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魅惑の"氷上ワカサギ釣り"、そのカリスマの1日に密着取材!!
"厚い氷に穴をあけ、その穴から魚を釣る"
たったそれだけのことなのに、なんて魅力的なんだ!
人生初の「氷上ワカサギ釣り」を体験した私の感想をまず述べさせていただきます。
フルノに入社して以来色んな釣りに触れてきましたが、氷上ワカサギ釣りはその魅力と同時に「なんだこの釣りは?」という強烈なインパクトも残してくれました。
どうでしょう、「ちょっとやってみたいかも」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回、ワカサギ釣りの第一人者である千島 克也さんの釣行に同行し、氷上ワカサギ釣りを体験してきました。
その魅力をたっぷりとご紹介します。
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千島 克也
小学生の頃から釣りを始め、以来40年近く、渓流釣りやワカサギ釣りといった淡水のエサ釣りをメインに全国各地を駆け回る。
特にワカサギ釣りに深く精通しており、的確な状況判断と手返しで様々な人気フィールドで最多尾数レコードを樹立している通称"ワカサギ界のカリスマ"。
なお、ワカサギ釣りで愛用している魚群探知機はFURUNO製GP-1971F。
氷上は極寒?それとも・・・・
1月某日、私は長野県にある松原湖に向かいました。長野県は"いわゆる海なし県"、フルノでの仕事で行くことは滅多にありません。
今回お世話になったのは松原湖の辺りにある旅館、"リゾートイン立花屋"さん。わずか徒歩10秒で松原湖の氷上へ踏み出すことができます。
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千島さんと合流したのは朝6時、ほんのり空が白みはじめています。
気温は-15℃、極寒の環境で身体は凍えていましたが、初めてのワカサギ釣りに気持ちは高まっていました。
実際、氷上ワカサギ釣りもこの極寒の中、野ざらしで敢行するわけではありません。"カタツムリ"と呼ばれるソリ付きのテントとガスヒーターを使って暖を取りながら釣りを行います。
「太陽が照る日だとむしろ暑いくらいだよ」と千島さんが教えてくれました。
松原湖には午前6時半から午後4時半までとワカサギ釣りができる時間が定められています。
テキパキと千島さんのカタツムリに機材が載せられていきます。
釣り道具の他には氷に穴をあけるためのドリル、氷を穴からすくい出すための網、ワカサギを入れるカゴ、ガスヒーター、そして魚群探知機、さらに超音波を発射する振動子とそれを固定する治具。
開始時間になると身体にロープを回し、それらを載せたカタツムリを引っ張りポイントへ向かいます。
思わず「なんだこの釣りは」と口にしてしまいました。
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ワカサギ釣りに魚群探知機は必須です
こうして人生で初めて凍った池の上に降り立ち、自分のカタツムリを引きながら千島さんの後を追います。
池の上から望む八ヶ岳連峰の美しさについ足を止めて見惚れてしまいます。「今日のポイントからは八ヶ岳が見えないから、ぜひここで写真を撮っていってね!」とのこと。
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「どうやって氷の上からポイントを探すんですか?」と聞くと、千島さん曰く「毎年の経験や傾向からこの辺りかな」という感覚があるそう。
魚群探知機の出番はもっと後のようで、魚探を見ながらポイントを探す釣りに慣れている私にとって、またここでもギャップがありました。
そうして、ポイントらしき場所(雪と氷で何も分からない)に到着し、早速千島さんがドリルを手に取ります。
氷にドリルを立てて近い場所で2箇所穴をあけます。
ひとつは釣り糸を垂らす用で、もうひとつは魚探の振動子用です。
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その穴の横にカタツムリを置き、手際よくアイテムを配置していきます。
センターに魚群探知機、右にガスヒーター、左にカゴや網、
そしてカタツムリに千島さんが座るとなんということでしょう。
あっという間に千島さんのプライベート空間が誕生しました。
そして最後にテントで自身を覆うともう誰にも邪魔されません。
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「ワカサギ、結構映ってるよ!」との声で魚探の画面を見ると細かい線のように魚探画面に反応があります。
千島さんが使用している魚探は従来のCWと呼ばれる信号ではなくCHIRP という信号が利用できます。圧倒的な解像度がウリで従来ではボヤッとしてしまう反応をひとつひとつ識別することができるのです。
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「ワカサギ釣りはとてもテクニカルな釣りです。魚がとても小さいので仕掛けをうまく合わせてワカサギを誘ってあげないと釣れません。なのでCHIRP映像で一匹一匹を細かく見れるということは釣果にかなり影響がありますよ。」と千島さんは言います。
15年前ほどからワカサギ釣りで魚群探知機が使われだしたそうです。
ワカサギがいる水深域、いわゆる"棚"を探すために必須とのことですが、今のCHIRP魚探ではそれ以上の情報がわかるため、一度使うともう手放せないのだとか。
"CHIRP魚探、重宝しています"と太鼓判を押す千島さん、
「来た!」と早速一匹目を釣り上げられました。
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いざ実践、果たして釣果は如何に
色々話を伺いつつ、私もワカサギ釣りに挑戦してみることに。
千島さんと同じ魚探を用意し、隣に陣取りました。
時間はすでに10時半、辺りはすっかり明るくなり、太陽の日差しで少し暖かさも感じられます。
魚探にはワカサギだけでなく、仕掛けの先につけられた錘も映ります。
これを見ながらワカサギのいる深さに仕掛けを合わせる、簡単に釣れるかな?とタカを括っていました。
しかし、一向に竿に反応がありません。というより正直分かりません!というのが感想です。
非常に繊細な釣りで、わずかなアタリ(魚が仕掛けに食いついたサイン)に気付き上手く合わせないと釣れないとのことです。
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"魚探にはワカサギの魚影が映っている、仕掛けは合わせている。しかしこれが釣れない!そして横の千島さんはどんどん釣っている!"
見様見真似で千島さんの挙動を真似てはみるもののアタリが分からない私には手も足も出ません。
「実はワカサギは秋の方が釣れるんだよね。結構入れ食いになることもあって、何匹も食いつくからアタリも分かりやすかったりする。その反面、氷上釣りはかなり難しいんだけど、だからこそ面白い!」と千島さんは言います。
そんな矢先にビビッと竿に反応アリ。サッと竿を上げましたが結局バラしてしまいました。
釣りをしたのは2時間ほどでしたが今回はボウズ、ワカサギ釣りの洗礼を浴びることとなりました。
しかし、悔しい!と思うと同時に面白い!と感じている自分がいました。
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釣りたてのワカサギは絶品!すぐに食べられるのも魅力!
午前中で50匹以上釣り上げた千島さん。本人曰く「まぁまぁ」とのこと。
ボウズの私を見かねて、釣り上げたワカサギを天ぷらにして振る舞っていただきました。立花屋さんでは釣り上げたワカサギを天ぷらにしていただくことができます。
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ワカサギは骨も柔らかく、そのままでも食べられるような魚。特に冬は臭みもなく淡白で爽やかな味わいです。
そんなワカサギをサックサクの衣で包んだ天ぷらはまさに絶品。
釣りたてと冷凍庫のような気温のおかげで鮮度は抜群、旨味が今まで食べたワカサギとは段違いです。
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そのままでも十分に美味しいのですが、立花屋さんでは塩、ゆず塩、抹茶塩など色んな味でワカサギの天ぷらを楽しむことができます。
これだけでも今日松原湖に来た甲斐があった!と思える絶品料理でした。
ワカサギ釣りの魅力とは?
最後に千島さんにワカサギ釣りの魅力を伺いました。
「ワカサギ釣りって毎回同じじゃないので、よく釣れる日もあれば、釣れない日もあります。それに湖によって特性も異なりますし、ボートと氷上でもまた異なります。
それでも上手い人はちゃんと釣果を残します。ポイントを探すための経験値、ワカサギの特性や活発度合いに合わせた道具選び、魚群探知機を使いこなす知識、そしてワカサギを釣り上げるための技術と集中力。色んな要素が組み合わさって今日の釣果が決まります。
繊細な難しさがワカサギ釣りの魅力じゃないでしょうか。」
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そんな千島さんのワカサギ釣りを見ていて、もう一つ感じた魅力があります。それは仲間たちとの交流です。
その日8名ほどの仲間たちが一緒にワカサギ釣りに来られていたようで、時折千島さんの元に来ては釣果を聞いたり、情報を交換したりしていました。
ボートだとこうも気軽に行き来できないので、これも氷の上だからこそ。
会話が始まると少し休憩といったところで、楽しく談笑し、また皆さん持ち場に戻って集中。なんともメリハリのある釣りだと感じました。
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こうして仲間たちと集まって釣りをすることも多いそうで、「遠い人はそれこそ兵庫県から松原湖まで来ますよ!」と話す千島さんはどことなく嬉しそう。素敵な仲間たちと一緒にこれからもワカサギ釣りを楽しんでいかれるのだなと実感しました。
そんな雰囲気にも少し触れて感じた様々なワカサギ釣りの魅力、
自身のリベンジも含めて、またご一緒させていただきたいと思いました。
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取材・執筆 高津 みなと