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男シリーズ

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今まで出会ったオトコたちの挽歌。
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#モテない男

焼き鳥盛り合わせ男

 或る出会い系のようなサイトでメッセージのやり取りをした十歳以上年上の男。  忌野清志郎の話題で少しメッセージのやり取りもあり、その人は昔バンドをやっていたというよくあるパターンと、近年は月に何度かボイストレーニングをやっていたり、過去にRCサクセションのカバーをライブでバンド生演奏で歌ったことがあるというのでなかなか興味深いなと思い、まず顔合わせで飲みに、という前置きをはずしていきなりカラオケボックスへ行くことになった。 確かにそのほうが歌が好きな私としても都合も良い。  

辛酸なめ男

    以前付き合っていた北関東の男。 そこまで遠くもないけれど、だからと言ってちょくちょく会える距離でもないので一カ月に一回程度会っていた。 仕事は宅配便のドライバー。 CDを集めるのが趣味で、デートでも都内のショップ巡りばかり付き合わされていた。 彼女は十年以上居なかったようで、田舎の朴訥とした、少々訛りもある男だった。 ただそういう男ほど頑固な部分もあったけれどあまり気にはならなかった。  ある時、何かの拍子で私が辛酸なめ子さんの話をした。なめ子さんのこときっと知らない

カブ男

    ある日飲み友達(男性)に何の気なしに、私は夜の仕事をしているけれどなかなか生活が苦しいというような話をしたことがあった。実際に私は自転車操業のワーキングプアのような生活をしているのだけどそれを取り立てて愚痴ったわけでも無いけれど話がどんどん別の方向になって辟易してしまったことがあった。  一般的に名が知られている大手企業のそのサラリーマンの飲み友達は未だに独身である。その男はどうやら国内だけでなく海外の株も色々買っているようである程度の額は儲けているようだ。 私自身は