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【IB子育て・日々悶々】IBの初等教育PYPで私が驚いた3つのこと
こんにちは!このブログは、国際バカロレア(IB)の初等教育プログラム「Primary Years Programme(PYP)」で学んでいる子どもたちを、日本の義務教育で学んだ母が子育てする中で感じる驚きや葛藤を綴っています。
今日は私が子どもたちが学んでいる学校での様子を、過去5年見てきた中で感じてきた「へぇ」ポイントを3つご紹介します!
PYPについては、英語が得意な方は
https://www.ibo.org/programmes/primary-years-programme/
日本語がいいという方は
https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/pyp/
をご参照ください
なお、
「国際バカロレア(通称IBO)」によると、PYPは「Student-Centered Approach=学位主体のアプローチ」による教育スタイルをとっています。その際に、「学生(Learner)」、「学ぶ・教える環境」、「学びのコミュニティー」の3つを強調したフレームワークが重要ということです。
子どもたちの学習内容については、学年ごとに毎年同じとは限らない!
これ、ポイントです!例えば、日本の小学校であれば、「社会科見学」のコースと言えば、学校単位でおそらくほぼ100%毎年同じところに行きますよね。我が家の子どもたちは日本の幼稚園に通っていたので、毎年行事的なもので言うと学年によって何をする、どこに行くかは決まっていました。
ある意味親的には行事のタイミングが予測できて安心の反面、つまらないところも。
しかし
IBは、生徒主体であると同時に、先生主体の部分も非常に大きいです。例えば、息子たちの学校では、PYPの子どもたちは毎年「Service Learning=コミュニティサービス」について、各学年が何らかの活動に関わります。
長男が2年生の時は、近くにあるシニアセンターを月1回訪れ、高齢者の方達とお話しをしたり、歌を歌ったりという活動だけでなく、高齢者の方たちがどんな遊びを好むかを伺いながらそれをメモし、後日グラフにする=データリサーチのようなこともやっていました。
またその年の5年生は、近隣のボランティアセンターと協力して、ホームレスの方たちへ、毎週フルーツや野菜を届けていました。また冬の間はカレーの炊き出しなどを行っていました。
こうした活動は、活動の担当をする先生が、学年が変わると、自ずと関わる学年が変わるということが起きています。つまり、5年生になったから、ホームレスの方たちへの炊き出し関連のコミュニティーサービスを行うという訳ではないということです。なぜなら
どんな活動を通じても、子どもたちは日々、様々な学びをしているから。
また社会状況も刻一刻と変わってきます。昨年からのパンデミック環境では、シニアセンターを訪れたり、養護施設の子どもたちと一緒に遊ぶ会を開催することはできません。代わりに、地域のゴミ拾いを行ったり、古着を集めて施設に送るなど、違った活動に従事しています。こうした柔軟性も、IBが生徒主体、先生主体だからこそ対応できるのかな、と感じています。
子どもたち主体だからこそ、イベントは突然起きる
これもポイントです!つい先日、次男のクラスの担任が木曜日の夕方「明日詩の朗読パーティーを開催するので、詩人を連想させるような服装をしたければ、明日ドレスアップしてきてください」とメールが飛び込みました。
何人かのママたちは「また突然な!」と言っていましたが、次男はパパのベレー帽を借りて、いつもは学校に着ていかないボタンダウンのシャツを着て張り切って行きました。
ちなみに、私はその週はじめ、担任の先生から次男がエラく詩を書くのを楽しんでいる、と報告を受けたところで、「詩の朗読会でもしようかと思うわ」とルンルンしていたのを知っていました。おそらく、うちの息子だけでなく、何人か詩を書くということを楽しくやっていたのでしょう。
金曜日の夕方に先生から送られてきたメールには、子どもたちが近くの公園の階段に座り、作られた壇上で詩を書いた子たちが読み上げる様子を撮影した写真が送られてきました。みんなで麦茶で乾杯して「ポエトリーパーティー」を楽しんだ模様です。
もちろん、クラスの人数が少ないとはいえ、まさに子どもたちのやりたいことを、大人たちが少し手助けするだけで、一気にレベルアップ、スケールアップされる。そんなことが日々行われている感じがしています。
小学生で「ファシリテーション力」を意識する
これは私が驚きと同時に絶賛したことの一つです。息子たちの学校には、自分の机と椅子はありません。教室の中はまるでラウンジのようで、座り心地の良いソファーがあったり、カーペットが敷いてあります。もちろん、子どもたち全員が座れる椅子とテーブルもあります。
長男は日本の小学校のように「マイデスク・マイテーブル」への憧れがあるようですが、私からすれば、彼らの教室にあるソファーは最高に羨ましい(笑)ちなみに、年長や1年生の教室には、ロフトがあったり、個室のような区切られたスペースがわざと用意されていて、子どもたちは思い思いの「お気に入りスポット」を作ったり、友達と「お家ごっこ」や「基地ごっこ」ができる教室もあります。
そんな教室なので、彼らは3人〜クラス単位でグループワークを行うことがとても多い。もちろん、一人で作業する=学習する、というシーンもあるとは思いますが、日々オンラインで共有される写真を見る限り、「グループ」での活動がとても多いのです。
そのため、グループのまとめ役を担う機会も多い。これは毎回誰かがやる訳ではなく、一人一人が状況に合わせて担う形になります。長男のケースで言うと、彼はクラスの代表をやりたがるタイプではないのですが、自分がやれると思う小規模のサイズのグループのまとめ役は積極的にやるタイプ。
ですので、グループワークが不得意という訳ではないようでした。しかし、4年生の時、彼は年間目標の一つに、「グループワークのファシリテーション力がアップさせたい」というものを掲げました。この年間目標は、私の記憶が正しければ、PYP Attitudeというものから一つ関連する内容から選んだものです。
PYP Attitudes
https://danielakorman.globalblogs.org/files/2017/02/Attitude_Tree_Expanded.jpg
きっかけは、グループワークの際に、一人の意見を聞き始めると、他の人の意見を吸い上げそびれ、グループの意見をうまくまとめられないという経験を何度かしたからだと言います。
Wow. 9歳の子が、そんなことを意識するんだ。
当時驚いたことを覚えています。結局それがどれだけうまくなったのか、なかなか目にすることはないのですが、母親的にはそういうグループをまとめることの難しさを早くから経験し、上手にするにはどうしたらいいかを考える、意識をするだけでも十分価値があると思いました。
日本の義務教育の中でも、もちろん「グループワーク」はたくさん行われていると思います。社会科の調べ物を一緒にやって模造紙に書くとか、そんなことを自分が小さい頃やった記憶があります。
しかし、そのグループワークをする中で、意見交換や話しを聞くこと、発言することなどをどれだけ意識して行っていたのか。
グループワーク中に友達と口論になってしまった、嫌なぁ気持ちが残ってしまったなぁ、とかそんなレベルだったと思うのです。どうやったら次はみんなの意見を聞いて、上手くまとめられるかに悩んだこともあった記憶があります。でも自分の胸の内に秘めていたような感覚的問題です。こうしたものを、自分を成長させる「目標」として掘り起こし、意識し、先生の助けを借りながら1年間取り組むという姿勢は、まさにIBが生きる力をつけるプログラムだと痛感させられる内容でした。
***IBの特にPYPのプログラム内容は、学校によって大きく違いますし、日本語IBとインターIBでも違う点も多いかと思います。先生によってもアプローチが違うことも覚えておいてください。私のブログは、あくまでの息子たちのケースですが、これから子どもをIBで学ばせたい!と思うご家庭には、こういうことが起こり得うかも!***
ちなみに、3月まで地元の幼稚園→インターIBのキンダー(年長)に入ったばかりの長男を見る限り、たった2ヶ月で彼の創造性、知識力、Penmanship(筆記力)は爆上がりです。
なお、この爆あがりを支えているのは、間違いなく地元の幼稚園時代に、バッチリMoter Skill(手先の器用さ)を鍛える工作などをたくさんやってきたおかげ。
私に限らず、いいとこどりを目指す家庭は増えつつあるのかなぁと思います。つい最近も、大学時代の同期で今ではママ友が2人も、息子たちの教育を「IBインター」と「地元の小学校」という2本立てで並走させることを頑張っているという話しを聞いたばかり。
正解はどこにもありません。いいな、と思うことを取り入れてみる。子どもも親もいっぱいいっぱいになったら、戻ってまた新しい道を探す。子育てってその繰り返しなのだなぁと今更ながら思う今日この頃です。
参考資料:
文科省の「IB教育推進コンソーシアム」
さらに169ページに及ぶ「PYPのつくり方」(PDF版)資料
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