三月の短歌まとめ
桜が開花して、3月があっという間に終わろうとしています。私は今まさに、慌てるようにしてこの文章をしたためていたり…… 本当に時間が過ぎるのが早い。 時間が知らない間に加速してないかな?と思う感覚があったりします。
春は苦手な季節のひとつということもあり、体調も崩しがちで、思うように創作活動が出来ないこともあったな、と振り返って思います。本当にしんどかった。
好きなものだったとしても、すぐに容量がいっぱいになって動けなくなってしまう私にとって、短歌は心を慰めてくれる媒体というか、手段だったことを改めて実感しています。すごくしんどい思いを何度もしたけど、その度に短歌は沈んだ気持ちをそれ以上落ちないように浮上させてくれたり、気分を少し変えて前を向かせてくれたり、モヤモヤしたものを形にしてくれたりと、掬い上げてくれたように思う。ーー 気のせいかもしれないけれど。そう思いたいのかな?なんか、そんな感じです。
短歌には、凝り固まったものを解いて、鈍くなっていたものを研ぎ澄ませて純度を高めてくれるような、そんな何かがある気がします。それに救われた3月だったなぁ。
これはそんな3月の短歌のまとめです。
【 三月短歌まとめ 】
この一瞬が一生を繋ぐ
見たことのない景色を見るために
もう少しだけこのままで
祈るように手を繋いだ
温度をこめて
寂しいから一緒に寝よう
体温を融けあってひとつになりたい
君の幸いを願う
今だけはこのままで
手を離すその日まで
僕たち
正解か、不正解かも分からない結末に、辿り着く
僕に気付いて
窓枠から視える世界
カーテン越しに手を伸ばす
足踏みして、停滞して、
でもこれは僕にとっての幸いだから
口角を上げて笑顔を作る
本当の笑顔になるその日まで
『いってらっしゃい』と見送ってね?
『おかえりなさい』と迎える、筈だった。
『誰そ彼』
桜舞い散る光景は、輪郭がなくて曖昧で。
悪い夢ならよかったのにね
何度も何度もそう願ったのにね
誰か僕を見つけて愛してよ
切なる願いは魂の叫び
『大丈夫だよ』
夜が明けて陽が灯り
朝日が僕らを引き上げる
大事だったものたちが
この手からすり抜ける
最果てでただ独り
大好きだった。大好きだった。
過去形で、語りたくなどなかったよ
始まりの旅路
ドアを開けて手を繋いで
雨上がりの空の下
暗がりに光が差す
そんなのを夢に見て『夢だよね』って笑う
『どうして?』と縋り付く
こんなこと俺が一番望んでなかった
身に纏う石鹸の匂い
生活を共にする幸いを纏う
薬指に嵌まらない『いつか』の指輪
通り過ぎた『いつか』を想う
薬指
透けるように骨となり
指輪を嵌めて小指を絡める
別れを惜しむ雪
移ろって過ぎ去って春の息吹きに解かされて
僕だけの秘密基地
ロフトに隠れて
カーテン越しの夢を見た
『本当に幸せだった』
過去形で幸いを表わすその孤独
僕らね?ふわふわとしたものに包まれて、胎児のように眠りたい
くじら雲揺蕩うように夢をみる幸いの詰まった夢をみる
シュワシュワと舌の上で融けてゆく綿菓子みたいな夢だったから
一足飛びで季節を越える
春は加速をつけて過ぎてゆくから
遠雷みたいだね
咲き迫り、僕に問うよ?
雪柳の生き方が
雪解けが春を呼ぶ
お伽噺のように
優しく微睡みながら
4月はどんな季節を過ごすのかな?そんな期待と不安をまた形にして、したためていこうと思います。ではまた!