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後編:ファンタラクティブのカルチャーコードをアップデートした話
この記事はファンタラクティブ2024年アドベントカレンダー 12月24日の記事です。
今回の記事は前編後編に別れています。(前編はこちら)
この記事の概要
カルチャーコードの誕生から、組織浸透・運用・アップデートする過程を 詳らかに、みなさんに共有できればと思っています。
前編では、カルチャーコードの誕生から浸透戦略について触れました。 後編ではアップデートのためのワークショップの設計と具体的な運営について解説していきます。
前編でも触れていますが、今回のカルチャーコードの話は、昨年のAdvent Calendar 「ファンタラクティブのカルチャー作りの振り返り。まるっと3年分!」でも触れています。
組織デザインに日々格闘している経営者の皆様、組織の雰囲気を良くするために奮闘している皆様の参考に少しでもなればと思っています。
カルチャーコードのコードとは何か
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前編で誕生のきっかけについては触れましたが、語源・由来について語っていなかったので補足しておきます。カルチャーコードのコードは、ソースコードのコードから来ています。
ソースコードとは、コンピュータに命令を与える文字列のことを指します。システムを動かすため正確さが求められます。
開発を進めていく過程で、開発者は互いにレビューをし、丁寧にアップデートをしていきます。開発を進めていく過程で、書き方のルールや読みやすさなど開発現場それぞれでさまざまな取り決めがされていくことも特徴的です。
システムの開発同様、組織カルチャーも少しずつレビュー・振り返りをしながらアップデートされるべき項目の一つだと考えています。
そのアップデートを担ったワークショップがこちら
カルチャーコードアップデートワークショップ2024
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ワークショップ設計概要
全3回に少しずつ議論を重ねる形式で実施していきます。 全3回通して、3人〜4人のチームでテーマに沿って話し合ってもらい、各会必ずチームごとに発表をしてもらう形式で行ないました。
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FigJamの画面共有をしながら、バーチャルオフィスGatherを利用して実施します。 Gatherでは声の届く範囲、MTGスペースの設定をマスごとに定義ができます。チームで会話するスペースと、全体発表で利用するスペースを作成をしワークショップを実施していきます。
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全3回のワークショップに加えて、カルチャーコードを作った時同様、調整期間を設けています。各発表の後に必ず全員にアンケートを配り、各チームの提案の共感度を定量的に図ると同時に、ブラッシュアップのためのアイディア・意見を募りました。
全3回の概要は下記のとおりです。
第1回:
カルチャーコードのこれまでのアンケートや、振り返りポイント改善点の抽出に重きをおいて各チームで議論してもらい気づきをまとめてもらいました。
第2回:
1回目の発表をもとにアップデートする方法や浸透戦略に言及する形で提案してもらいます。グッズ展開や浸透施策を一緒に考えてもらうことで、浸透させる工夫や難しさについても触れてもらう形です。
第3回:
最終提案として、各チーム新しいカルチャーコードと浸透させるための施策を提案してもらいました。
全体概要をFigJamとNotionに掲載
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アンケートは毎回集計し、各チームの提案資料に対して参加メンバーの共感度を可視化していきます。
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共感具合と、懸念事項やブラッシュアップアイディアをアンケートなどから収集して次回の発表に活かしていく形式です。
全3回を終えて、最終調整を挟み、今年の全社総会FUN-OFF2024で発表しました。
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カルチャーコードVer2.0.0
集計方法
まず、「個数」について、まとめました。ワークショップ内にてカルチャーコードの覚えやすさ、認識のしやすさに影響するのではないかといった意見が多数出たため、最終ジャッジのアンケートにカルチャーコードの数量についての意見を募りました。
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結果、オンボーディング時の共有や理解を求める過程で、量を削減していった方がいいという意見が多数を占めたため、数量を減らすことを決めます。
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結論3個にしました。
最終提案の集計に入ります。 共感度合いを計る難しさはありますが、ポジティブな意見だけではなく、否定的な意見にも着目するように数値設計しています。
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最終提案の内容と集計をしていきます。
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重なっているアイディアも多数ありますが、意味の定義の違いや、提案意図の差分なども考慮しながら集計しました。
最終4案まで絞り、
4案の中でも各チームでの提案数などを参考に3つ確定させました。
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最終的にまとめたVer2.0.0カルチャーコード
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一つ目は、「つねはな」
V1.0.0のカルチャーコード「常に自由に話しやすい雰囲気を作ろう」の名称を省略する形で纏まりました。意味合いは踏襲する形式です。
❶立場とか経験年数に関係なく発言できる、失敗してもいい
環境のこと。
❷肯定しても、否定しても必ず理由を説明する習慣があること。
❸感情的な表現を用いず、生産性の高い議論をのぞめる態度を とること。
【用法・用例】
「その思想って、—だよね。」
フルリモートで業務を遂行するにあたって、相手の顔が見えないことが多々あります。同様に、相手が忙しいのか、どんな作業をしているのか見えないことがほとんどです。視覚的に認識できない状態での「話しかけやすさ」は非常に重要です。
またテキストベースのやり取りになると、どうしても冷たいような印象を与えることがあったり、認識の齟齬が生まれやすかったりします。互いに話しやすい雰囲気を作ることがコミュニケーションの円滑化につながり、結果組織全体の生産性に繋がるはずです。
リアクション一つで、話しかける側も、話しかけられる側も話しやすさが変化します。 お互いに注意し合える環境もまた重要です。
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2つ目は「ひと呼吸」V1.0.0のカルチャーコード「一呼吸」の名称の「一」を「ひと」と平仮名表記する形で纏まりました。こちらもほぼほぼ意味合いを踏襲する形ですが、個人で利用することを想定されていたものに対して、周囲を含む、チームで扱うカルチャーコードに変更されました。
❶自分や周囲のゆとりのある状態を生むこと
❷少しだけ間 (ま) をとること。また、その間。
❸狭小な考え/性急な結論の回避をする技、ゆとりの確保、 コミュニケーションの円滑化につなげる究極の技術。
【用法・用例】
「プレゼン開始直後、—おいて話し始める。」
「あわてず、—おいて話し始める。」
何をするにしても、ゆとりがないとミスや事故につながります。 デプロイする前に、リリースする前に、重要な返答をする前に「ひと呼吸」すること、忙しいひと、一杯一杯になっているメンバーを見つけたらそれとなく「ひと呼吸」を促せるようにそんな想いがこめられています。
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3つ目は最大船速 こちらは、V1.0.0であった最大船速に加えて、同じくV1.0.0の「技術と思想を共有しよう」という標語と、10期のスローガン「挑戦」の文脈が合わさる形式で言語化されました。
❶短期目線で判断せず、中長期目線で組織の最大速度を出すこと。
またその様。
❷挑戦を歓迎し、組織として最大限の成長を目指すこと。
メンバーの成長が組織の最大速度につながる
取得した技術や、保持している技術は進んでシェアしてくことで組織の最大速度につながる
設計思想や考え方など、組織の財産を増やすことで組織の最大速度につながる
【用法・用例】
「その判断はファンタにとってーか。」
最大船速は、目先の利益を重視しすぎると、長期的な速度に繋がらないというキーワードになっています。船は1人で漕ぐことが難しく、乗っている船のメンバーがそれぞれの役割を発揮していくことでスピードにつながります。乗っているメンバーの成長を、みんなで考えながら進めていこうという視点が肝要です。
また、船の装備をどのように変化させていくかも重要です。どのようなエンジンにするのか、メンテナンスはどのようにするのか、はたまた目指すべきゴールをみんなで共通認識が持てているのか、そんな意味合いが込められています。
長期的にみて組織の最大速度を出すことは、 船の状態をみんなで意識できていることも重要です。穴が空いてたら塞がなければ沈んでしまうし、個々に好き勝手していても船は前に進みません。
以上3つがファンタラクティブのカルチャーコードVer2.0.0に定義されました。 なかなか良い出来なのではないでしょうか。
3つのカルチャーコードは勢い余ってステッカーにもしました。
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ファンタラクティブのカルチャーコードをアップデートした話 まとめ
前編でも述べたように、組織の共通言語は、「作っておしまいではなく、議論し、理解を深め、継続して利用ができ、 メンバーが個々に意識ができている状態」がゴールになります。
ワークショップを行い議論を深め、実際に浸透させていくためには?などを一緒に考えてもらうことによりみんなで運用する雰囲気を作っていきました。
ワークショップを通してカルチャーコードの意識が高まるメンバーも多かったと思う反面、少し時間を空けてしまったり、意識する機会が少ないと簡単に形骸化してしまいます。
毎月アンケートをとっていますが、カルチャーコードに対する取り組みをやっていない期間のカルチャーコードの意識頻度は如実に数字が落ちます。ぬあ!ってなります。
改めて、運用する側が油断してはいけないということを突きつけられています。 ワークショップや取りまとめはコストが大きいこともあり、終わった後の達成感から、ついつい終わった感、ちょっと燃え尽きてしまう感が否めないため、自分自身より一層周囲の巻き込みが必要だなと痛感している次第です。
もちろん1人で組織文化は作れないので、みんなで考える機会、定期的に思い出す機会、定期的に振り返る機会はこれからも啓蒙し、日々の業務にも繋がるように設計していきたい次第です。
息を吸うようにカルチャーコード・大事にしているキーワードが出てくるような状態を目指していきたいです。
最後に、組織文化を醸成していくために重要なことはやはり、熱を持って推進する人の存在と、組織のトップ、代表取締役の考え方とのシナジーが最も重要だと感じています。
事業の設計と組織文化は表裏一体です。いろんな施策が全て繋がるように、単発で終わらないように、点ではなく、線で、できることなら面にするように、あの手この手で推進していくことが大事だと感じています。一緒に頑張っていきましょう!
長文を読んでいただきありがとうございます。 明日は、アドベントカレンダー最終日、弊社代表井村の 「10年会社経営してきた結果、11年目が一番憂鬱です」になります。