの海をきれいにしようという考えで清掃活動を始めましたが、清掃後何時間も経たないうちに別の場所からごみが流れてくることを知りました。"自分たちのエリアだけ一生懸命キレイにしても埒が明かない"ということに気づき、視点を広げていきました。
もともと地元のサーファー仲間で始めた活動でしたが、いろいろなところから活動や考えに共感してくれる人々が運営に協力してくれるようになり、現在に至ります。
当会の運営委員メンバーや活動のリピーターは40代~50代の方が中心です。若い世代の人たちは将来の危機意識が行動原理なのに対して、この世代は長い間社会に育てて貰ったという感謝の気持ちと、その社会に少しでもお返しがしたいという貢献意識が大きなモチベーションだと思います。

ビーチクリーン駅伝(2021年、江ノ島にて)

”運営方法などを勉強させてもらいたい”という強い思いが生じた

事務局-
事務局がSCF代表の五十嵐様に初めてお会いしたのは荒川クリーンエイド・フォーラム(以下、ACF)でした。当時、なぜACFで働かれていたのですか?

ACF-
私は2015年から2020年までACFの職員をしていました。職員になる前までは、”川は海にごみを流し込む元凶”というような偏見を持っていましたが、ACFが中心となって開いた「川ごみサミット」に参加し色々な活動をしていることを初めて知りました。ACFは市民団体ですが企業や行政とタイアップしてスケールの大きな活動をしていたので、”運営方法などを勉強させてもらいたい”という強い思いが生じ、サミットの4か月後にはACFに就職しました。当時の経験は今もSCFの運営にも活かしています。

荒川クリーンエイド・フォーラムで働いていた頃の五十嵐様(2018年頃)

色々な社会問題をごみ問題を通してアナロジー思考でとらえるキッカケに

事務局-
毎月開催の「調べるビーチクリーン」をはじめ、さまざまな活動を展開されています。これらの活動を実施するにあたって、どんなことを大切にされていますか?

SCF-
活動にあたっては単なるごみ拾い活動で終わるのではなく、参加者に色々な社会課題をごみ問題を通してアナロジー思考でとらえるキッカケにして欲しいと考えていて、活動を通してごみ問題を考察する時間を大事にしています。当会はさまざまなプロジェクトを通して社会課題を自分事化する人材の育成、そして社会を持続可能な状態にもっていくことに少しでも貢献していくことを目標にしています。一般参加者のなかには小さなお子さまと一緒に参加される若い世代の親子連れも多く見受けられますが、若い世代の方たちには今の大人を過信したり頼り切らずに自分たちの力で未来を切り開く力を付けてもらいたいと思っているので、例えば小さなお子さまでも過剰に甘やかさずに、自立心を養って頂くためにしっかりごみを拾って頂いています。
また「All Ocean-Lover’ Beach-clean」では地元エリアの他団体と協働して一斉ビーチクリーンを行っています。この活動を通じて地域のワンボイス化を目指していますが、そのベース作りとして他団体の活動に積極的に参加してコミュニケーションを図り、共催活動も多く実施しています。

調べるビーチクリーン(2019年、鵠沼海岸にて)

時間を共有することで仲間意識の強化、団体の結束力に

事務局-
今年2月に開催した「第15回ふるさと清掃運動会報告会」でのSCFの活動紹介スライドで、食事の写真が印象的でした(笑)。

SCF-
仲間と飲食を楽しむことはサーファー時代から続けてきました。時間を共有することで仲間意識が強くなっていき、やがて団体の結束力に繋がっていきます。「地域の環境保全に貢献し、地域経済にも少し貢献する」をキーワードに活動を盛り上げていきたいと思います。

ビーチクリーン駅伝での昼食&打ち上げ(2021年)

地元の学校と一体となって、地域の活動をもっと広げていきたい

事務局-
現在手がつけられていないものの、今後取り組んでみたい活動や関心のある分野はありますか?

SCF-
環境問題は沢山の要素が複雑に絡み合った社会課題です。それを根源的に解決するには今の社会や人々の考えを変える必要があると考えます。現在、当会はごみを拾う活動だけではなく、普及啓発の一環として環境教育にも注力 していますが、まだまだ実現出来ていることは小さくて、今後この部分での活動を大きくしていきたいと考えています。
最近、ビーチクリーン活動に合わせて紙芝居を行うイベントを開催していますが、この紙芝居の色付けは地元の高校生に協力していただいています。新たな切り口を見つけられた感覚です。これからも地元の学校と一体となって、地域の活動をもっと広げていきたいです。

ビーチクリーン活動に合わせて行なった紙芝居(2021年)

湘南クリーンエイドフォーラムにとって、ふるさとは…

事務局-
さまざまな話を聞かせていただき、ありがとうございます。湘南クリーンエイドフォーラム様にとって「ふるさと」とはどこですか?

SCF-
「海」です!生命誕生の場であり、今でも多くの生きものが生息する海は人間にとって一番古い「ふるさと」と言えるフィールドだと思います。私はもともと趣味のサーフィンを綺麗な海で楽しみたいという気持ちでごみ拾い活動を始めました。今はサーフィンを楽しむ時間をすべてSCFの活動に費やしていて少しでも海を綺麗にすることに注力していますが、今後自分自身である程度納得がいく時が来たらまたおもいっきりサーフィンがしたいと思っています。

事務局-
最後に、ふるさと清掃運動会に関係している皆さんにメッセージをお願いします。

SCF-
私は3年前まで「ふるさと清掃運動会」の運営に直接携わっていました。私を始めとするその当時の良い年の大人たちはとてもピュアな気持ちでこの活動を支えていましたが、世代交代するために現在は若い方たちが運営の中心になりました。私はその若い力に大いに期待しています。是非、これまでの良い部分は残しつつ、自分たちで良いと考えたことをどんどん実行していって、もっともっと社会貢献度を上げていって頂きたいと思います。私もこの活動には強い思い入れがありますので、私に出来ることはお手伝いしたいと思っております。

事務局-
本日はお忙しい中、インタビューにご協力いただきありがとうございました!

ビーチクリーン駅伝(2021年、金田海岸にて)

湘南クリーンエイドフォーラムの活動に参加しよう!

湘南クリーンエイドフォーラムでは「調べるビーチクリーン」「ビーチクリーン駅伝」をはじめ、湘南海岸を中心にさまざまな活動を展開されています。湘南クリーンエイドフォーラムの活動情報はホームページでチェックしてみてください。

《今後の活動予定》
★第81回調べるビーチクリーン:9/11(日)@辻堂海岸

★クリーンエイド地引網:9/25(日)@殿網

★ビーチクリーン駅伝2022:10/1(土)~11/5(土)

湘南クリーンエイドフォーラムのHPはこちらから!

【取材】
2022年7月27日
湘南クリーンエイドフォーラム:五十嵐様
事務局:野口・山本

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