【公認心理士】心理療法のまとめ
精神分析療法
ジークムント・フロイトによって提唱された、
無意識を重視する心理療法。
力動的心理療法
力動的心理療法は、ジークムント・フロイトの精神分析理論に基づいて発展した心理療法。
この療法は、無意識の葛藤や過去の経験が現在の行動や感情にどのように影響しているかを理解し、解決することを目指す。
主な技法には、自由連想法、夢分析、転移と逆転移の解釈などがある。
催眠療法
催眠療法は、催眠状態を利用して心理的・身体的な問題を治療する方法。
催眠状態では、被暗示性が高まり、無意識にアクセスしやすくなる。これにより、自己洞察や行動変容を促進することができる。
催眠療法は、過敏性腸症候群(IBS)、禁煙、ダイエット、不安障害などに効果があるとされているが、研究の品質にはばらつきがある。
行動療法
学習理論に基づいた治療法で、問題行動を減らし、望ましい行動を再学習させる。
系統的脱感作法
系統的脱感作法は、ジョセフ・ウォルピが提唱した行動療法の一種で、不安や恐怖を段階的に減少させる方法。
この療法では、まずリラクセーション法を学び、不安階層表を作成する。次に、不安の低いものから順にリラクセーションを行いながら不安刺激に曝露していく。
これらのプロセスにより、不安反応を徐々に弱めることができる。
暴露療法/エクスポージャー法
暴露療法またはエクスポージャー法は、不安や恐怖を引き起こす状況に段階的に直面させることで、その状況に慣れさせ、不安反応を減少させる治療法。
具体的には、不安を感じる状況や刺激に対して徐々に曝露し、回避行動を減らすことを目指す。
例えば、高所恐怖症の人が徐々に高い場所に慣れていくようにする。
暴露反応妨害法
暴露反応妨害法は、強迫性障害の治療に用いられる方法。
不安を引き起こす状況に曝露し、その後の強迫行為(例:手洗い、確認行為)を妨害することで、不安が自然に減少することを体験させる。
例えば、汚れを恐れる人が手を洗わずにそのままにしておくことで、不安が徐々に和らぐことを学ぶ。
トークンエコノミー法
トークンエコノミー法は、望ましい行動を強化するためにトークン(シールやコインなど)を報酬として与える行動療法。
トークンを一定量集めると、具体的な報酬(お菓子やおもちゃなど)と交換できる。
例えば、子どもが宿題を終えたらシールをもらい、シールがたまると好きなものと交換できる。
モデリング療法
モデリング療法は、他者の行動を観察し、その行動を模倣することで学習を促進する治療法。
バンデューラの社会的学習理論に基づき、適切な行動をとる他者の観察を通じて、認知と行動の変容を促す。
例えば、犬を怖がる子供に対して、犬と仲良く遊んでいる別の子供の姿を見せることで、恐怖心を和らげる。
嫌悪療法
嫌悪療法は、不快な刺激や嫌悪感を結びつけることで、好ましくない行動を抑制する治療法。
古典的条件付けの原理を利用し、アルコール依存やタバコ依存などの治療に用いられる。
例えば、アルコール依存症の患者に抗酒剤を用いることで、飲酒に対する嫌悪感を形成し、飲酒をやめさせる。
論理療法(論理情動行動療法)
論理療法(論理情動行動療法)は、アルバート・エリスによって創始された心理療法であり、合理的な信念を論駁し、合理的な信念に置き換えることで心理的問題を解決する。
ABCDEモデルに基づき、出来事(A)に対する信念(B)が結果(C)を生むと考え、不合理な信念を論駁(D)して、適応的な効果(E)を得る。
例えば、「失敗してはならない」という信念を「失敗から学ぶことが成長につながる」といった合理的な信念に変える。
認知行動療法
認知療法と行動療法を組み合わせた治療法。
認知療法
認知療法は、アーロン・ベックによって開発された心理療法であり、認知の歪みを修正することで感情や行動の改善を目指す。
認知療法では、患者が持つ否定的な自動思考や信念に焦点を当て、それらが現実とどの程度一致しているかを検証し、より現実的で適応的な考え方に置き換える。
例えば、「失敗したら全てが終わりだ」という考えを「失敗から学ぶことができる」といった合理的な考えに変える。
認知行動療法
認知行動療法(CBT)は、認知療法と行動療法を組み合わせた治療法であり、認知の歪みを修正し、行動を変えることで心理的問題を解決する。
CBTでは、患者の自動思考や信念に対する認知再構成と、行動活性化や曝露療法などの行動技法を用いる。
うつ病や不安障害など多くの精神疾患に効果があり、現在広く用いられている。
弁証法的行動療法
弁証法的行動療法(DBT)は、マーシャ・リネハンによって開発された治療法であり、特に境界性パーソナリティ障害の治療に効果的。
DBTは、認知行動療法を基盤としつつ、受容と変化のバランスを重視する。
主な技法には、マインドフルネス、対人関係スキル、感情調節スキル、苦悩耐性スキルが含まれる。
スキーマ療法
スキーマ療法は、ジェフリー・ヤングによって開発された心理療法であり、認知行動療法を基盤としつつ、アタッチメント理論やゲシュタルト療法、対象関係論などを統合した治療法。
スキーマ療法は、早期不適応的スキーマ(過去の経験や記憶によって形成された認知的な枠組み)を修正し、気分の安定を図ることを目的とする。
主な技法には、認知的技法、体験的(感情的)技法、行動的技法が含まれる。
集団療法
複数のクライエントが集まって行われる
心理療法。
家族療法
家族療法は、家族全体を治療の対象とする心理療法であり、家族システムの機能を改善することを目指す。
家族療法には、コミュニケーション派と構造派の2つの立場があり、コミュニケーション派は家族間のコミュニケーションに注目し、構造派は家族の役割や関係性に注目する。
代表的な技法には、ジェノグラム、ジョイニング、リフレーミングなどがある。
集団精神療法
集団精神療法は、複数のクライエントが集まって行われる心理療法であり、参加者同士の相互作用を通じて自己理解や社会適応を促進する。
集団精神療法の目的は、個人心理療法と同様にクライエントの社会適応を支援することであり、集団内での交流を通じて治療効果を高める。
集団精神療法のメリットには、社会的孤立の防止や他者との交流が挙げられる。
回想法
回想法は、認知症の人が自分の過去や昔のことを話すことで、精神的な安定感や認知機能の向上を図る療法。
回想法は、個人回想法とグループ回想法の2種類があり、個人回想法は一対一で行い、グループ回想法は複数の参加者で行う。
回想法の効果には、自己肯定感の向上やコミュニケーションの改善が含まれる。
人間主義心理療法
主体性や自己実現を重視する心理療法。
クライエント中心療法
クライエント中心療法は、カール・ロジャーズによって提唱された心理療法であり、クライエントの自己実現を支援することを目的とする。
この療法では、カウンセラーがクライエントの話を非指示的に聴き、共感的理解、無条件の肯定的配慮、自己一致(純粋性)の3つの基本姿勢を持つことが重要である。
クライエントが自己の感情や経験に気づき、それを受け入れることで、自己成長を促進する。
フォーカシング指向心理療法
フォーカシング指向心理療法は、ユージン・ジェンドリンによって開発された心理療法であり、体験過程に焦点を当てる。
フォーカシングでは、クライエントが「フェルトセンス」と呼ばれる体の感覚に注意を向け、その感覚を言語化・イメージ化することで新たな気づきを得る。
このプロセスを通じて、クライエントの自己理解や問題解決が促進される。
ゲシュタルト療法
ゲシュタルト療法は、フレデリック・パールズによって開発された心理療法であり、「今、ここ」での体験に焦点を当てる。
ゲシュタルト療法では、クライエントが現在の感情や体験に気づき、それを統合することで自己成長を目指す。
代表的な技法には、エンプティ・チェアや誇張・繰り返しなどがあり、クライエントが自己の内面に気づく手助けをする。
日本発祥
日本で考案された心理療法。
森田療法
森田療法は、日本の精神科医である森田正馬によって創始された精神療法であり、主に不安障害や強迫性障害などの神経症に対する治療法である。
森田療法は、不安や恐怖を「あるがまま」に受け入れ、それに対する過剰な対処をやめることを目指す。
具体的な技法には、絶対臥褥(安静療法)、作業療法、日記療法などが含まれる。
内観療法
内観療法は、吉本伊信によって開発された心理療法であり、自己洞察を深めることを目的とする。
内観療法では、過去の出来事を「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3つの視点から振り返り、自分自身や他者との関係を見つめ直す。
内観療法には、集中内観と日常内観の2つの方法があり、集中内観では1週間程度の集中した内観を行い、日常内観では日常生活の中で内観を行う。
動作法
動作法は、成瀬悟策によって開発された心理療法であり、身体的アプローチを通じて心理的な問題を改善することを目指す。
動作法では、身体の動きを通じて自己コントロール感を養い、心理的な緊張や情緒面の問題を改善する。
具体的な技法には、肩上げや肩押しなどがあり、これらの動作を通じてリラックス効果や信頼感の向上を図る。
子供
子供を対象にした心理療法。
遊戯療法
遊戯療法は、子どもの遊びを通じて心理療法を行う手法である。
子どもは言葉で自分の気持ちを表現することが難しいため、遊びを通じて自己表現を促し、自己成長を目指す。
遊戯療法は、アンナ・フロイトやメラニー・クラインによって発展し、子どもの無意識の葛藤を表現させるための遊具や絵を用いる。
箱庭療法
箱庭療法は、砂の入った箱に玩具を並べて表現する心理療法である。
クライエントが自由に玩具を配置し、セラピストがその過程を見守ることで、内面的な問題や感情を表現させる。
箱庭療法は、日本では河合隼雄が広め、非言語的な表現を通じて自己洞察を深め、心理的な安定を図ることを目的とする。
その他
自律訓練法
自律訓練法は、自己暗示を用いてリラックス状態を引き出す訓練法であり、1932年にドイツの精神科医ヨハネス・ハインリヒ・シュルツによって創始された。
自律訓練法は、心身のリラックスを促進し、ストレス緩和や自律神経のバランスを整える効果がある。
具体的な技法には、重さや温かさを感じる自己暗示を用いる。
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