Facebook のパスワードリセットメールが届いた話。
先日、メールボックスに見知らぬメールが届いた。
見知らぬメールなら毎日のように迷惑メールが届いているので違和感は無かった。だが、「Facebookアカウントのリカバリコード:XXXXX」という件名を見て、いつもの迷惑メールとは違うと直感が働き、メール本文を読んでみた。
本文には「Facebookのパスワードのリセットがリクエストされました」との文字。一瞬「パスワードリセット詐欺(※)かな?」と疑ったが、怪しい添付ファイルは無い。それに本文に私の本名まで書いてある。
※パスワードリセット詐欺
読み方:パスワードリセットさぎ
【英】Password Reset Scam
パスワードリセット詐欺とは、特定のサービス上でパスワードがリセットされたという趣旨のメールを送りつけ、ユーザーを騙して、パスワードを盗み出そうとするネット詐欺の手法である。
念のため、Facebookの公式ページでメールアドレスを入力して「パスワードを忘れました」の申請。しばらくして、きちんとした「パスワードリセットメール」が届いた。先ほどのメールと同じ文面。本物のリセットメールだ。なりすましではなさそうだ。
となると、これは第三者がどこかで仕入れた私のメールアドレスをログイン画面で入力してパスワードリセットのリクエストを送ったのだな。意図は分からないけれど、きっと何かアカウント乗っ取りを試みたのだろう。
とりあえず、私が申請した方のメールのリカバリーコードで、パスワードをリセット。そして直接自分で新たなパスワードを設定。
Facebookの公式ページからメールアドレスとさっき設定したパスワードでログイン。よし、ログインできた。良かった。
と、何気なくセキュリティ対策として普通にパスワードを変えてみたわけだけれど、私は、そもそもFacebookで自分のアカウントが登録されていること自体を忘れていた。
たしか、昔勤めていた会社で仕事用のFacebookアカウントを作らされた際に、どのようにそのアカウントが見えるかの確認として、個人用のアカウントも開設したような気がする。
その個人用アカウントが残っていたのだ。もちろん友達もフォローもしていない。投稿もしていないし、顔写真も無い。ただ本名と出身地くらいのプロフィールしか設定していない。
だが、何年ぶり(か分からないけれど)かにログインすると、何と自分の知り合いらしき人が何人もリストに出ている。というか確実に知り合いだ。名前も顔写真も載っている。知っている名前、知っている顔。
こちらのアカウントは、先ほど書いたように本名と出身地くらいしか書いていなくて、出身大学も勤め先も載せていないのに、かつての同級生や同僚たちが山ほど出てくる。
こりゃ一体どういう仕組みなんだろう。非公開だが誕生日も設定していたのでそれと出身地の情報を組み合わせ、さらに当時よく閲覧していた人の友達繋がりで「コイツのことも知ってんだろ?」という感じでリンクされていくのかなと想像する。
仕様はまあどうでもいいのだけれど、その友達であろうリストを眺めていると何とも懐かしい気持ちになった。ああ、△△くんは今こんなことやってんだなぁ、出世したんだなぁ。おお、◯◯さんは昔と変わらないなぁ、よく一緒に飲んだなぁ。卒業してから会っていないけど、また、あの当時はドタバタして会社を辞めることになったけど、また話したいなぁ。
そんなことを思って、私の情報をもっと開示したくなる。プロフィールに昔の職場を書こうかな。出身大学を書いたら、相手から分かるかなぁ。
だが、しばらくして、それはやめた。
今更、どうしたいんだろう。自分は。
そんなふうに思って虚しくなったからだ。
noteの記事としては、「パスワードリセットメールが届いた」→「久々に昔のアカウントでログインしたらかつての知り合いと繋がった」→「懐かしい人たちと再会して一緒に飲んで楽しかった」→「パスワードリセットを勝手にやった知らない人のおかげだ、ありがとう!」みたいな流れのエピソードが書けるなら、きっと閲覧数やスキも増えるだろう。
しかし私はそうはしない。
アレコレと個人情報を盛り込んだプロフィールを保存する直前で、キャンセルした。今までと変わらず、単に本名と出身地だけのアカウントだ。Facebookからもログアウトした。
今、たとえ誰かから友達の申請が来たとして。
今、こちらが繋がりたい相手と連絡を取ったとして。
もう昔の自分ではない。そこに自分は居ない。
私は今を生きている。相手も、今を生きている。
もう世界線はそこで途切れたのだ。
だからもう見ない。これ以上繋がろうとはしない。
けれども、一縷の望みとして、アカウントだけは削除はしないでおいた。きっとこれはこのまま何の意味も無いものだとしても、もしかしたらこの先、私の気持ちも変わるかもしれない。旧友たちと繋がりたくなるかもしれない。今はそうは思えないだけ。今をちゃんと生きたい。
そんなわけでオチも何にも無いんだけれど、何だか昔の古いアルバムを眺めたような心地だった。まあ気が向いたらまたログインしようか。もしかしたら不正アクセスされるのが怖くなって消すかもしれないけど。つづく。