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写真には収められないものを捕まえに

ロサンゼルス国際空港から、やっとアエロメヒコに乗った。

どこか遠くの、まだ見たことのない大地を踏みたい。

その一心で決めた中米への旅が始まったばかりだというのに、飛行機の中で早くも私は疲れ切っていた。機内食は出ない。寒い。脚はパンパンで、体がかゆい。すべてが面倒になってきた。一歩足を踏み出すと始まる前からこんなに疲れるなんて、どこにも書いてなかったじゃないか。

するとメキシコシティに着く直前、夜の街が窓から見えた。

沢山の種類の金属を両手でばらまき半田ごてで溶かしていったような光景が、ひとかたまり、ふたかたまりと山の向こうにまで広がる。圧巻だった。夜景スポットから見下ろす整った日本の夜とはまるで違う生命力だ。

慌ててカメラを構えるも、写らなかった。

メキシコ上空の夜の街がこんなに美しいと、誰が教えてくれただろう?


来てよかった。


そう思える瞬間がこれからきっと沢山ある。だから一人で頑張ろうとその時決めた。


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