コミティアの告知イラストを描きました
こんにちは。
2023年9月3日(日)開催のCOMITIA145の
告知イラストを描かせて頂きました。
お話を頂いてから納品まで難航したので、
今後の自分のためにも、
詰まった時の突破口などをメモしながら
日記を書きたいと思います。
1 1回目のラフ
コミティア告知イラストの概要は以下の通りでした。
コミティアの告知に使用するポスターのイラスト
テーマは自由
いつもの古林の絵柄・作風で
作家によって、ご依頼時の方向性はもちろん違います。
ですが私の場合、作風がなんでも描くタイプなので、
特に「自由で!」という感じになったのだと思います。
◆◆◆
自由に描く、といっても
方向性を決めないと描くことができません。
そこでまず私は、
「コミティアの告知ポスター」として映える絵
とは何か?を整理してみました。
ポスター映えする、キャラの顔がデカい目立つイラスト
ポスターとして機能するために、見た人に向けた開放的な構図
コミティアらしい、コミティアをテーマにしたイラスト
こんなもんかな、。。。
。。。。
やばい、3つとも描くのが苦手なテーマだ。。。
顔がデカい目立つイラストも、開放的な構図も苦手だから、
とりあえずコミティアをテーマにしてラフを描いてみよう、、、、、
9月のコミティアなので、季節的にハロウィンっぽさを入れた死者蘇生魔女の絵。
左右対称な構図にして、ポスターとして安定するようにした。
嫌いじゃないけど、なんか、置きに行っている感が否めない。。。
コミティアというテーマを意識して、
物語を作ることに疲れて思考放棄したくなって
思考放棄ベルトコンベヤーに乗ってる人間の絵。
悪くないけど、テーマが後ろ向きだし絵がシンプルすぎる。
コミティアをテーマにしたイラスト。
日の目を見なかった作品を植木に例えて、
例え日の目を見なくても、土の中では幸せに、、という絵。
要素がゴチャゴチャしすぎなので完全にボツ。
どうも私がコミティアをテーマにして描くと、
「楽しい創作の場所!みんなおいで!」みたいにはならず、
「創作は苦しい、早く解放されたい」みたいな絵になってしまうことがわかった。
完全に方向性を見失い、よくわかんなくなった絵。
やばい。クソ難航してる。
この辺でラフ提出期限が来てしまい、
全然できてないので、
再度打ち合わせしてもらうことにしました。。
2 打ち合わせ(再)
「全然上手く描けません」とお伝えしたところ、
そもそもポスター映えを気にしないで下さい
とアドバイスを頂きました。
コミティアのポスターは、
他のイベントなどのポスターと違って
様々な他のポスターなどと並んで貼られるわけではないので、
目立つ必要がない、とのこと。確かに。
そして私の絵の魅力は、
見た人がその絵から
何かを考えたり、想像したりする
解釈の余白があるところ
とのことなので、例えば最近の絵だと、
食品とのサイズ感とか、皿に盛られてるのとかが
不思議に感じ、解釈や想像する余地がある。
現実的でない色合いや、構図の不安定さが、
「どういう場面なんだろう?」と思う解釈の余白がある。
この辺の方向性で全然OKとのことでした。
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なので、ここで
解釈の余地を感じる絵を、意図的に作る
という方向性にシフトすることにしました。
3 絵を描くときの思考回路を手順化
解釈の余地がある絵という他己評価を頂いたのですが、
私自身は絵を作るとき、
意図してそういう絵にしているわけではありません。
ではどういう思考回路で絵を描いていたのか?
それを思い出し、手順化することで
このクソ難航状態を打開することができると思いました。
この絵はたしか、
「ツノ贈りの鹿」のインスピレーション元にもなった
大好きな春野さんのくるりカバーアレンジを聴きながら描いたんだった。
動画のイラストがすごくオシャレで
楽曲も「あなたと一緒に上海蟹を食べたいね」って曲で、
なんかお皿に乗った食べ物の絵が描きたくなって、、
描き始めたらなんかああなったんだ。
こっちの絵はたしか、
友達と江の島に行った時に、
作画資料用で撮った写真を見て描いたんだった。
なんでもない住宅街みたいな写真を作画資料用によく撮るけど、
これを見ながらなんとなく描いた絵だった。
なるほど。
つまり、解釈の余地がある絵を描くときの手順を言語化すると、
―――――――――――――――――――――――
① なにか描きたいものやインスピレーション要素を一つ用意して、
それを描く。
↓
② すると描いているうちに
無意識に古林の作風がインスピレーション元に付着し、
絵が湾曲し、最終的に含みのある絵が出来上がってしまう。
―――――――――――――――――――――――
このような手順を踏んでいることがわかりました。
②は無意識で起こっているので、
①を行えばいい。
つまり、
なにか「描きたいな」と思うものや、
インスピレーションを受けるものを
一つ用意すればいい。
そこにテーマは必要なく、
机の上や町中にあるような物体一つでいい。
さっそくこの手順工程に則って、
ラフを作ってみることにしました。
4 2回目のラフ
打ち合わせの帰り道で上記の手順を頭でまとめたので、
その勢いで同じ日にラフ案をひねり出してみました。
すると、あんなに難航していたのに、
すぐに案がいくつか浮かびました。
手順化してよかった。
最終的に3つの案に絞りました。
はじめのラフにもあった魔女の絵。
ポスター絵として安定しているので、
最終手段として候補に残しました。
打ち合わせの帰り道に、
今単純に描きたいものってあるか?と考えて、
「檻が大好きだから、鳥かごが描きたい!」
という所から描き始めた絵。
私の持つ鳥かごのイメージって、
完全に土橋 真二郎の小説「扉の外」なので、
そのイメージで描き始めました。
それと3年くらい前からずっと
温室を描きたい欲があったので、
せっかくなのでそれもねじ込んたら、なんかこうなった。
この「なんかこうなった」が
手順でいう②の無意識のところで、
描きたいものを一つ挙げる(→鳥かご)が①のところなので、
手順通りに描くことに成功しました。
コミティアで初めて描いた漫画「浸水」の
世界観を踏襲して描いた絵。
SFや水攻めが大好きなので、
好きなものをそのまま描きました。
コミティアに出続けるきっかけになった作品なのですが、
少し個人的すぎる絵かな?とも思います。
あと、ポスターで怯え顔を描くのは珍しいと思うので
奇をてらってる案でもあります。
5 案決定、清書
ポスターを見ればわかりますが、
案2を採用して頂きました。
自分でどれがいいか決められなくてすみませんでした。。
鳥かごの中の人には手錠もつける予定でしたが(最悪)、
ごちゃついたのでやめました。
あと郵便屋さんの視線を
ポスターらしくこちらに向けるか悩みましたが、
結局鳥かごの中を見つめている方にしました。
◆◆◆
このイラストの具体的な私の解釈は伏せますが、
コミティア実行委員会の担当者様に
「手紙を書いている天使が、コミティアに出る創作者に見える」
と言われ、た、確かに。。!!とビックリしました。
自分は別の解釈で描いていたので、
やっぱり私のイラストは解釈の余白が広いんだなと思いました。
このイラストが偶然にもコミティアに着地できてよかったです。。。
◆◆◆
イラストも漫画も、
解釈は受け手次第だと思っています。
作品から何かを想像・解釈することは自由で、
正解があるわけでもないので、
自由に楽しんで頂ければ幸いです。
例え作者の解釈だろうとそれが正解ではないので、
私がどう思って描いたかはあまり気にしないで下さい。
6 さいごに
ポスター、無事に納品出来てよかったです。
絵に詰まったときは、
今回手順化したプロセスを思い出して
描きたいと思います。
さいごに、らくがきを載せておわります。
ありがとうございました!
◆◆◆
余談1
コミティアの告知ポスターのお話、
コミティア実行委員会の担当者様によると
古林は以前にも候補に挙がったことがあるらしいのですが、
「古林さんは『ツノ贈りの鹿』の原稿で忙しそうだから、
ポスター依頼は、鹿の連載が終わってからにしよう」
という話になっていたらしい。
(※コミティア実行委員会のスタッフさん方は、
皆コミティアの見本誌を読まれています。)
気を遣われていて恐縮だった。。
余談2
去年(2022年)11月のコミティアに出たときに、
上記のイベント後の日記で、
「しばらくコミティア出ないかな、、次は来年の11月かも。」
って言ってるんですが、
2月も9月も出てんだよな。
嘘つきすぎクソワロタ。。。
おわり。