人はどうせいつか死ぬ
転職活動をしていた。
転職エージェントに登録し、書類を提出したりして
面接は今回で3回目。
もう慣れっこ!とまでは言わないが
怪しい笑顔を浮かべて面接するだけの余裕はあった。
数分前に会社に着き、綺麗なお姉さんに席に案内してもらう。
どうやってここに入ったのかなあ。
私も入れてくれないかなあ。
会社説明をしてくれるお姉さんに
なかまに なりたそうな かおをしている と
取締役が入室してきた。
わ、若い…
てっきり60代くらいの男性を想像していたら
40代くらいの新進気鋭のやり手社長みたいな人が出てきたのだ。
靴舐めますよ!って言ったら
靴磨きあるんでいらないです。
と言われそうな雰囲気。
必殺技が使えないじゃないか。
そうこうしているうちに面接が始まった。
よし、練習して来た自己PR、志望動機、自分の長所短所、頑張って言うドン!!!
「何か質問はある?」
?
私の心の声が出たかな?
「何か質問はある?」
予想外だった。
てっきり質問が来るもんだと思っていた。
さすが新進気鋭のエリート社長。
「えっと…御社に採用いただけたとして、仕事をする上で私に望むことはありますか?」
「一生懸命やってくれたらいいよ」
返しが気鋭すぎる。
そりゃ一生懸命やるさ。
なんなら今も脇汗が琵琶湖になるくらい一生懸命さ。
ライブポイントが100削られた。
「そ、そうですか…
では仕事をする上で大切にしていることはなんですか?」
「部下がよくやってくれているからなあ。一生懸命やること」
新進気鋭の体育会系なのかな。
部下に感謝してらっしゃる良い方なのだろうけど
一生懸命に頼りすぎでは。
ライフポイントが200削られた。
「というか、前職はなんでやめたの?」
「前職では女性社員が少なく、営業職ということもあり
結婚や出産した後も働いている人が少なかったんです。
ですので、今後の人生設計を考えた時に」
「それはその会社が古い考えなだけだよ。」
「え、あ、そうですね…」
「前の会社が古い考えなだけだから、うちじゃなくてもどこでもやっていけるよ」
そ、そう言われましても…
いや、まあキャリアアップのための転職じゃないのは自分でもマイナスだと思うけど…
というか今うちじゃなくても、とか言われた?
というか子どもがまだ喋ってるでしょーが!!!!
その後も面接は続いたが、ずっと新進気鋭ペースで
私はそうですね、さようでございますか、くらいしか発せない機械となってしまった。
ひぃいん…もう、いいかな…
私のライフポイントはゼロになった。
家まで逃げるようにべそべそ帰り
家でべそべそ泣いた。
あれは勝てる試合だったのか?
フィールドが悪かったのか?
単に会社に合わなかったのか?
否、うまく受け答えができない私が悪かった。
うまく受け答えできていれば反応は変わったかも。
でもあんな面接の仕方あるの?
いやいや、私の方が社会経験圧倒的に少ないし。あるんだろうよ。
あそこでああいう風に答えていれば違う結果になっていたの?
でも……
べそべそ考え、べそべそ泣いた。
考えが堂々巡りになり
どうしようもないと思っていたら
ある人の言葉がログインしてきた。
人はどうせいつか死ぬ
人はどうせいつか死ぬ。
そっか。
こうやってもうどうしようもないことをグダグダ考えていようと
面接がうまく行こうと行かなかろうと
人はどうせいつか死ぬのか。
それならつまらないこと考えずに
スパン!と気鋭に切り替えて
前を向いた方が楽しく生きれるかもしれない。
元々誰かから聞いていた言葉が
数年経ってストンと腑に落ちた。
そして前向きに転職活動に励もう!!
と心に決め、
それをつぶいて記録しておこうとTwitterを開いたら思いのほかタイムラインが面白く、見漁り、
布団に入ってストンと寝た。
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